異世界転生にありがちな奴
なんか白い部屋に居る。 床、天井、四方の壁が真っ白で自分のすぐ近くにこれまた真っ白なイスがあった。
何で? いや本当に意味分かんない、僕特に変わった事してないよ? ああうん、まあ察するけど、これ異世界転生の導入にありがちな奴である事は重々承知していますけれど、でもこれは無くない? 僕死ぬような事はしてないよ?
僕は取り敢えずイスに座って考える、記憶を漁って死ぬような事が無かったか思い出せるだけ思い出す。
まずは転生しがちな行動は取らなかったか自問自答してみる。
まず王道の転生トラック、自分は誰かを助けるため、または単なる事故でトラックに轢かれなかったか?
これは考えるまでもなくNOだ、僕は家から出ていない。なので転生トラックは無いな、無論トラクターも無い。
じゃあMMORPG的なゲーム世界はどうだろう、サービス終了が迫ったVRゲームにログインしていなかったか?
これもNOだろう、僕はゲームは好きだがMMORPGどころか普通のRPGすら持ってないしVRの機械も勿論無い、ってかPCすら僕は持ってない。
だったら学校で授業を受けてる時に突然ってパターンは?
そもそも今は夏休み真っ盛りだ、学校に行ってない。
駄目だ、いくら考えても思い浮かばない、そもそも自分は一切家から出ず夏休みの宿題もそこそこにベットに倒れこんで眠った所までの記憶は鮮明に有るのだ、それが目が覚めたらこんな状況だった訳で……
「すいません、そろそろ考え事はよろしいですか?」
僕はいきなり誰かに声を掛けられて驚きの余りイスから転げ落ちた、あと汚い高音で叫んじゃった。
「申し訳ありません、どうやら驚かせてしまったようですね、一応イスに座った時点で声を掛ておいたんですが。」
「あっはい、こちらこそ過剰に驚いてごめんなさい」
「構いません、ここに来られた方は一様にパニック状態ですからね、慣れたものです」
「所で念のため聞いてみますがここは何処で貴方は誰ですか?」
「まあ予想通りでしょうが、ここは異世界への中継地点で私はその橋渡しの様な者であり物です」
「おや、もしかして考え読まれたりしてますか?」
「その通りです、ですのであなたが知りたい事もお答えしましょう」
「あっ待って下さい!心の準備が!」
「あなたの死因は魔王による呪いです」
「……えっ?」
ちょっと自分の死因が予想外過ぎる、あとこれ転生前に知って良いことじゃないと思う、これクライマックスとかで知る衝撃の真実だと思う。
「まあ正確には違うんですが分かりやすく言いますと、あなたがこれから行く異世界はこの世界の無数に有る平行世界の様な物です」
「なんか重大っぽい事がボロボロ語られていくが大丈夫かこれ」
「そしてその世界にも勇者が居たのですが魔王の手で破れ、更には魔王の力によって勇者と魂の繋がる存在であるあなたも命を落としてしまった訳です」
「よくわからないけどニュアンスで理解出来ちゃったなーなんかゲームの説明書におもいっきりネタバレされた気分だなー」
「そのためあなたが言うところのチートも付けて、異世界に召喚しようという事です」
「物申したいことが湯水の様に溢れ出るなーどうしようかなー」
「何か不満な事が有りましたか?」
「いや不満って言うか……なんか……いや別に良いです」
「それではあなたが異世界に渡る際のチートを決めましょうか」
「あっはーい、それは選択肢から僕が選ぶタイプの奴ですか?」
「いえ、私からアンケートを出し、その結果でチートを決めさせて貰います」
「選択肢も選択権もないんですか!?」
「この方法が最も適したチートをお渡し出来ますから」
「まあそう言うんなら従いますけど……ちゃんとしたの下さいね」
「任せて下さい、互いの能力を最大まで発揮出来る物を選びますから」