エピローグ
ダンジョンの門前町として雑多な人種がすれ違う街、ゴンゴゴンゴ。
街全体を揺るがす事件の後、住人はダンジョンの発掘と復興作業に追われながら汗を流していた。
その街に少し変わった倉庫がある。
ドアベルが明朗に来客を告げる。
「いらっしゃいませー」
店主の頭の上から元気いっぱいの声がする。
彼女の名前はサハリナ=ジーン。
魔女としてはまだまだ未熟で、店主の頭にちいさなあごを乗せるのが最近マイブームの少女だ。
「サハリナちゃん、髪を結ぶようになったんだね。似合ってるわよ」
来客は見慣れた女だった。
彼女の名前はベアトリクス=キャッスレー。
ダンジョンの復旧作業と街の交易の指揮をとる、優れた冒険者である。
「ナターシャがね、してくれたの。お風呂で綺麗な髪ってほめてくれたんだよ」
そう言われて店の掃除をしていた女がほほ笑む。
彼女の名前はナターシャ。
この倉庫のメイドとして働くエルフである。
「サハリナ、そろそろどいてくれないか。首が痛くなってきたよ」
少女の下で身動きが取れずに男は苦笑した。
彼の通り名はヤタ=イーチ。
この厄介なものが集まる倉庫の倉庫番だ。
「ねーねー、ヤッタン。倉庫の奥にある曰くありげな鎧、今度の研究材料として使わせてー」
「勝手に使わないという約束は、言えば使ってもいいってことじゃないぞ」
「えー、いいでしょー。お願い-」
ヤタは首を振る。
サハリナはぽてっと椅子から振り落とされた。
「アンタ、ダンジョンの拡張工事の話が持ち上がってるんだ。一枚噛まないかい」
「俺に何をしろと」
「なに、簡単なことさ。親父さん印のマジックアイテムでちょちょいっと岩盤を砕いてくれればいい」
「あれを使った後、俺の骨がボロボロになったの知ってて言ってるのか」
「大丈夫。体力が十分の一以下になってもアタシは働けてるんだ。アンタもまたちょっと冒険すればすぐ慣れちまうさ」
はあ、とヤタはため息をつく。
「ナターシャ、しばらく店番を頼めるか。俺は少し部屋で休む」
「はい、ご主人様。あの」
「なんだい」
「私も、ベアトリクスのようなマジックアイテムを使ってみたいのですがよいものを見繕ってくださいませんか」
「ナターシャまで」
「お願いー」
「頼むよ」
「いか、がでしょう」
ヤタはかぶりを振った。
「厄介だな」
ここまで読んでくださりありがとうございます。
とりあえずあらすじの中編→短編ですね、お恥ずかしい。
疑問やひっかかったことがありましたら感想に残していってください。
次作まで間が空きますので縁がありましたらまたいつか。




