【漫才】孫が好きすぎるお祖母ちゃん
甲→ツッコミ
乙→ボケ
二人「どーもーこんにちわー!」
乙「君んとこ家族いる?」
甲「いるよ」
乙「いるの!?」
甲「そりゃいるよ! いて悪いか!」
乙「いや悪いことはないよ、楽しくやってる?」
甲「おかげさまで親兄弟、お祖父ちゃんお祖母ちゃんに至るまでみんな元気です。君のとこは?」
乙「ありがたいことに、うちもみんな元気です」
甲「そりゃいいことです」
乙「それでうちのお祖母ちゃんの話なんだけど」
甲「おう、お祖母ちゃんね」
乙「うちのお祖母ちゃんね、孫が好き過ぎるんですよ」
甲「そりゃどこのお祖母ちゃんも孫が好きでしょ」
乙「いやうちのお祖母ちゃんが一番孫のことが好き!」
甲「ほぉ、そこまで言うなら具体的なエピソードを聞いてみたいなぁ」
乙「まずね、小さい頃お祖母ちゃん家に行くと色んなもの貰えませんでした?」
甲「あー、わかる! 特に食べ物ね!」
乙「そう! 今でも貰えるんですけど、この間お祖母ちゃん家に行った時にね「あらあらこんな暑い中なのに来てくれたの? 冷凍庫にエバラ入ってるから食べなさい」ってね」
甲「ん? ちょっと待って、おかしくない? 冷蔵庫にエバラって。お肉でも冷凍してあるってこと?」
乙「僕もそう思ってね「初っぱなから焼肉かーい」と思って冷凍庫を開けたんですよ。そしたらね、冷凍庫に入ってたのはなんと「バニラ」だったんですねー!」
甲「エバラとバニラ間違えてた!?」
乙「ね、孫のことが大好きでしょ?」
甲「いやいやいや! それただのボケでしょうが!」
乙「おい! 僕のお祖母ちゃんのことボケてるとか言うな! 失礼な! まだしっかりしてます!」
甲「いやそっちのボケじゃないよ」
乙「そう? それなら許す」
甲「結構簡単に許すね、ま、いいや、ありがと。でもさ、孫大好きってちょっと伝わりづらいんじゃないかな」
乙「え? まじ?」
甲「マジ。今の話で孫のこと好きなんだねー、てなるほうが難しいよ。もっとエピソード頂戴」
乙「あ、じゃあこの話しよ」
甲「お願いお願い」
乙「家族でね、旅行に行こうって話になりましてね」
甲「ほうほう、いいね、楽しそうね」
乙「飛行機に乗ってちょっと遠出しようかって」
甲「うん」
乙「で、搭乗ゲートをねみんなでくぐった時にね、お祖母ちゃんだけ「ピンポーン」て引っ掛かっちゃったのよ」
甲「あちゃー、なんか金具か何か洋服についてたのかな、ベルトとか」
乙「僕もねそう思ってたんですけど、お祖母ちゃんだけ荷物と一緒に別室に連れていかれちゃったんですよ」
甲「ええ? 別室で詳しく検査されるってどんな危険なもの持ってたの!?」
乙「(コソッと)果物ナイフ」
甲「え? 果物ナイフ? 何で!?」
乙「それがね、飛行機に乗る時間が一時間以上あったもんだから、空の上で可愛い孫に梨を剥いて食べさせようと目論んでたらしいんですよ」
甲「目論むって」
乙「ね、孫のことが好き過ぎるでしょ?」
甲「好き過ぎるつうか君のお祖母ちゃん大丈夫?」
乙「……多分、大丈夫」
甲「そこは自信もって大丈夫って言ってーー!」
乙「それでね、また別な日に実家に帰ってゆっくりして、帰る時にお祖母ちゃんが見送ってくれたのよ」
甲「ああちょっと切ない話の匂いがするね」
乙「車で去っていく僕、それを走って追いかけて手を振ってくれるお祖母ちゃん」
甲「うんうん、お祖母ちゃんも寂しいのを堪えてね」
乙「そんでもう僕もたまらず車を降りて!」
甲「うん」
乙「(走りながら)お祖母ちゃーーーーーん! 次に会う時まで元気でいてねーーー!」
甲「ずっと走ってるじゃねーか!」
乙「お祖母ちゃーーーん!(走りながら手を後ろに差し出す)」
甲「リレーのバトンパスみたいになってるし! そんでお前のお祖母ちゃんどんだけ元気なの! いい加減にして!」
二人「どうもありがとうございましたーーー!