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蒼の軌跡外伝 AMBITION  作者: るいあ
3/5

氷狼の牙との局地戦


「よし、配置に付いたな、ゼリオン。」


頷いたゼリオンが手をあげると斧を持った部下が扉を破壊した。

同時にゼリオンとストライズが中に飛び込む。


中には全裸の男が8名と女が4名いた。麻薬を焚いたのだろう、桃色の煙が漂っている。


ゼリオンが麻薬のせいでぼんやりしている男達の首を刈り取っていくが

部下達は全裸の女に群がっていく。


「止めろ!ここで余計な体力を使うな!全部終わってからやれ!」


男達を殺した後で部下達に部屋を調べさせるが自分たちが使う分の

麻薬くらいしかなく他には数枚の金貨くらいしか出てこなかった。


部屋を出る前に部下達が更に麻薬を焚いてから出てくる。

あの量だと朝まで女達はあのままだろうな・・・。


「よし、次に行くぞ。」


女のせいで部下たちのやる気が少しはあがったみたいだ。

売るにしろ部下たちの慰み物にするにしろ女は使えるものだ。


それに目的が出来ると急に人間という物は力を発揮する生き物でもある。

これは少し嬉しい誤算というやつだろう。


だが3拠点目で問題が発生した。頑丈な石造りの壁に扉が鉄製で出来ていた。


中級の火魔法では鉄は溶かせない。つまり強襲は出来ないのだ。

敵に開けさせるしかないだろうが見張り用の小さな窓が付いている。


窓は人が通れる大きさではないがこちらの人数を見られれば戦闘態勢を取るだろう。

中に何人居るかは分からないがそうなるとこちらの被害も考えなくてはならない。


爆発で壁を吹き飛ばすのも音が出過ぎて駄目だろう。


「参ったな・・・。ゼリオン、何か考えはあるか?」


「正攻法で扉をバールで開けると多分10分は掛かるだろう。

それに中にいる敵にはほぼ気付かれるだろうな。」


溜息を吐くストライズに部下のひとりが出てくる。


「あの、ボス。見張り用の窓から魔法を撃ったり、煙を入れてあぶり出すのはどうでしょう?」


部下のジールがそう言ってくるのにストライズとゼリオンが頷く。


「そのアイディアは行けるな、神経系の麻薬と毒草でも焚いてみるか。」


ストライズが異空間収納から麻薬を取り出して作戦を伝える。


麻薬を焚いた瞬間に窓を割り、風魔法で一気に煙を流し込む作戦だ。

部屋の中に煙が充満するまでに1分程度だろう。


「どうやらいけそうだな。俺が麻薬と毒草を焚く、ゼリオンはガラスを割って風魔法を使え、

ジールは扉が開いたら固定だ。他は扉が開くまで路地に待機。」


部下達が頷くのを見てから作戦を開始する。


全員が配置についてストライズが麻薬の焚こうとしたところで

不意に鉄製の扉が開いた。


ガラスを割って風魔法を使う準備をしていたゼリオンが呆気に取られて固まる。

出て来た男が声をあげる瞬間、ストライズの闇縛りが発動した。


遅れてゼリオンが男の首を刎ねる。


ドシャっと男の身体が崩れた所でストライズが突入の指示を出すと

路地から部下達が一斉に部屋に流れ込む。


「予定は未定で決定ではないという事だ・・・。」


一瞬呆気に取られた事を反省しているのかゼリオンは黙ったままだった。


結局出て来た奴を含め、中には14名の敵が居たが幸いにもこちら側に被害はなく

無事制圧は完了した。戦利品として金貨30枚程度の金以外は目ぼしいものはなかったが。


「よし、次で最後だ。相手は27人死んでる事になる。つまりは残り21人程度だろう。」


そして影縛りはあと2回しか使えない。奥の手の筈の魔法をこれほど使うとはな・・・。


敵の最後の拠点に移動しながらストライズは考える。人数が互角なら奇襲をかけた方が有利。

だがあそこは見張りが居る筈だ。どうするべきか・・・。


それに焼き払う事は出来ない。ただでさえ金や物資が必要な時期だ。

燃やしてしまっては元も子もないのだ。


やがて敵の拠点近くへと到着する。息を整えながら、建物の陰から敵の拠点を確認すると

拠点の入り口には武器を持った見張りが2名程見えた。


「見張りが居るせいか入り口は鍵が掛かってないみたいだな。見張りの2人を影縛りで

殺してからさっき使おうと思った毒草と麻薬を使ってあぶり出すか。中にはきっと

ギールムが居る。奴は氷の上級魔法を使って来る筈だ、魔法を使われる前に

物理攻撃で仕留めろ。」


全員がストライズのその言葉に頷いてから3方向に散らばっていく。


「ゼリオン、見張りは任せた。」


「あぁ、行こう。」


ストライズとゼリオンが闇に紛れて見張りの兵士に近づく。

闇縛りが発動可能な距離に着くとストライズが闇縛りを発動させた。


その瞬間、ゼリオンが静かに走り出す。


身体が固まって動けない見張りは声も出せずに首と胴体が決別していく。

崩れ落ちる見張りの二人を脇によけるとストライズが麻薬と毒草を焚き始める。


それに併せてゼリオンが扉を静かに開いてから風魔法で一気に煙を流し込んだ。

既にストライズの周りには周りに散会した全員が武器を構えて集まっていた。


後は、出てくるのを待つだけだ・・・。


煙に気が付いたのか建物の中が一斉にざわめき出すのが聞こえてくる。

混ぜ合わせた煙の効果は喉が焼ける様な痛みと、かなり目に染みるという効果がある筈だ。


建物の中から次第に大きく聞こえてくる声にゼリオンが柄を握る手に力を込めた。



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