幸せな初詣
おまけ回です。ニヤニヤしてくれたら嬉しいな。
年が明けて1月2日。
ピンポーンとインターホンがなり、圭佑は家の扉を開けた。
「圭くんあけましておめでとうー。今年もよろしくね」
「お、おう…。よろしく」
マジで来たよ。
そこにはニットにプリーツスカートと、ふわっと可愛い姿の三吉が立っていた。
「おじゃましまーす」
事の始まりは、クリスマスから数日後。彼女の家でファッション雑誌を一緒に見ていた時だった。
「このヘアアレンジ可愛い~」
「ああ、本当だ。いいな。これくらいなら俺でもできるしな」
「え!!」
丸くて可愛い目が更にまんまるになった。
「圭くんこれできるの?!」
「え、あ、まぁ…。店が忙しい時とかちょいちょい手伝わされたからな」
「本当に?!じゃあやってって言ったら、私にもやってくれる?」
「俺がやって良いなら、別にいいけど」
「じゃあやって!!」
瞳をキラキラさせたお願いに思わずOKを出してしまったが、やはりプロではないので、本当に良いのか?と思ってしまう。
家の中から店へと向かい、鏡の前に座ってもらう。
「ふふふっ。お休み中の美容室に入るなんて、ワクワクしちゃうね」
「そーかぁ?俺はじぶん家だからよくわかんねぇな」
道具の入ったカートを側に寄せ、三吉の後ろへ立つ。
「マジでやるの?」
「やるの!それで一緒に初詣行くの!」
「へいへい。分かりましたよ、お姫さま」
彼女の髪を触る事にほんのりドキドキしながら、圭佑は注文のアレンジに取りかかった。
…とそこへ。
じーーーっと見つめる視線が家への扉の方から突き刺さってきた。
「うわ、何やってんだよ瑛。怖えーから変なのぞき方すんな」
「い~~~なぁ~~~い~~~なぁ~~~僕もその髪触りたいな~~~」
「1本でも触ったらぶっ飛ばす」
すると瑛は扉をバタンと開け、クネクネと動き出した。
「なんでぇ~?圭佑ばっかりずるいよ~~!僕昨日から一回も女の子の髪触ってないんだよぉ~?父さんも酷いよ、正月だからって3日もお休みにするなんて!もう禁断症状出ちゃう」
「知るかよ」
「女の子の髪触りたい~!触りたい触りたい触りたい女の子触りたい」
「うるせぇな!あっち行け酔っぱらい」
親父らと朝まで飲んでたせいで、まだ酔ってるよこいつ。面倒くせぇな。
「ふふっ。お兄さんおもしろーい」
「あいつに関わるな。汚れるから」
「失礼な!僕のこの手は女性を美しくする神の手だぞ!」
「あーそーかよ」
「あ!そうだ!萌花ちゃんがダメなら碧乃ちゃん呼んでよ!これでもかってぐらい綺麗にして光毅にお届けすれば、僕も満足だし光毅も喜ぶし一石二鳥だよ?」
「アホか。光毅がお前に触らせる訳ねーだろが。第一、あいつ今家族旅行で日本にいねーよ」
「碧乃ちゃんもお父さんの実家に帰省するって言ってたから、来られないですよ?」
「ええぇ~~~!そんなぁ~~!やぁ~だぁ~~~!僕も触りたい!いじりたい!こねくりまわしたいぃ!!」
「キメェんだよ!!早く消えろや!母さーんこいつそっち連れてって!」
呼びかけに応じた母が、瑛の首根っこを掴んでズルズルと家の中へと引っ張っていった。
「あああぁぁ~~っ」
ごめんなさいねー、と扉は閉められ、店内は再び静けさを取り戻した。
…ったく、ど変態が。
それから少しして。
「…よし。こんなもんかな」
サイドを編み込んだゆるめのアップスタイルが完成した。
大きめの鏡を持ってきて、彼女にアレンジの後ろ側を見せてやる。
「わぁーすごーい!可愛いー!!」
うんうん。俺もそー思う。
元が可愛いと俺の拙い技術でも映えるから嬉しいわ。
「圭くんありがとう!大好き!」
「くっ…」
どうしよう、俺今日死ぬのかな。幸せ過ぎんだけど。
赤くなってプルプル震えていると、きゅっと腕を組まれた。
「早く初詣行こ?可愛くなれたから、一緒にお外歩きたい」
「……イエッサ…」
もうどうにでもして。
そんな2人の新しい年。




