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プラクティスゲーム その③

 「コンドウ!ちょっと来い!」

 「次の練習試合なんだが、新津南高校からオファーが来てるんだが、どうする?受けるか?」

 「それはキャプテンのミナガワに聞く事では?」

 「ミナガワには、もうOK貰ってる。」

 「一応、副キャプテンのお前にも確認しておこうと思ってな。」

 「あ~あ、そう言う事ですね。自分は良いと思いますよ。」

 「よし。じゃあ先方には私が連絡しておく。」

 「よろしくお願いします。」

 「トウマ!ちょっと来いよ。」

 「何だよ?此方は新球種のシンカーを覚えるのに必死なんだぜ?手短に頼むよ。」

 「新津南高校と練習試合だとさ。」

 「マジで?オファー来たのか?そりゃそうだよな。強豪私立のスタメン予備軍とは言え、2戦連続のコールドゲーム勝ちだもんな。そりゃあ良い知らせだ。」

 「あ、トウマちょっと待て!シンカーは1日20球までな。肘や肩に負担かかるから。」

 「分かった。お前もそろそろB(バッティング)マシン切り上げて、ブルペンキャッチャーやってくれよ。ケイタじゃないと、折角覚えたボールもパスボールばっかりじゃあ、ウイニングショットとして、使えないじゃないか?」

 「あと5分で行く。」

 「了解。」

 「ミナガワ?新津南高校との練習試合の件、聞いてるよな?」

 「ああ、聞いてるよ。お前にも伝えようと思っていたんだ。その様子だと下山監督から聞いたみたいだな?」

 「ああ。公立高校でそれなりに力もある。相手にとって不足なしだな。」

 「多分、相手は一軍で来ると思うが、勝算はあるのか?」

 「初めから負けるつもりで勝つチームがいるのか?そんなチームは無いだろう?」

 「それだけ確認したかったんだ、ありがとう。」

 「せっかちな奴だ。」

 「トウマ、お待たせ。」

 「ケイタ遅いよ。5分って言ってたのに10分経ってるよ。」

 「ワリィ。ちょいサブキャプの仕事してたんだ。」

 「今日はストレート50球、カーブとスライダーが15球ずつ、残り20球はシンカーで、よろしくね。」

 「しゃあ、バッチ来い!」

 (ストレートも、カーブとスライダーも申し分無いが、シンカーは駄目だな。球速120㎞~130㎞変化量が少ない。ま、覚えたてはこんなもんか。試合で使ってたら、長打量産されるわ。)

 「投げ込むのも良いけど、たまにはBマシンもやれよ?」

 「おう!任せとけ。」

 「つーか、ケイタも俺以外のピッチャーの球も受けてやれよ。」

 「トウマに言われたくないな。」

 「居残り毎日4時間もアベレージでこなしてんだぜ。やることが山のようにあって、一人のピッチャーに付き合える時間は限られてるの。」

 「そっか。すまん。」

 「トウマが謝る事じゃないよ。」

 「おい、もうPM10:00だ。帰ろうぜ。」

 「そうだな。たまには少し早く帰るか。」

 「じゃあな、ケイタ。」

 「お疲れ、トウマ。」

 今の二人には彼女を作ったり、遊ぶ事よりも大切な事があった。シンカーはまだ試合で使えるレベルには達していない中で望む松高野球部の3戦目。相手は、秋季県大会ベスト16のまぁまぁの強豪だ。今回は初めて松高で試合が行われる事になっていた。

 そして迎えた5月の最初の金曜。平日ナイターでの試合だった。

 「トウマ、今日はシンカーは封印しよう。」

 「分かった。」

 「それよりレベルの高いまっすぐや、ツーシームで勝負だ。」

 「おう!任せとけ。」

 「マツゾノコーチも今日も先、発はトウマだって言ってたしな。」

 「切り替えて行こう!」

 クラスメイトに頼んで沢山の生徒や教職員に声をかけて、観衆は200人を集めた。

 「新しい松高野球部を皆にみてもらうんだ。」

 「集合!」

 「うーす!」

 こうして観衆の多い中、ケイタやトウマ達松高野球部の公式練習試合第3戦目が始まろうとしていた。

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