パーティ:戦士、忍者、倉庫番
酒場とダンジョンを往復している臨時の馬車に三人は乗りこむ。
ベアトリクスはさっさと一番奥に陣取り、新たな相棒の試し切りを始めた。
ヤタも奥の方に詰めようとしたがナターシャにそでを引っ張られ、その場に座らされる。
「酒場、に寄ったのは初めからあの方を仲間に引き入れるつもりでしたのでしょう。私とご主人様だけでも問題ないと私は思いますが」
「ダンジョン攻略のジョブが倉庫番と忍者では前衛職がいなくてなにかと不便じゃないか。それにベアトリクスはただの昔馴染みだ。さっきのはただナターシャをからかっただけだよ」
私は、とナターシャは言いかけて黙り込んでしまった。
ヤタもバツが悪そうな顔をすると揺れる馬車の中で黙って座りなおした。
しばらくの後、ベアトリクスが谷間に少したまった汗をタオルで拭きながら奥から戻ってきた。
「これは思っていたより難物ね。あたしでも扱いきれないかも。もしものときはちゃんと守ってよ」
そう言いながらヤタの隣に座りこむ。
ナターシャはまっすぐ前を向いていた。
「約束だ」
「それでモンスターがダンジョンの外に出てくるなんて前代未聞な出来事の原因は何なのさ」
「それ、は私から説明します」
ナターシャは二人の前に魔物寄せの指輪を差し出し、これまでの経緯を語りだした。
「つまり、この指輪はあるだけで魔物を街まで呼び寄せるのね。解呪の力もあるから封印もできないと」
ベアトリクスはまじまじと指輪を見つめる。
「解呪の力といってもより強力な呪力を込めれば封印できないことはないでしょう?あの魔女に頼んでみることはしないの」
「アトナは手を出す気はないようにみえたよ」
「魔女様にとっては街に素材がやってくるぐらいの感覚なのかしらね。街のみんな命懸けだってのに」
「あの、ご主人様。私たちはダンジョン最深部で具体的になにをするのでしょうか」
「それが重要だ。結論から言ってしまえば次元の扉でこの魔物寄せを送り返す」
「でも次元の扉って、ものがやってくることはあっても逆はないんじゃなかったの」
「原則はそうだ。だが極悪なものがやってきたときのための備えとして送り返す方法がある」
「街の倉庫番だからこそ知ってる裏情報ってわけ」
「けれ、ども、そこまでする必要があるのでしょうか。指輪を壊してしまったほうが簡単で楽では?」
「あら、気が合うわね。私もそう思う」
「まだ推測の域を出ないがそれは危険だ。この指輪は魔物にとって魅力的でかつ意味のないものなのだろう」
「失礼、ですがそれはどういう」
「アンタはすぐ自分だけにしかわからないように言う。ちゃんと喋りなさい」
馬車が止まり、同乗していた冒険者たちが降りていく。
「着いたな。この話の続きは確証を得てからだ」