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15 発見
「おにいちゃん……」
「おにいちゃん」
「おにい、ちゃん?」
目が覚めると廊下に倒れていた。顔を上げると、自分に声をかけたのは妹のあけびであることがわかった。
「おにいちゃん、どうしたのこんなところでー?」
見られてはならないものを見られたが、言い訳なんぞ考えるのも面倒だった。
「なんでだろう、わからないな……お前は何をしているんだ」
「おトイレー」
青年は起き上がる。立ちくらみがするが、悟られないように平静を装う。
「そうか、……俺は部屋に戻るから、お前もな」
「はいですー」
部屋に戻った青年は今度こそ布団のなかで眠りについた、隣に眠る姉が悪夢に侵入してこないことを望みながら。
(そういえば、俺は起きなければならないのか、眠らなければならないのか、どっちだっただろうか)
これが現実だという手がかりのないまま青年は眠りに誘われた。




