よくある怖い話
あらすじにもありますように、この作品は文化祭用に製作したもので未発表のものになります。また、原稿用紙2枚分という中で収めなければならなかったため、話のつながりが見えてこない部分があるかもしれません。
ダークな世界に皆様が誘われることを願っています……
「幽霊ってホントにいるのかな?」
私たちは優の部屋のテーブルを囲み、写っちゃった画像を見ていた。
「いるわけないって。いるのかもしんないけど、神様が見えないように私たちを創ったんだから。」
そう言うのは、優の右隣に座っている零菜。ツインテールでばっちりキメている。
「えー、でも失敗作って言ったらおかしいけど、見える人もいるんじゃないかな?」
これは優の左隣に座っている、七海。陸上で黒く焼けた肌がショートカットとマッチしてボーイッシュさが前面に出ている、先ほどの零菜と正反対の容姿だ。
この二人の意見をふまえて優がこんな提案をした。
「じゃあ心霊スポットに行ってみて確かめよう!」
一つにギュッとまとめた髪を揺らし、右と左を交互に見る。
「いいけど……いつ?」
零菜がウソでしょ、という顔をして優に質問する。
「今から! でどうかな? このスポットだったらここから近いし、今日行ってもそんな遅くならずに帰ってこれるよ。」
七海が優の意見を聞きうーん。という表情をする。
「それはそうだけどさ、夜しか出ないでしょ。出るとしてでも。夜は行けないかもしれないし。」
「だから今なんだよ。出るときは出るんだからさ。多分。」
「そんなもんかなあ?」
零菜と七海は呆れた顔をしたが、しぶしぶといった様子でカメラなどの準備をするために一度家へと帰っていった。
* * *
再び集合した三人は信れりスポットまで直通のバスに乗り込んだ。
30分くらいでそのスポットに到着した。
「インターネットではこの先のお寺で写真を撮ると写ったってなってるよね。」
優が確認するように零菜と七海に問う。
「うん。そうなってたよ。」
七海が答えを返した。
話しながらポテポテと歩いているうちにお寺に到着した。
お社の周りには同じ目的を持ったようなおじさんたちがたくさんいた。
「そんな出そうじゃないけどねー。」
零菜が呟きながらカメラをリュックから取り出す。
「じゃ、さっさと撮りまーす。はいっ、セットしたからね。」
三、二、一、カシャッ。
「撮れたかな。」
零菜が写真を確認する。しかしその写真には別段おかしなところもなく、普通に三人が笑顔でお寺をバックにして写っている写真だった。
「まあ、まだ明るいからね。でもデマって可能性の方が高いから。目的は終わったし、帰ろう?」
零菜が優と七海に言う。
「そうだね。暗くなる前に。」
そうして三人は帰りのバスを待つため、バス停に向かった。
三人はバスに乗り、改めて撮った写真を見てみた。
すると、真ん中で笑っている優の後ろに矢が刺さったままの落武者がはっきりと写りこんでいた。
それを見た瞬間三人は息を飲み、黙り込む。
沈黙を破るようにバスのドアが開いた。そして乗りこんできた人物を見るなり三人は抱き合った。
それは……
先程写真に写っていた落武者だったからだ。
三人は怖くなりバスから降りようとする。だが、バスのドアは開かない。
「う、運転手さん! 開けてください!!」
運転手の顔を覗き頼む。すると驚くことに運転手には顔がなかった。
「!?」
「降ろしませんよ。私たちと一緒に地獄へ行ってもらいますから。」
運転手が淡々とそう言った。
バスの行き先は優たちが住んでいる地区名から回送へと変わった。
バスは深い深い闇に呑まれていく。
バスの行き先は分からない。
三人の行方も誰も知らない。
読んでくださりありがとうございました。
この話の続きは一人ひとりのご想像におませかせしたいと思います。