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消えゆく光の中で〜星のような大切な君〜  作者: 春風りんご


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2、新たな絆




 あれからおよそ3ヶ月が経った。秋斗は今でも時折、あの夜のことを思い返している。あれから城山とは何度か会っており、徐々に距離を縮めていった末、今ではすっかり気の置けない友人同士になっていた。


 日々の忙しさに追われながらも、秋斗は週に一度はバーに通う時間を作っている。行く度に必ず会える訳では無いが、会えた時はとても嬉しく思っていた。

 秋斗が通う曜日に多少なりともばらつきはあるものの、ある程度は決まっているため、その曜日に合わせて来れる時は城山も訪れている。

 今ではこの時間がとても大切だ。お互い仕事の愚痴や、日常のささいなことを話すのが恒例となり、心の中で城山のことを大切な存在として認めていった。



 その日は秋斗は仕事を終えた後、城山との約束を思いながらいつものバーへと足を運ぶ。

 実は城山とは何度か会う内に連絡先を交換するようになったのだ。そして、今度はいつ来れそう?などとやり取りをしている。今日はまさにその日だった。



 店に入ると、城山がすでにカウンター席に座っているのが見える。

「お疲れ様。ごめん、少し遅くなった」と軽く声をかけながら、秋斗は隣に座った。


「お疲れ様です。大丈夫ですよ、お気になさらず」


 城山がこちらに目を向け、穏やかな笑みを浮かべた。その顔を見ると、どこか安心感が広がるのが分かる。


 マスターにおつまみやカクテル、ウイスキーなどを注文した後は会話に花を咲かせていく。

 内容としてはプライベートの事も話すが、主に仕事の話が大半になってしまう。仕事の話しと言っても愚痴になってしまうのだが。時折好きな曲の話や最近見た映画の話など、気楽に会話を交わしながらもお互いの生活を少しずつ知るようになっていた。


 会話をしていく中で最近知り得たことなのだが、実は城山は一人っ子で兄弟姉妹が居ないらしい。なんだか意外だった。

 あまり踏み込んだことは聞けてはいないが、謎めいた彼の家庭環境について少しだけでも知れたことはすごく嬉しかったのを覚えている。

 このような何気ない会話のやりとりをすることで、少しずつ距離感が縮まっていくことを秋斗は実感していた。




「そういえば最近、営業の方はどうですか?」


 丁寧な物言いで城山が尋ねてきた。


「まあ、相変わらずかな。数字に追われる毎日だよ。城山は?」


 秋斗は彼の答えを待ちながら、ウィスキーを一口飲む。


「俺も同じような感じです。新規開拓は難しいけど、やりがいは感じています」


 少し思案しながらもそう城山が答えた。

 今ではこのやり取りは、最早テンプレのような感じである。


 その流れで1番気になること。それは城山がどこの会社に勤めているかであった。聞きたいとは思うのだが、勤めている会社の話にはあまり踏み込まないままでいたのだ。

 約3ヶ月経過した今でも、秋斗は城山がどこの会社で働いているのかは知らない。

 ただ、彼が今も辞めずに営業の仕事をしているのだと聞いて、少し安心している自分がいる。

 別に踏み込んでもいいのではないか、そう思うがお互いに営業をしているということもあり、どう話しを切り出していいのかは分からずにいた。


 だが、今ならもう少しだけ踏み込んでも大丈夫だろう。

 少し迷いながらも意を決して問いかける。


「そういえばだけど、さ。まだ言ったことなかったと思うんだけど、実は俺、西園寺グループってことで働いているんだよね」


 秋斗が言うと、城山は少し驚いたように目を見開いた。


「さ、西園寺グループですか。大手企業ですよね」


 にこりと微笑みながら答える。その反応に秋斗は少し違和感を覚えたが、ほんの少しの違和感だったので無視することにした。


「城山はどこの会社で働いているのか聞いてもいい?」


 そう尋ねると、彼は一瞬考え込み、穏やかにこう答えた。


「俺は、八代グループ働いていますよ」

「八代グループか。聞いたことあるよ、西園寺グループと同じくらいに大きい会社だよね」


 そう秋斗は言った。 その瞬間、城山はどこか慎重に言葉を選んでいるように見えて、その様子に少しの疑問を持ったが、彼は気を使っているのだろうと、そう都合よく解釈した。


「そうですね。社員も多いですし大変ですけど、お互いに頑張りましょう」


 そう言いながら城山が穏やかに笑う。

 その笑顔に、秋斗は少しだけ心が和んだ。秋斗は城山と過ごす時間がどれほど自分にとって大切になっているかを改めて実感し始めていた。

 そこには、単なる友人以上の特別な絆が芽生えているように思えたのだ。だが、その本質に気づくのはもう少し先の話しである。




 その後も話しを続けていると、ふと思ったことを口にしてみた。


「そういえばさ、城山。休みが合えば今度どこかに遊びに行かないか?」


 お互いバーでしか会うことがない2人だ。1度くらいなら遊びに誘ってもいいのではないか、そう思い何気なく秋斗が提案すると城山はすごく嬉しそうに目を輝かせた。


「いいですね!行きましょう!どこか行きたい場所はありますか?」

「そうだなぁ。まだ考えてないけど、お互い仕事もあるし、どこか近場でも行こうか」

「そうですね、そうしましょう。今から楽しみです」


 出会ってからというもの、城山のこんなにもキラキラとした笑顔は初めて見た。この時のキラキラと輝いた目と笑顔を秋斗は生涯忘れることは出来ないだろう。

 その時、秋斗はこの関係がこれからどのように発展していくのか、どのように仲が深まっていくのか、期待の方がとても大きい。

 俺はそのような事を思いながら城山と、この貴重な時間を充分に楽しんだ。




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