手拍子
ずんずんちゃっちゃ。まあるいお手て。
ずんずんちゃっちゃで、どこかの海で、くじらの潮に虹がかかった。
ずんずんちゃっちゃ、ずんずんちゃっちゃ。
ずんずんちゃっちゃ。あいちゃんは遊ぶ。
手遊びずんちゃで、なんでもできる。
ずんずんちゃっちゃで、ジャングルの、小鳥のかあさん食べられた。
ずんずんちゃっちゃ、ずんずんちゃっちゃ。
ずんずんちゃっちゃ。誰でもみんな、できること。
おうちでずんちゃ。お外でずんちゃ。手遊びずんちゃは楽しい遊び。
ずんずんちゃっちゃで、遠くの国で、銀のミサイル発射した。
ずんずんちゃっちゃ、ずんずんちゃっちゃ。
「誰が悪いんだろう」
いつも首をかしげる不条理。
殺したり殺されたり。
騙したり騙されたり。
なんて酷い事件かしらとママは顔をしかめて番組を変える。
あいちゃんは、こっちを見たらいい。そう言って子供向きの番組を見せてくれる。
でも、くまさんがお兄さんと踊ったり歌ったりしている番組の裏では、やっぱり色々な出来事が起きていて、それを見る大人たちは、悲しがったり怖がったり、どうしたらいいんだろうねと愚痴ったりする。
なんら、解決できやしない。
同じことが、また起きる。
ずんずんちゃっちゃで、やせた子が、絶望抱いて飛び降りる。
ずんずんちゃっちゃで、赤ちゃんの産声。
ずんずんちゃっちゃで、惑星がひとつ、砕けて散った。
ずんずんちゃっちゃ。あいちゃんの手。
ずんずんちゃっちゃ。まことくんの手。
ずんずんちゃっちゃ。ずんずんちゃっちゃ。
みんなの小さい手が鳴って、ひとつ鳴る毎に世界が変わる。
黒い煙があがるのも、小さいお花が開くのも、どこかの誰かの手拍子のせい。