01 始まりの時
一か月ぶりぐらいの投稿です。全然投稿できないです。皆さんすごいとただただ感激しています。
「……姫…様。姫様!アン王女様、起きてください!」
聞き慣れた誰かの声がしますわね。
「ん…レント?もう朝なの?」
カーテンの外が明るいので私はカーテンを開けようとベッドから降りました。
『シャ』目に入ったのは真っ赤に染まった空でした。遠くから叫び声も聞こえてきます。
「……っなんで⁉︎ねぇレント何があったんですの ⁉︎」
慌てて姫としてあってはいけない大声を出してしまいます。
「国民達の暴動です。姫様が魔女ではないかと疑っているようですね。」
肩に掛かりそうな長さで光の反射により黒にも青にも見える不思議な色の髪を揺らしながら彼は整った顔で微笑みました。正直ウザいです。……何も言ってませんよ?空耳ではないのですか?
「何が魔女だ!?何が暴動だ⁉︎そんな笑いながら言うセリフじゃないでしょう⁉︎」
「姫様。一度落ち着きましょう。まず身の安全を確保しましょう。」
ずいぶん荒れた私を押さえたのはメイド兼私の幼馴染兼王女らしくない私のブレーキ係のセーラでした。
セーラの父親は騎士団長だと聞いたことがありますわ。さらに、憎たらしいレントの義姉なんですの。
「身の安全?何故なの?」
「姫様は甘やかされて育ったせいか少々おつむが足りないようですね。」
またレントが微笑みながら言いました。〈甘やかされて育った〉私の最も嫌いな言葉の一つです。
私は人とは違うんです。
白い髪に白い肌。肌は紫外線に弱くすぐに赤くなり熱をもってしまいます。とてもヒリヒリするので余り外出はしません。
さらにこの国の王族の継承権は魔力の多さで決まります。私には5歳年上の兄がいます。私が生まれるまでは彼が最も継承権が高かったのですが私は生まれたときから5歳の兄の魔力を越していました。その上この国で一番魔力の強いはずの現国王で父上でさえも敵わないほどの魔力を持っています。今は魔道具で魔力を吸収していますが、それでも兄よりは魔力があります。
このように珍しい体質のため式典以外は人前にはほとんど出たことがなく、さらに継承権が危うい兄や兄を次期国王にしたい方々から虐められてきました。父上にも母上にも見て見ぬふりをされてきました。
私の王宮での扱いを知らない人々は私に「人前に出ないなど何様だ。」「我儘な姫だ。」「甘やかされて育った。」などと言ってきます。
王宮での私の居場所のなさを見てから言えや!甘やかされてないんだよ!……あら、少々口が滑ってしまいましたわ。とっ、とにかく!私は甘やかされて育ったなどと言われたくないのです。なのに、レントは分かっていてわざと言ってニヤついているのですわ。少しイラつきませんこと?