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星天竜の箱庭  作者: 中野翼
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ゲームスタート

『 10時となりました。ゲームを開始いたします。プレイヤーの皆様をゲーム内へ転送いたします』


そうアナウンスが流れた後に、僕はいかにもゲームといった中世ヨーロッパ風の街中に立っていた。


周囲を見ると、僕と同じ様に何万、いや何十万というプレイヤーが立っていた。


僕は周囲のプレイヤー達を観察して見た。外見は多種多様だったけれど、着ている服はみんな同じものだった。昔からあるゲームの初期装備、シンプルな紺色の村人衣装だ。


『全プレイヤーの転送を確認しました。それではゲームスタートです。皆様、思う存分楽しんでください』


「「「うおぉぉぉぉ!!!」」」


そうアナウンスが入った瞬間、多くのプレイヤー達が歓声を上げながらゲーム内に散って行った。


僕は、駆け出して行ったプレイヤー達を呆然と見送った。


「すごい勢いだったな。さて、僕もリディウスと勇也を探して合流しないと」


   ポーン


僕が動きだそうとしたちょうどその時、軽快な音が耳元でした。


『聞こえているか星夜?』


どうやら向こうから連絡をくれたみたいだ。


「聞こえているよ勇也」


『今何処にいるんだ?』


「スタート地点にまだいるよ」


『そうか。俺の方は、街の中央にある時計台の下にリディウスと一緒にいる。そっちに行った方がいいか?』


「二人は一緒にいるんでしょ。だったら僕の方が今からそっちに行くよ」


『わかった、リディウスとここで待ってるよ』


「あっ!ちょっと待って!」


『どうかしたのか?』


「二人のキャラクターの容姿がどんなのか教えてよ」


『ああ悪い、言ってなかったな。俺もリディウスも容姿は現実と同じだ』


「わかった。すぐにそっちに行くから待ってて」


『わかった。急がなくてもいいからな』


そう言って、通話は切れた。


「さてと、時計台は何処かな?あっ!あれだな」


僕は周囲を見回して、一際目につく建物を見つけた。


「急がなくても良いって、言ってたけどやっぱり待たせるのは悪いから少し急ごう」


僕は時計台に向かって歩き出した。


しばらく街路を歩いて、時計台に近づいてきた。


「やっぱり、近くで見ると大きいな!」


僕は、街路を抜けて時計台下にある広場に出た。


さて、リディウスと勇也は何処かな?


僕は、辺りを見回した。あ!いた。


僕は見つけた二人の方に駆け出した。


「ごめん、待たせた?」


「いや、そこまで待ってないよなリディウス?」


「そうだね、連絡を入れてからここまで来るとしたら普通にこれくらいかかるから気にしなくてもいいよ星夜」


「そう、よかった」


待たせてなくてよかった。あまり待たせていたら、申し訳ないからな。


そう思った後に二人の姿を確認した。


服はやっぱり紺色の村人衣装で、勇也の方は、顔は現実の男の子と男の人の中間にある感じのイケメン。現実と違うのは、髪の色が黒じゃなくて銀色、目の色が金色なこと。全体的な違いは、頭部に生えたイヌミミと背後に伸びている尻尾だろう。


勇也は、種族をビースト(獣人)とかの獣の人種にしたんだ。


そしてリディウスの方も、現実と同じ男にも女にも見える中性的な顔立ち。髪の色が金色、目の色が碧色に変えてある。全体的な違いはないかな?いや、よく見たら耳が尖ってる。


