似顔絵
大掃除の途中 がらくたの間に 見つけた 一枚の色紙
名も知らぬ 画家の卵が 描いてくれた 僕の似顔絵
十年という でかい区切りに変わる寸前
その長い 時を経て 再び見つめ合う僕ら
絵の中の 小さな僕は 珍しく真面目な顔をしてるけど
やっぱり目は輝いているんだ
死んだ目をしてる 今の僕と違って
なぁ何が違うのかな? 分かってるのは たった一つ
あの頃の夢を 僕は諦めて 手放して 見失ってしまった
大体十年前 この似顔絵の頃 いつでも 笑っていれた
何よりも 希望や夢が どんな時にも 輝いていた
十年近く 時が流れて ちょっとだけ背が伸びた今
時を経て 再び見つめ合う僕ら
絵の中の 昔の僕は 真っすぐ 真っすぐこっちを見てる
僕がなくした 輝きを秘めた瞳で ただ僕を見つめてる
なぁ何を見てるんだい?
教えてくれよ
君には何が 見えてるんだい?
僕には何も見えないよ
答えてくれよ……
―――
似顔絵って言うものは、なかなかすごいものだと思いませんか?
写真や映像と違って、 描 い た 人 か ら 見 た 自分が見えるわけですから、うまいかどうかは別にして(オイ)、結構貴重なもんでしょう。
さてさて、詩の中に書いた、“見つかった似顔絵”。
お気に入りだった黒い帽子を被って、えらく真面目な顔をしている自分が可笑しいのと同時に、出来ればあんな頃に帰りたいなぁと思ってしまいます。
ま、そんなことを言ってたら、あの頃の糞生意気な自分に馬鹿にされることは、分かっているんですがねぇ……。