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短編:詩&エッセイ

ずっと言いたかった。

作者: 尖角

ずっと言いたかった言葉が、僕にはあった。

君に伝えたいと思っていたけど、胸の奥にしまい込んでいた言葉。

「愛してる」 この想いを届けることが、僕にはできなかった。




出逢って、数年が経った。

初めて君を見たとき、なんとなくだけど「素敵な人だ」と思った。


もっと話してみたい。 もっと君を知りたい。

知らないことが多すぎて、君の魅力が曖昧だった。


「友達になろう?」 そう言い出してくれたのは、君の方だった。


その頃の君には彼氏がいて、僕が入り込む隙間なんてなかった。


けど、少しでも多くの時間、君のことで頭をいっぱいにしたくて、

出来るだけ積極的に話しかけていたつもりだ。  僕なりにだけど。



苦しかったさ。 君にこの想いを伝えられなくて。


彼氏と喧嘩した時の話とか、家族の悩みとか、

そんなことも話してくれるようになったのに、

僕は君に「そんな奴捨てて、俺のところ来いよ」

……そんな気障で、自分らしくない言葉のひとつも言えなかった。



僕は自分が嫌いだった。


君を想えば想うほど、君との関係の溝の大きさに気付かされる。

これ以上近付くと、二度と元の関係に戻れない感じがした。


だから、僕は君に言い出せなかった。



彼氏との喧嘩だろうとなんだろうと、

僕の知っている言葉の全てを使って慰めて、


好きじゃなくてもいい。 ただ、嫌われないように努力した。





辛かった。 もどかしかった。

何度、口からこぼれそうになったことか。

だけど、グッと堪えた。 我慢した。


君の涙も見たくなかったけど、困った顔も見たくなかったから。








けど、そんな君は突然、僕の前から姿を消した。


今までは、何をするにしても僕に相談してくれていたのに、

急に電話も、メールも、何も繋がらなくなってしまった。



僕は、枕さえ濡らせなくなった。

心配で、心配で、 朝も、昼も、夜も、できる限り君を探した。

今までほとんど使ったことのない有給を使って、使い果たして、

それで、寝る間も惜しんで、君の行きそうなところ、いそうなところを探した。



けど、結局 見つけることができなかった。

君がいなくなって、3年。 そろそろ、他のことを考えた方がいい気がしてきた。





融通が利かなくなって、仕事も辞めた。

貯めていた貯金も、あと2ヶ月持たないと思う。


そろそろ、潮時かな? 僕は次のステップに進まなくては。





そう思い始めていた。




もしかしたら、君は死んでいないのかもしれない。

ただ単に、「1人になりたい」と、そう思っての家出なのかもしれない。



けど、もし、君がこの世を去っていたら。


1人ぼっちなのかな? 向こうで、知り合いに逢えたのかな?



わかんないよ。

僕が、いつかのタイミングで好きって言えていれば。





何か、何か、変わっていたのかな……?











あと2ヶ月。 まだ、君を探せる。


けど、それを過ぎたらどうしようか?





まだ、はっきりとした答えは出していない。

それに、2ヶ月あるんだから、そんなことは考えたくないけれど、

いつかは答えを出さなくてはいけない。 どうしなきゃいけないのか。




どちらにしろ、君に逢えたら、今度こそ言いたい。



「好きだから、俺と一緒にいてくれ」




別に、隣じゃなくてもいい。 見える範囲にいてくれれば。


胸が張り裂けそうなこんな思いだけはしたくない。 君が好きだから。



わかってほしい。  そのために、僕は伝えなくちゃいけない。









同じ人からの愛が永遠に続くとは思ってない。

冷めることもあるだろうし、熱くなることもあるだろうし。


この命が永遠に続くとも思っていない。

人生には必ず終わりがあることを、僕は知っている。 


だけど、君と別れたままの時間が過ぎていくのだけは耐えられない。

僕は永遠の別れがあることを知っている。 だから、もう一度。

今度は君を離さないために、離れ離れにならないように、君を求める。

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