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勇者、転生して魔王になる。  作者: 名無しの奈々氏
5/6

5、アミラ

1/24 すみません・・読み返して色々入れ替えたり加筆したりしました

*ヴィシュヌ


 勇者だった、と語りだした魔王様はまるで他人の過去を語るように、あったことだけを淡々と語る。


 人間でいうそこそこ裕福な家に生まれたが、両親は放任主義であまり家におらず一人だったこと。

 あるとき急にメイドが魔王様へきつくあたるようになって、それが嫌で早く家を出たくなり部屋に引きこもって一人修行していたこと。

 成人と認められ、家の継承権が発生する16歳の春、両親はメイドに殺された。メイドには継承権がないため、魔王様を傀儡とするべく今まで虐げ、逆らえないよう洗脳しようとしていたと。

 メイドに捕まりそうになった魔王様は抵抗した。でも外に出なかったせいか、自分がどれほど異質で強いかわからなかった。ただの抵抗でひっかくだけのつもりだったのにも関わらず、猛獣の大きな爪で裂かれたようにあまりにあっさりと、無惨に死んでしまったこと。


 殺したはいいものの、なんの感情も沸かなかったこと。両親の復讐も、人を殺めたことも。

 そこから魔王様は、自分が他の人とと余りに乖離しているのではないかと気付いた。普通の人(・・・・)を知るべく家を燃やして旅に出たこと。


 初めて魔物に遭遇して襲われたとき、恐怖も何も感じず瞬殺してしまったこと。

 引きこもっていた間に本でギルド各町にあるギルドは、魔物を買い取ってくれると知っていたから持ち込んだこと。

 ところがその魔物は、この町のギルドで最高難易度の討伐対象であったため、不正と決め付けられ犯罪者として奴隷落ちが決まったこと。

 何度弁明しても理解されず奴隷の紋を押されそうになったとき、これまで数々の悪意が嫌になってあたり一帯を焦土と化し町を1つ地図から無くしたこと。


 別の街へ移り、情報を収集して普通の人のように振る舞うことを努めたこと。

 ところがあるとき、教会で適性検査を受ける機会があって受けたら破壊者という職業だと判明した。それは魔王候補だと言われて修道女を口封じに殺したこと。


 今後ステータスを覗かれないように鑑定と隠蔽を上げようとしたときに、自分が既に鑑定も隠蔽も4であること、練習したことのないスキルがあることに気付いた。

 練習したことのないスキルは、そういえば両親が習得していたスキルだった


 

「魔族って、人間を殺すとその人間が持ってたスキルに適正があれば習得できて、持ってる場合はスキルレベルを上げる経験値になる・・だよな?」



 唐突な問いに何故そんな当たり前のことを、と考えて、そういえば人間にはあまり知られていないかもしれないと思い至る。

 だとしても、何故今このタイミングでという疑問をそのまま投げかけようとして、職業を思い出した。破壊者、聞いたこともないが・・もしや


「・・・・も、もしかして以前の魔王様は」


 魔王様は首を振って


「いいや。魔物じゃない、人間ではあった。でも、何かの条件で人間のなかでの魔物っていう扱いになったんだろうな。」


「・・・恐らく、人間を大量に殺したことか、人間の住処をいくつも壊したことでしょうか・・・」


 はは、と笑ってから(・・・・・)、そうだろうな、と言った。

 同族を数々殺めてきたというのに、笑っていられる。ましてその表情には後悔など一切が含まれていそうにない・・内心戦慄する。魔物の私ですらそうなのだ、普通の人間となれば猶更だろう。


 きっと魔王様は、人間に受け入れられるには歪みすぎてしまったのだろう。

 他ならぬ人間の手で。


 そのあとも暫く続いた過去の話は、終わるまでの間私の頭には少しも入ってこなかった。


 それほどの衝撃。

 今まで私は何百年も人間と争っているのに、人間がどのように考え、暮らし、群れを作り、戦うのか全く知らなかった。

 人間たちの考えがどれほど矮小で狭量なのかを知らなかったのだ。


 今までその他のゴーストと変わらない半透明で、何もかもが触れられない幽体である魔王様のお身体が実体になる。

 ああ、そういえばゴーストは1500年生きると上位種となり、上位種となったゴーストは実体と幽体を切り替えられると聞いたことがある。


 このタイミングでの実体化、どうやら私は用済みらしい。



「・・・魔王様」


 どうしても顔が俯いてしまう、いつ殺されるかわからない恐怖か、はたまた。


 そのせいで少し小声になってしまったが届いたのだろう、続きを促すような視線を感じた。

 最早、魔王様がどこの誰であろうと、まして何であろうと、前魔王様さえ既にどうでも良いことだ。



 何故なら、”支援魔法8”でないと発動しない”魅了”が掛けられるほどのステータスの差があるのだから。



「わたくし、10柱がひとり、ご存知だとは思いますが名をアミラと申します。恐れながら、魔王様へ隷属する許可を頂きたく存じます。」


 俯いた顔を上げ、魔王様のまえに出ると膝をついてから、ゆっくりと魔王様へのお靴へ口付ける。

 魔族が圧倒的強者に対し隷属する意思をみせ、その許可を取るいわば儀式である。


「うーん、まあ。使えそうだからいいか。」


 一瞬、やはり私程度では駄目か、これも運命だ仕方ない・・・と諦めた矢先の承諾に、思わず顔を上げて


「・・・はい、末永くお使い頂けるよう、誠心誠意お仕え致します。」


 喜びに、身を震わせた。

本来の72柱をいい感じの数になる6で割って、12柱にしようと思ったんですが、ちょっと多いなと思って・・・でも更に6で割ると6柱・・・それだと少なくて5神将的な感じで6魔将ってのも考えたんですが、微妙なんで直して10に。余計微妙になった気もする。

1/25 今更盛大な間違いに気付きました・・・

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