表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異界渡りシリーズ

特攻服とドリル頭

作者: 星宮雪那
掲載日:2015/10/19

俺のヤンキー生活に異世界のご令嬢が飛び込んで来たんだ。


その日は、学校。

利根川市立第三高校は、安定の休日だが。

俺たち利根川市紅蓮の会と言うヤンキーグループの集会だった。

ヤンキーだって、格差社会。

高校位は出てくれと言われて入る事も有る。

成績は悪く無いが。

大人が嫌いで真面目にノートとかはとってない。

まあ、馬鹿高校なので、授業聞いてればテストの難易度は低いから余裕だった。

本来なら、進学校の第一高校に合格出来る頭が有るのは秘密だ。

だって、真面目に勉強とかたるいし。


高校三年になって、俺、朝霧義貞(あさぎりよしさだ)は、このヤンキーグループの総長となった。

真紅の特攻服に身を包み、お気に入りの改造バイクをチューンナップしてからの登場だ。

皆より一番遅くの登場だから、初めは異変に気付かなかった。

漫画みたいな薄い紫がかった銀髪、いやあそこまでいくとアメジストか?

の、すこぶるマブイ美少女が、演劇みたいな煌びやかなコスプレドレス姿で日傘を持って佇んでいる。

髪型は、縦ロール…ドリルだ!

なにが異様かって?

足元に、俺の配下が倒れ伏して居たのだ。

しかも、あの美少女はあんなにか弱そうなのに、何処にも隙が無い。

見惚れるほどに洗練された動きで、配下達を軽くのしていた。

手に持つ日傘はどうやら仕込み傘なのか、どれほどふるっても全く痛む様子はない。

あれは…強いなんてもんじゃない。

戦闘慣れした冷徹な暗殺者のようだ。

なのに、見惚れて目が離せなかった。

あんなに女が、何もかも綺麗だと思ったのは初めてだった。

だが、良くみると、あいつらから彼女は逃げて居るだけだ。

まあ、こんな所にあんなに派手な出で立ちで紛れ込んだら、絡まれるよな。

苦笑しながら、俺もあいつの近くに寄った。

「なぁ、あんた何しにここに来たんだ?」

「無理矢理転移させられたのよ、来たくてきたわけじゃ無いですわ!」

転移?無理矢理?

何こいつ。

ラノベの異世界転移みたいな事を…。

思考を遮った形で、彼女の日傘が俺に振るわれた。

問答無用かよ⁉

「良いから退いて下さいまし!」

「ぶはっ!」

急所は避けた。

でも、なんだこのバカ力。

あの華奢な身体の何処から…。

ああでも、こいつになら負けても、いい、かな?

俺の意識が暗転した。

多分、あんな事を思ったのは。

既に一目惚れだったのだろう。

俺はあいつの配下になった。

あいつは公爵令嬢で、レイラと言った。

無理矢理捏造された罪で婚約破棄され、異世界転移してここに来たのだと言う。

何人かは信じなかったが。

俺はレイラが不必要な事を言ったり。

嘘をつくタイプには見えなくて信じた。

つい、こいつを面倒見る事にしたのは、彼女が綺麗すぎて。

純真無垢な世間知らずっぽかったから。

他の奴らに任せたくなかったのだ。

…この時は、流石に牽制のつもりはなかったんだぜ?

昔、聞いた事が有るのだ。

利根川市は、神隠しが多いと。

異世界と繋がっていたりすると言う、七不思議的な噂を。

政令指定都市ではなく、精霊指定都市だと言う噂も有る。

だから、レイラがここは精霊が少ないと言った時驚いたのだ。

彼女には精霊が見えるそうだ。

俺の持っているマンションの一室に、俺は彼女を置いた。

基本的な事は俺が世話をした。

あてがった洋服の素肌の出る多さに、彼女は最初呆然としていた。

中世の女性や、中東の女性のような価値観なのか。

素肌を晒す事に困惑したのだろう。

仕方なくロングスカートや長袖に、手袋やブーツと言ったもので、素肌を隠させたが。

日本の群馬の暑さに、暫くして諦めたのか。

他の人に習うようになった。

流石にタンクトップに短パンは、無理だったようだが。

女特有の事柄は、俺の乳母に頼んだ。

異世界云々はともかく、世間知らずの外国人で、テレビもないような全寮制に居たから。

日本の常識何も知らない、と言う事にして置いた。

嬉しそうな笑顔が、愛らしかった。

俺の手料理くらいで、なんであんなに喜べるんだ?

