アリスゲぃム
「ン…」
「おはよう……」
「此処は ?」
目の前には綺麗な青緑色の髪をした男の子。
床を覆い尽くす程の長い長い青緑色の髪に、綺麗に澄んだ湖畔の様な瞳。
白くくすみの無い肌にすっと通った高い鼻。形のいい唇に薔薇色に蒸気した頬。こんなに美しい男の子が居ていいのかと思った。
「此処は……サンストーン。僕はラプンツェル……君は ?」
「さんすとーん ?私は……羽塚有珠。」
ラプンツェル……何処かの国の童話だっけ?塔に閉じ込められた可愛らしいお姫様と王子様が愛を育むストーリー。ハッピーエンドで流石童話なストーリー。
「アリス……待ってたよ僕等のお姫様。」
「僕等の…… ?」
「そう。僕等のだ。暫くしたら魔女が来る。」
魔女がきたら王子様は突き落とされてしまうんじゃない?羽塚は王子様の変わり?突き落とされて仕舞うのですか?
『僕の可愛い坊や!髪を降ろしておくれ。』
「はい……お母様。直ぐに降ろします。」
お母様?お父様の間違いではなく?
声は絶対に男の人なのに?
ちょっと耳には自信が有るから断言出来る。絶対にさっきの人は男の人だ。
「おや……可愛らしいお姫様じゃないか。」
「ええ。ついさっき降ってきたんです。」
「こんにちは。羽塚有珠です。お邪魔してます。」
ラプンツェル曰くお母様は確かに男の人でした。
アメジストの様に澄んだ紫の髪を耳の下辺りまで編み込み……腰辺りまでの長い髪をしてます。
髪だけ見ると女性に見えます。
ラヴェンダー色の瞳は切れ長で少しつり目です。猫みたいです。
すっと通った高い鼻に形のいい唇。月並みな表現ですけど……綺麗な人です。
「そろそろ帰ります……入口は何処ですか?」
「入口も出口も無いよ。」
「窓から飛び降りて見たら?」
流石に窓からは飛び降りる事が出来ません。だって死んでしまいます。
まだ羽塚は死にたくないです。
ざっと見建物五階分ぐらいは有ります。だいたい飛び降りて死ぬ高さが建物五階分らしいので、丁度飛び降りたら死ねる高さです。四階分ぐらいなら頑張って飛び降りたのに……
「ね?無理でしょ?ずっと僕等と一緒に居よう……」
「ほらね。おいでアリス。髪を編んであげよう。」
「はい。どうしても降りれないなら此処に居ます。」
彼等と過ごし始めて段々髪が伸びました。
今では床に着くぐらいまで伸びました。一度髪を切ってみたら魔女様にこっぴどく叱られました。それ以来切ってません。いつ切るか分からないからと言う理由で手には手錠が付けられました。
もう彼等から逃らげれません。
いつもどちらかが私の側にいて私を繋ぎ止めるんです。
逃げたくても逃げれなくなりました。
ラプンツェルを助ける筈の王子様を代わりはいつの間にかラプンツェルの代わりに囚われの姫になってしまいました。
彼等の子供も産まれました。どちらも可愛らしい男の子です。彼等みたいにならない事を願います。
ラプンツェル&魔女badend
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「最初のアリスは失敗か……」
アリスゲィムシリーズです。
最初の被害者羽塚有珠ちゃんはラプンツェルと魔女の被害者ちゃんでした。
第二を先に書いちゃったんだけど……第二のアリスは誰の被害者なのでしょうかね?