第4話 巨大ロボットの動かし方は、意外に簡単♪
皆さん、お久しぶりです。あ、初めましての方もいらっしゃるかもしれませんね。わたし、光風高等学校(原作では白鳳学園)二年の野乃原真菜といいます。
わたしは高校で、プラネットメーカーという装置で擬似的な惑星を創るクラブ“なんちゃらプラネット”に参加しています。
擬似的といっても、システム内に宇宙空間と同じ環境を再現して、小さな恒星や惑星を創るのですから、本物の星といっても過言ではありません。また、プラネットメーカーは世界各地で動かされていて、年に一度、八月末頃に、ユーザーたちが創造した星の美しさを競い合う“プラネットコンテスト”が開催されます。
前回のプラネットコンテストで、わたしたちなんちゃらプラネットは、コンテストの特別賞を受賞しました。偶然にも、奇跡の青い惑星“プラネットMANA”を誕生させたのです。
しかし、わたしの身体に起きた大変な出来事を解決するため、プラネットMANAはコンテストを迎えることなく破壊することになりました。でも、プラネットメーカーの開発者でもある優子さんが、システムログから惑星のデーターだけを復元してくれて、コンテストで発表してくれたのです。(その辺りの出来事に関しては、同一作者小説 『なんちゃらプラネット』 をご覧ください♪)
特別枠での受賞…。正式にコンテストへ参加したわけでもないため、わたしたちなんちゃらプラネット部は、次のプラネットコンテスト出場を目指して、現在、新たな惑星創造に取り組んでいます。
今度こそ、神倉先輩の夢でもある、プラネットコンテストに出場して…。そのときこそ、わたしの想いを神倉先輩に伝えて…。
などと考えているのですが、それは、永遠に叶わない幻で終わるかもしれません。その理由とは、わたしがいま四聖界という異世界にいて、巨大ロボットに乗り込みダイアスポア・ネオとかいう盗賊団と戦おうとしているからです…。
わたしが立っている場所は、特殊空間に浮かぶ丸いプレートの上…。いったい、何がどうなっているのかわかりませんが、わたしは“超龍神リーンウィック(リーンくん)”という巨大ロボットの中にいます。
元々リーンくんは、ブルース(ブルースピネル)さんの超獣神ということでしたが、諸事情により登場することが出来ないそうなので(よくわかりませんが、ショウさんとブルースさんは一緒に出てくることは無いそうです)、時空盗賊団ダイアスポア・ネオとの決戦を前に、わたしがリーンくんのマスターとして選ばれちゃったようなんです。
『真菜先輩、ちゃんと乗り込めましたか?』
リーンくんの操縦空間に、一つのモニターが浮かび上がり、かっこいい男の子の顔が映し出されました。リーンくんと同じ超獣神の一体、“超鳳神グランゾル”のマスター“ダイくん”です。
ダイくんは、同じ学校の一年後輩で、小さい頃から超獣神と一緒に戦い、この四聖界では“破壊と再生を司るへっぽこ勇者”と呼ばれているみたい。なぜ、破壊と再生を司るへっぽこ勇者なのかというと、その辺りは同一作者小説 『超獣神グランゾル』 を見てくださいね♪
それはともかくとして…。
「うぅ〜…。なんとか乗り込めはしたけど、わたしに巨大ロボットの操縦なんて無理だよ〜〜〜」
わたしは、ふわふわと不安定なプレートの上で、情けない声を出しちゃいます。ショウさんに無理矢理四聖界へ連れて来られたまでは良かったんだけど、まさか自分が巨大ロボットに乗ることになるとは夢にも思いませんでした。
『あぅ〜。超獣神の操縦は、そんなに難しいのもじゃないんですよ〜♪』
ダイくんの反対側に、もう一つのモニターが現れ、すっごく可愛い女の子が映し出されました。同じく超獣神の一体、“超麟神アルフォーニ”のマスター“レイチェルちゃん”です。
レイチェルちゃんは、この四聖界の出身で、ダイくんとは小さい頃からの知り合いみたい。わたしと健介ちゃんみたいな関係なのかな? ただの幼なじみ…にしては、仲が良すぎかも。
とにかく、レイチェルちゃんがダイくんのことを好きなのは間違いないと思う(全身から好き好きオーラが出ているし…)。でも、ダイくんの方は、ショウさんの双子の妹でわたしの命の恩人でもある優子さんのことしか見えていないみたい。優子さんはというと、双子のお兄さんであるショウさんのことが好きで(学校でもブラコンで有名)、幼なじみでもあるダイくんのことをすっごく嫌っているみたいなの。
この前、学校で近づいた(抱きつこうとしていた?)ダイくんに対して、優子さんが百烈拳を繰り出して、三階の窓から叩き落としたのには驚いちゃったな〜♪(ダイくんが無傷なのにも驚いたけど)
