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そうしてお姫様は、

偽りの花嫁

作者: 東亭和子

 私の使命は花嫁となること。

 長いベールで顔を隠し、姫様の変わりに役目を果たす。

 私は自分を犠牲にしても姫様を守らなければならない。

 たとえどんな男であろうとも、逃げる事は許されない。

 私が逃げれば姫様を危険にさらしてしまう。


 姫様は幸せにならなければいけない。

 好きな男と一緒になり、幸せになるべき人なのだ。

 私は孤児で身分も低い。

 それでも姫様は私に優しくしてくれた。


 心優しい姫様。

 美しい姫様。


 姫様に不幸は似合わない。

 いつか恩返しが出来たらと思っていた。

 これは絶好の機会。

 姫様は悲しんでくれた。

 私が犠牲になることはない、と言ってくれた。

 それだけで私は充分。

 姫様の役に立てるのが幸せ。

 姫様に涙は似合わない。

 私のために泣いてくれた、それを胸に私は花嫁となり相手をだまし続ける。


 目の前の男は何も言わない。

 私を姫様だと疑ってもいないのだろう。

 震える手を私は押さえた。

 深呼吸をして気持ちを落ち着ける。

 さあ、ここからが正念場。

 男と夫婦になり、一生芝居を続けなければならない。

 男が私のベールに触れる。

 深い青の瞳が私を見た。

 私はその瞳に吸い込まれそうになり、男をじっと見つめた。

 男がニヤリと笑った。


「我が花嫁よ。一生の愛をここに誓え」


 男に言われて私は口を開いた。


永遠の偽りを誓おう。

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