だから照れてぶっきらぼうになってしまう。

俺の周りの女は媚びて来るから苦手だ。

母も浮気性の浪費家だったから、余計にそう思うのだ。

両親の仲は冷え切っており。

父は仕事の後は愛人の元から帰らない。

母は自由人なので、父の浮気を気にも止めず、自身も浮気三昧だ。

だから俺には二人とも無関心。

気付いたら、グレるのも自然の流れだったのかもしれない。

レイラは一見きつ目の顔立ちのせいか冷たく見えるが、裏表も無い。

貴族のご令嬢なら、腹芸のような事も出来るのだろうが。

俺の前で、レイラはただのレイラで居たのかもしれない。

何もかも物珍しいのか、いつも小さな子供のように、目をキラキラ輝かせて居た。

こいつを切り捨てたアホな婚約者は、こいつの価値も愛らしさも分からないボンクラだったのだな。

俺の為に可愛いい人を送ってくれた馬鹿な王子、としみじみ思った。

「義貞、あれはなあに?」

「あれは、観覧車って言う乗り物だよ。

乗るか?」

「うん、乗りますわ!」

俺が手を差し出すと、はずかしそうに頬を赤らめながら俺の手を取る。

遊園地デートはそんな感じ。

「義貞、あれは、なあに?」

「あれはふくろうって言う夜行性の鳥だよ。

大人しそうに見えて肉食だぜ。」

「まあ、見かけに寄りませんのね。

でも、モコモコして愛らしいわ。」

「お前の方が、愛らしい、よ」

「きゃぁ、あの獣もモコモコですわ…義貞?どうかなさいまして?」

「な、なんでもねぇよ!

(空振りかよ)あ、あれはコアラだよ。」

動物園デートはこんな感じ。

「こ、恐いですわ…。」

小声で囁く。

何も言わずに手を握ると、ビクリとしてから安心して手を握り返してくるレイラ。

たまたま見ていた映画で、怖いシーンに怯えたので。

手を握っただけなんだからね!

と、内心無駄にツンデレる義貞。

映画館デートはそんな感じ。

ちなみに、変装してのデートなのは、必ず出刃亀な元紅蓮の会配下が居るからだった。

何故元紅蓮の会なのかと言うと。

俺達がレイラに負けた時点で、解散させたからだ。

いくらあいつが強くても、女に負けたとか恥ずかしいだろ?

ヤンキーをする熱も冷めたのもある。

時折俺のマンションにたむろする仲間達は、知らぬ間にレイラに懐いていた。

異世界云々を除いても、レイラは対等に俺達とやり取りする珍しいタイプ立ったのも有るし。

あの強さは脳筋喧嘩馬鹿には言葉も言らない効果だったのだろう。


「君が朝霧義貞君かい?

