秋本理子の趣味
「天使かー!!」
「うるせえ!! ド阿保!!」
本日は秋本理子の家で集まる事となった。1LDKの物の少ない部屋の中、赤と白をメインとした室内は、何処かショートケーキを思わせる。(なんとなく旨そうだ)
其所にある赤いビーズクッションを客である俺に渡さず、もう一つのやたらに触り心地の良い、もっちりもちもちした柔らかいクッションを俺に押し付けて、ゴロついていた。視線の先にはスマホ……。
「何がそんなに御前を駆り立てるんだ……?」
「えースマホにイラストサイトとか、漫画サイトを導入し、日々合間を縫って閲覧しているのだー」
どやぁっ。と首を少し上に上げる。獲物を狩ってきた猫が飼い主に褒めて欲しくてとる態度と良く似ている。
スマホを覗き込むと、カラーイラストの漫画のようだ。本好き、漫画好き、小説大好きな此奴にとっては最高とも言えるべきものなのだろう。
俺は半ば冷めた視線をよこし、テーブルに頬杖をつく。
「御前、遊んでて大丈夫かよ……。締め切りは?」
「あー……超絶マイペースな人と話していたから、時間の感覚が鈍いんだよねー……。えーっとぉ」
そう言ってのっそりと立ち上がり、書斎と化したもう一つの部屋の許へ。彼奴が去ったことを確認してから、長い溜息を付いた。
超絶マイペースって……御前人のこと言えないからなっ!?
其れから数分後、ふらりと野良猫の如く戻ってくると、ビーズクッションを胸に抱き、ゴロゴロとしながら話始めた。
「大丈夫だったー。何時もの速書きでやれば追いつく追いつく」
そうのんびりとぼやき、またスマホを機動させる。……今ので確信……御前は人のことを謂える立場にいない。居るはずがないっ!!
死にかけの蠅を見るような目をしていると、其れに気が付いたように此方にすすっと近づく。
「ねねっ、コレ綺麗だよねー」
ぴったりと寄り添うようにして、スマホの大画面を勧めてくる。現れたのは漫画ではなく……刀? すらりと長い鉄の塊が、寄贈されている。其れをにこにこと目を細めて指し示す。
「御前何時から……?」
「小四からっ!! 漫画でも日本刀使う女子結構多かったから。言っとくけど、つい最近はまった訳じゃ無いから」
此奴の小四年の頃が非常に心配になった。
─終─
私の日本刀ブームは小学生以来っすよ(`・ω・´)