表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

怖い短編

手拍子

作者: 井川林檎

 ずんずんちゃっちゃ。まあるいお手て。


 ずんずんちゃっちゃで、どこかの海で、くじらの潮に虹がかかった。

 ずんずんちゃっちゃ、ずんずんちゃっちゃ。


 ずんずんちゃっちゃ。あいちゃんは遊ぶ。

 手遊びずんちゃで、なんでもできる。


 ずんずんちゃっちゃで、ジャングルの、小鳥のかあさん食べられた。

 ずんずんちゃっちゃ、ずんずんちゃっちゃ。


 ずんずんちゃっちゃ。誰でもみんな、できること。

 おうちでずんちゃ。お外でずんちゃ。手遊びずんちゃは楽しい遊び。


 ずんずんちゃっちゃで、遠くの国で、銀のミサイル発射した。

 ずんずんちゃっちゃ、ずんずんちゃっちゃ。


 

 「誰が悪いんだろう」

 いつも首をかしげる不条理。

 殺したり殺されたり。

 騙したり騙されたり。

 

 なんて酷い事件かしらとママは顔をしかめて番組を変える。

 あいちゃんは、こっちを見たらいい。そう言って子供向きの番組を見せてくれる。

 

 でも、くまさんがお兄さんと踊ったり歌ったりしている番組の裏では、やっぱり色々な出来事が起きていて、それを見る大人たちは、悲しがったり怖がったり、どうしたらいいんだろうねと愚痴ったりする。

 

 なんら、解決できやしない。

 同じことが、また起きる。


 

 ずんずんちゃっちゃで、やせた子が、絶望抱いて飛び降りる。

 ずんずんちゃっちゃで、赤ちゃんの産声。

 ずんずんちゃっちゃで、惑星がひとつ、砕けて散った。


 

 


 ずんずんちゃっちゃ。あいちゃんの手。

 ずんずんちゃっちゃ。まことくんの手。

 ずんずんちゃっちゃ。ずんずんちゃっちゃ。


 みんなの小さい手が鳴って、ひとつ鳴る毎に世界が変わる。

 黒い煙があがるのも、小さいお花が開くのも、どこかの誰かの手拍子のせい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