表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼の軌跡外伝 AMBITION  作者: るいあ
5/5

魔術師の恨み


街の外に建てられた簡単な石を積んだだけの墓標をぼんやりと眺めていた。


「ジール・・・、次は貴族に生まれろよ。」


それだけを言ってストライズは墓に背を向けた。

仲間を失い続けても決して止まる事は許されない。


新しいアジトへ戻ると椅子に深く座って煙草に火を付けた。


「報告、5名の治療費に金貨12枚の請求が来ています。」


ストライズは黙ってテーブルの上に金貨を並べる。


「報告、麻薬を焚いてた拠点の女達を売った金額が金貨18枚。」


ストライズが部下から金貨を回収する。


「ギールムのシマはどうなった?」


「飲み屋3つ、娼館2つ。既に参加に入ってる。うちのと併せて飲み屋4つ、娼館3つだ。」


収入源の管理はゼリオンの担当だ。これで少しは収入も増えるだろうがまだまだ全然足りない。

何より人が足りていない事をどう埋めるかが重要な問題になっていた。


「人が足りない問題について意見を聞こう。」


「あのボス・・・。」


「なんだオルゼ。」


「スラム街のガキを使うしかねぇと思います・・・。」


「ガキは真面に使えるまでに数年は掛かるだろう・・・。」


「いや、飯さえ与えれば簡単な仕事なら出来る筈です。最悪短刀を隠し持てば

敵の油断を誘う事も出来るだろうし・・・。」


「分かった、即戦力として育ててみろ。幸い部屋には余裕がある、幾らでも連れてこい。」


「あぁ、ボス。俺に任せてくれ。」


ガキにまで頼らなきゃ組織が回らねぇとはな・・・。


ストライズは立ち上がり捕らえた魔術師の女を見に奥の部屋へと向かった。


「よう、どうだ。気は変わったか?」


「さっさと殺しなさい。」


魔法を使えなくしているにも関わらず、女の目は死んではいない。

気が強いのか命を諦めているのかは分からないが悪くないと思った。


「麻薬漬けにして娼館か仲間になるかどっちがいい?」


「ぐっ、殺しなさい。」


「中級でも魔術師は貴重だからな。正直、余り壊したくはない。」


「・・・。」


「お前の望みを言え。何故ギールムの所に居たんだ?」


「ただの復讐よ・・・。貴族に対する恨みの・・・。」


「それは奇遇だな、俺達も貴族に恨みがあってぶち殺したから追われる身になった。」


「まさか、貴族を殺せるの?」


「あぁ殺せる。お前は誰を殺したいんだ?」


「シュタルム商会のシドラー。」


「なんだ男爵か、それなら今日中に殺してやるよ。」


「嘘・・・。」


「その代わり、お前は俺の物になる。俺の命令には永久に逆らわないと誓え。」


「その望みが叶うなら・・・。」


「契約は成立だ。次に来る時はそいつの首を持ってきてやる。」


ストライズはそのまま部屋を出る。


「ゼリオン、仕事だ。シュタルム商会のシドラーって奴をやる。首が必要だ。」


「それはまさか貴族か?おい、本気か?」


「そいつの事を魔術師が恨んでるらしい。中級魔術師が

ひとり手に入ると考えればやった方がいいだろ。」


「そうだな・・・。」


現状、龍の咢には魔術師は居ない。ストライズでも初級なら使える程度だ。

指輪の力で中級魔法は行使できるが魔術師ではないのだ。


部下達に調べさせた結果、相手の貴族は直ぐに分かった。

帝都の違法奴隷売買にも関わっているという話まで出ていた。


噂が流れるのも止めれないとはたかが知れているな・・・。

ゼリオンと二人なら影縛りを使って直ぐに終わるだろう。


そして夜がやってくる。


城壁を超える為の指輪は既に持っていた。

前に貴族地区に侵入した事を思い出す。


城壁を越えて侵入した貴族地区は昔と何も変わっていない様に見えた。


シュタルム商会は・・・。もう少し西の方か・・・。


そのまま夜の闇に紛れて走る。


目的地の商会を見つけて屋根へと登ると運が良いのか覗いた部屋にはシドラーが見えた。


「護衛っぽいのは二人だな。厳しいか?」


「まさか、影縛りを使えば直ぐだろ。」


部屋には三人、もう少し待ってみるか・・・。いや直ぐ行った方がいいのか・・・。


迷いだす時は大抵裏目に出る事が多い。ならどっちを選ぼうが構いやしないという事だ。


「いくぞ、左の護衛からやれ。」


「分かった。」


護衛からやるというのは万が一、護衛の実力の方が高かった場合に備える為だ。

片方だけでもやっておけば実力が上でも最悪2対1の戦いが出来る想定だ。


バリィィン!


ストライズがガラスを剣で粉々にするのと同時に闇縛りを発動する。


時を同じくしてゼリオンが左側の護衛目掛けて走り込む。


ゼリオンの剣が護衛の首を刎ねた事を確認して再度闇縛りをもう一人の護衛に向けて発動する。


同時にゼリオンが走り込む。


綺麗に血飛沫を上げながら護衛の身体が崩れ去るのと同時にストライズが

貴族に向けて闇縛りを発動させた。


「ひぃぃっ!」


叫び声を上げながら貴族が闇縛りでその身を固定される。


ゼリオンが走り込みその首を刎ねた。


あっという間に貴族の首を回収してストレージに保管すると部屋には護衛達が雪崩れ込んできた。


ゼリオンが敵の剣を受けながら後退するが完全に後手に回ってしまった。


あっという間に二人の周りが包囲される。


「チッ!」


思いのほか敵の人数が多く逃がしてくれそうにない。


ゼリオンが受け流した剣が空を斬るのと同時にストライズが指輪を発動させた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