リディウスは種族をエルフか妖精系にしたんだな。


「?どうかしたのか?」


「うん?いや、二人のキャラクターを見てただけだよ」


「そうか。けど俺もリディウスも外見はほとんどいじってないぜ。まあ、髪と目の色をいじったのと、種族の特徴が追加されたぐらいか?なあリディウス?」


「そうだね。僕も勇也もそれくらいだね。星夜の方だって、外見は色を変えた程度だろう?もっとも、僕は星夜は外見をもう少しいじるかと思ってたけどね」


「ああ、たしかにな。なんせいつも女の子に間違われて嫌がってたからな。てっきり俺も容姿を男に見える様にしてくるかと思ってた。なんで容姿を変えなかったんだ?」


「ただたんに、二人と一緒に行動する時以外は単独行動するつもりだから、変える必要がなかったんだよ」


「そうか。だけどさ、せっかく遊ぶんだから俺達以外とでも試しに組んだりしてみてもいいんじゃないか?」


「別にいいよ。それよりも二人は種族を何にしたの?僕の予想は、ビーストとエルフ辺りなんだけど」


「惜しいな、俺は獣人系だけど人狼のワーウルフだ」


「僕の方は正解、エルフだよ。星夜の方は何にしたんだい?見た目は、髪と目の色以外には違いが無いようだからヒューマン辺りかな?」


「半分正解。僕はハーフにしたんだ」


「へえ~、そうなのか。半分正解ってことは、ヒューマンは確定。もう一つの種族は何にしたんだ?」


「見た目からだと、ヒューマンと同じタイプの外見的特徴の無い種族だと思うけど、星夜、正解は何だい?」


「正解は、ユニークハイだよ」


「「ユニークハイ?そんな種族あったか?」」


二人共同じ言葉を言いながら、考え込んでいる。


「なんかね、隠し要素なんだって」


「「隠し要素!」」


二人共とても驚いてるな。まあ聞いた時は、僕も驚いたけど。


「ゲーム開始時点でか?」


「うん、僕も驚いたけどさ、種族選択の時に偶然条件を満たしたらしくてなれたんだ」


「偶然って、条件は何だったんだ?」


「ええとたしか、一つ目はハーフであること。二つ目が種族選択の二つ目に口答でユニークハイを選択することだったよ」


「へえ、そうなのか」


「だけど、それだとよくなれたね。ユニークハイって種族があることを知ってたのかい?」


「いや、知らなかったよ。僕が種族選択に迷ってる時に、無意識に言ったらゲームの隠し要素だったんだよ」


「無意識?何でユニークハイなんて言葉を無意識に言っちまうんだ?」


「いや、ここ最近見る夢にその種族が出てきたからさ」


「夢?そういえば最近ライトノベルみたいな内容の夢を見るって、こないだ言ってたね」


「ああ、たしかに言ってたな。偶然てあるものだな。夢とゲームに共通の種族がいるなんてさ!」


偶然?本当に偶然なのかな。夢の内容との類似点が他にもいくつかあるんだよな?クラスの『星界竜』、タイトルの『星天竜の箱庭』。タイトルはともかく、クラスの取得条件が夢の中の自分と同じ名前であることがどうもひっかかるんだよな。あ!忘れてた。


「そうそう、種族を決めた時にクラスももらったんだよ」


「そっちも隠し要素だったのか?」


「うん、こっちの条件は種族とプレイヤー名が条件なんだって」


「種族はヒューマンとユニークハイだろう、プレイヤー名は何にしたんだ?」


「プレイヤー名は、アストだよ!そういえば二人のプレイヤー名は何なの?」


「俺か?俺は、アークにしたぜ!」


「僕はいつも通りリディウスだよ」


「なあ二人共、合流出来たことだしそろそろ移動しないか?」


「そうだね、話は移動しながらでも出来るから僕はかまわないよ。星夜は?」


「僕もいいよ。けどリディウス、せっかく名前変えているんだしそっちで呼んでよ」


「わかったよアスト。それで勇也、何処に移動するんだい?」


「やっぱ最初は、武器屋に行ってみようぜ」


「そうだね。武器や防具を手に入れてからじゃないと、フィールドに出るのは危ないからね」


「僕も賛成。けど武器屋って、何処にあるの?」


「たしか、北側の門のそばにあったはずだよ」


「よっしゃあ!じゃあすぐに行こうぜ!」


「わかった」


「うん」


僕達三人は、広場から武器屋のある北側に向かって歩き出した。

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