初めまして、俺は三河家康。

銀髪のレイラと言う少女を探して居るんだが、何か知って居たら教えて欲しい。」

「レイラって人がなんなんだよ。」

イライラした口調で問いかける。

あいつにとって、敵なら俺が潰す。

胡乱な目で相手を眺めた。

「彼女ね、手酷い裏切りに合ってね。

故郷を追われたんだ。

即座にそれが冤罪と判明したんだけれど。

手の届かない地域に送られたんだ。」

「へぇ、そんな目に合ったなら、故郷に戻りたいと思うのかな?」

「それは彼女がここに居ようと帰ろうと、それは彼女が選択する事さ。

ただね、彼女の家族は、彼女が失踪して嘆き悲しんで居る。

彼女は家族や友達には愛されて居たからね。

せめて手紙のやり取り位はしても良いとは思わないかい?」

優しいが、芯の通った言葉に、俺は反応に詰まった。

ふぅ、と溜息をついて、ジッと彼は俺の目を見据えた。

強い瞳だった。

見透かされそうなそれは、ふわりと微笑むと色が変わる。

レイラにも感じた、叶わない何かを感じて固まる。

「成る程、知って居るんだな。」

先程迄の優しい声。

なのに、まるで違う何かを感じた。

背中から、ゾクリとした。

冷や汗が止まら無い。

「さて、レイラさんが、もしも元の世界に帰りたいと思うようなら。

俺に連絡して欲しい。

俺も、依頼主…国王もレイラさんに危害を加えないと約束しよう。」

バッと見上げてしまう。

「元の世界?」

「ああ、彼女の故郷。

ウェデリア王国…異世界セレイラだな。」

「な、何で今更保護しようとしたんだ?」

「加害者、つまり彼女をこの世界に次元移動…つまり転移させた者達が、魅了持ちに騙されて居たと判明したんだよ。

見苦しい事に、捨てたレイラさんを今更確保して安定した生活に戻りたいらしい。」

「一度粉々に壊れた関係が、誠意も無く戻るわけネエだろ。」

俺の低い声に、家康は頷く。

「その通りだ。

それを心配した国王が、俺に依頼して来たんだ。

元々異世界からの迷い人は、我らの観察対象だからさ。

居場所は特定出来て居たんだ。」

「観察対象?」

「他の異世界から来た者は、たまに送られた世界に馴染めず消滅したり、暴走する事が有るんだ。

利根川市は転移事故も多くてね。

俺たちはそう言う案件専門の人間なんだ。」

「…神隠し?」

噂に聞いた忽然と居なくなる行方不明事件。

ここ利根川市は多いそうだ。

頷く家康に、ハッとして飛び付く。

「レイラは、レイラは大丈夫なのか?!」

「彼女は大丈夫だったよ。

まぁ、セレイラと地球が近い磁場だからかもしれないけれどね。」

微笑ましそうな顔でこちらを見ていた家康には気付かないまま、俺はホッと息を吐く。

「さて。」

と言って俺の頭に手を置く。

「何を?」

と問いかけようとしたら、しぃっ、と言葉を止められた。

満足気に頷くと、微笑みながら家康が呟く。

「うん、君に選択肢を与えよう。

一、このまま彼女を異世界に見送り、全てを忘れる。

二、彼女の手助けを出来る能力を鍛え、彼女と異世界にも行けるようになる。

さあ、どうする?」

そんなのは答えるまでもなかった。

たとえレイラが俺を選ばなくても、彼女を手助け出来る方を選ぶに決まっている。

そして、俺はアルバイト的な見習い異界渡りとなった。

配下の数人も、実家と縁切りして居て。

一緒に異界渡り見習いとなった。

ああ、俺達は一蓮托生何だな、と少し嬉しくなったものだ。

奇しくも両親が離婚し。

俺は彼らと縁を切った。

やはりと言うか、あいつらは俺が縁切りすると言っても嘆くこともなかったのだ。

結構な手切れ金と、あのマンションは貰ったが、就職するから何も困る事はなかった。

レイラにはなにも知らせず、俺は見習い修業に励んで居たある日、マンションからレイラが消えた。

「レイラ!レイラ!何処だレイラ!」

半狂乱の俺は、家康先輩に肩を叩かれ我に返る。

「クソッ、ヤられた。

多分元の異世界に拉致されたんだろう。」

少し悔しそうに、家康先輩は呻く。

そろそろ落ち着いたレイラの家族と、手紙のやり取りをさせられそうな下準備中だったのに。

「ど、どうしよう…俺まだ転移術使え無いから、あいつを助けられ無い。」

「落ち着け、俺が行けるから。

俺と同伴なら異界渡り出来るんだよ。

さぁ支度しろ!」

そう言うと、しゃがみ込んだ俺を引っ張り上げて。

家康先輩は俺を連れ、異世界転移術の準備を始めた。

俺が行った時、既に事は終わってた。

真紅の特攻服を身に纏ったレイラが、何かされる前に王子をのして居たそうだ。

ああ、流石だよレイラ。

ツーか綺麗過ぎて、特攻服似合わねえな。

特攻服姿見てないけど。

一度公爵家に帰宅して居たらしい。

今は可愛いドレス姿だ。

やっぱりレイラには、可愛いいお嬢様服が似合うんだよな。

少し寂しく思ったら、彼女が俺の胸に飛び込んで来た。

後はまあ、なるようになったって言うか。

つい抱き締めて、家康先輩と王様ににやにやされたって言うか。

その後、彼女の実家ナーザンド公爵家に挨拶に言ったら。

何故か彼女の母親に。

「娘をよろしくお願いしますわ、婿様。」

え?俺まだ付き合っても居な…。

「娘を捨てたりしたらコロスコロスコロスコロスコロス。」

何故か小声で、彼女の父親が呪いの言葉を囁いて来る。

だから、付き合っても居無いのに、捨てようも無いっての。

てか、こんな親バカ丸出しで良くあの王子と婚約させたな。

権力でねじ込まれたのかな?

分からんけど。

「まあ、お父様もお母様も、義貞を困らせないで下さいまし。」

やんわりと両親から俺を引き剥がすレイラ。

但し、目は笑って居無い。

「ワシの可愛いレイラたんがぁ。」

「はいはい、ごめんなさいねお邪魔虫は退散しますわ。

ほら貴方!行きますわよ!」

ぐいっと引っ張り上げて引きずる。

ああ、レイラの母だわ。

と納得して居ると、レイラはキュっと手を握ってきた。

やべえ、可愛い。

照れ臭そうに目を逸らしている。

「あ、あの…義貞。

わたくしね、貴方に聞いて欲しい事が有りますの。」

「お、おう。

俺も、だ。」

テラスに移動して、俺はレイラに告白をしたら、わたくしもと抱きつかれた。

何て告白したって?

恥ずかしいから聞かせねえよ!


こうして、俺達は一度帰国し。

夫婦の異界渡りとして、ずっと活躍していくのだった。

ヤンキー義貞サイドの話です。

レイラサイドより糖分多めでしょうか?

むさいヤンキーばかり見ていた義貞には、可憐なレイラは強烈だったようです。

ヤンキーのわりに奥手なので、結婚するまで白い関係です。

多分レイラの方が積極的でしょう。

それでは又

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