夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)三年時準々決勝松高VS浦学
「集合!」
「うーす!」
「相手に不足はない。ベストを尽くそう!オーダーは、一番センター、オカダ 二番ショート、カネトモ 三番ライト、クリバヤシ 四番サード、コンドウ 五番ファースト、ミナガワ 六番レフト、ムカイ 七番キャッチャー、アリアケ 八番セカンド、イトハラ 九番ピッチャー、マスオカ 以上だ。さぁ、行くぞ!」
「松高ーーファイオシ!!」
「礼!」
「うーす!」
先攻は浦和学院。松高ナインがいつもより気合いを入れて守備に散って行った。
「マスオカ!リラックス!」
「おう!」
右投げオーバースローのマスオカは、持ち玉として、スタンダードなスライダーやカーブにフォーク等を持っている。どれも変化量が多く、コントロールも良い。軸となるストレートは、150㎞近い速球でパワーもある。言わずもがな松高の次期エースである。
浦和学院とは山田玄助杯で戦った事があり、その時は松高が大勝したが、あの時とは別次元のチームになっていると考えた方が良い。
初回表浦和学院高等学校の攻撃は一番のマツヤマから。
「プレイ!」
ウーーーーン。サイレンが鳴り止む前にマスオカは一番打者マツヤマをショートゴロに撃ち取った。二番打者も撃ち取り、強打者の三番マツモトを迎える。
(ここはスライダーからだ。)
(いや、真っ直ぐだろ?ここは。)
(仕方ねぇな。ストレートで行くか。)
カイーン!やべぇ。レフトのムカイ先輩がとってくれるはず。ムカイ、フェンス手前ギリギリで捕球。スリーアウトチェンジ。マツヤマを撃ち取ったマスオカは波に乗った。結局八回を三安打二失点に抑え、クローザーのツチムラにバトンを繋いだ。一方松高打線は、中盤の三、四、五回に集中打を浴びせて一気に八点を取った。今日のマスオカにはこれ以上の点数は必要無かった。九回表キャッチャーアリアケに変わりコンドウがマスクを被る。サードにはシノダが入り、アリアケとマスオカが下がった。
「アリアケ!」
「はい?」
「今日は80点だな。」
「足りなかった20点後で教えて下さいよ?」
「自分で考えろ(笑)」
(ツチムラの豪速球を取れるのはうちでは、俺とトバシラだけだ。もしアリアケがツチムラの球を奴の言う通りリード出来たら100点なんだがな。)
「ヤマオカさん。あ?珍しいな。見てる。」
「ササオカ、ベスト4最期の椅子は松高で決まりだ。ゲラ刷り迄して大丈夫だから。後はよろしく。俺は先に帰る。」
「良いんすか最後まで見なくて?」
「ツチムラは防御率0.00の怪童だからな。ツチムラから浦和学院が六点も取るのは無理だ。だから帰る。」
結果はヤマオカさんの言う通りになった。160㎞オーバーの豪速球で三者三振。でゲームセット。試合終了。8-2で松高の勝利。
松高遂にベスト4進出。
「にしても松高は、随分若い監督ですね?」
「選手時代は無名だったが今や時の人だもんな?」
「コーチが良いんですよ。」
「マツゾノにヤマナか…。ケミストリーしないんだけど、繋ぎの下山監督がスパイスになって上手にチーム運営してる様な気がするんだが?それより準決勝は明日だ。雨の影響もあって連チャンだ。」
準決勝第一試合は大阪桐蔭高等学校VS沖縄興南。第二試合は千葉県代表拓大紅陵VS新潟県代表新潟県立松浜高等学校。
「皆、あと二勝で日本一だ。死に物狂いで行くぞ!」
「うーす!」