いや、いまはそんな複雑な人物関係を考えている場合じゃなかったんだ。
「難しくないっていっても、巨大ロボットなんだよ。レバーやペダルなんかを操作して、スイッチやボタンを押したり、いろんな計器類を見たりして」
テレビや漫画でよく出てくる巨大ロボットなんかは、決まって複雑な操縦法をしています。いまは操縦系の装置は見あたらないけど、このあと、目が回るような複雑怪奇な操作をしなければならないはず…。誓っていうけど、わたしは普通の一般人であり、決してニュータイプなんかではありません。
『真菜先輩、落ち着いてください。超獣神は機獣神なんかと違って、複雑な操作は必要ありません。え〜っとですね〜、感覚で動かすっていうか〜。と、とにかくやってみましょう♪』
説明が面倒だったのか、ダイくんは、早々に話を切り上げました。
いまさらではあるが、こんな巨大ロボットを動かすんだから、操縦法の講習なんかをすべきなんじゃないのかな…。免許も持たない高校生に、いきなり自動車の運転をしろといっているようなものだよ〜。ううん、自動車みたいなものなら、なんとか動かせると思う…。巨大ロボットって、あきらかにわたしの理解の範疇を超えた兵器なんだから、簡単に動かせるっていわれてもそうですかって納得できないでしょ〜。
それでも、わたしがリーンくんを動かさないといけないことに変わりはない。ここは、覚悟を決めて、ダイくんの説明に集中することにしよう。
『真菜先輩、良いですか? まずは、目の前の操作装置を手に取ってください』
ダイくんの言葉を合図に、白くて小さいペンケースのような箱が現れる。宙に浮いているソレは、わたしの想像を遥かに超えた操作装置でした。
「………。…へっ?」
わたしは、意味がわからずに間の抜けた声を上げてしまいます。
縦148mm、横36.2mm、厚さ30.8mm(突起部分を除く)。手の平へすっぽりと収まる形状に、いくつものボタンが付いています。電源ボタン、十字キー、AボタンにトリガーのようなBボタン、ホームボタンと+−ボタン、下のほうに1ボタンと2ボタン…。ぶっちゃけていうと、目の前に現れた操作装置とは、大人気家庭用ゲーム機で使うコントローラ“Wiiリモコン”だったのです。
『まず、周りの人から充分に距離を取り、リモコンが飛んでいかないよう手首にストラップをかけます。あっ、これ重要なことですから、必ずお願いしますね♪』
驚いたことに、モニターに映るダイくんも、Wiiリモコンを持っています。そして、手にしたWiiリモコンを振り回し、操作法の説明を始めました。
『超獣神を動かすには、こう! 攻撃するには、リモコンを縦に振ったり、横に振ったり』
ダイくんは、まるで剣でも持っているかのように、Wiiリモコンを振り回します。それに従って、ダイくんの乗るグランゾルが同じようなアクションを起こします。
『で〜、このボタンを押せば、魔法とかの選択画面になって…』
リモコンの下の方にある1ボタンを押すと、近くに小さなモニターが現れ、いろんな技や魔法が選択できるようになっていてポインタを合わせ〜…。って、そうじゃなくって!
「あ、あの〜…。ダイくん?」
わたしは、そのとんでもない操作法に唖然としてしまいます。すると、別の意味に勘違いしたのか、ダイくんは苦笑しながら頭を掻きました。
『えっ、難しいですか? じゃあ、レイチェルの使っている“タッチパネル”にします〜?』
再び目の前に小さな箱が現れました。
縦73.9mm、横133mm、厚さ21.5mm。半分からぱかっと開き、二つのモニターが縦に並んでいて、どうやら下画面がタッチパネルになっているみたい。
「って、DSですかっ!」
ま〜、いまさら説明する必要もないと思うけど、現れた操作装置とは、最近は教育現場でも使われている大人気の携帯ゲーム“ニンテンドーDS”だったのです。
『あぅ〜♪ DS〜♪』
見ると、レイチェルちゃんがDSを片手に、タッチペンでアルフォーニを操作していました。しかも、タッチペンで操作しているとは思えないほど、素早く複雑な動きをしています。
「う、うむ〜〜〜…」
確かに、これならわたしにも動かせそうです。
でも、目の前に浮かぶ“Wiiリモコン”と“ニンテンドーDS”…、いったいどちらの操作装置を選べば良いのでしょうか?
おしまい…
あとがき
え〜、超獣神の操作法、本気にしないでくださいね(笑) この元ネタは、あくまでも文字だけ4コマですから、とんでもないオチが付いているだけです。ま〜、ストーリーは気にせず、笑ってください。
2008/06/09 Crystal