メッキ
一体いつから決め付けたのか
心を動かす言の葉が
考え
考え
出来上がる
飾り立てた台詞だと
それで言葉をこねて ひねって いじくって
メッキみたいな輝きと
おもちゃみたいな煌めきを
作り上げた
自分の細工に酔ってた僕は
ちょっぴり気取って鼻高々に
そのまがいもんをばらまきだした
「凄いだろ? この輝き!」
「本物の黄金さ!」
「買うなら今、今しかないぜ?」
「後悔はさせないよ」
でも今しかし
僕の手元に 積み上がった
在庫の山
分かってたはず
人はそれほど愚かじゃない
自分も騙せぬ代物に
他人を騙せるはずもない
本物があれば
それだけで良いのに
また小細工を繰り返す
僕がいる
「なぁ誰か」
「誰か買ってくれよ」
「この輝きが見えないのか?」
「この価値が分からないのか?」
壁の落書きに
真実の輝き
僕のメッキは
たちまち崩れて力をなくす
残骸と成り果てたそれは
見るも無惨な姿をさらけ出した
そして僕は初めて
自分の愚かさを知る
―――
ニューヨークの壁の落書きに、こんなものがあるそうです。
「心はパラシュートと同じで、開かない限り役には立たない」
正直、自分の「メッキ」では、とても敵う気がしません。