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アルバイト

6月12日 木曜日 今日は午後から優子と授業を受けていた。

 放課後5時半から2回目のアルバイトだ。

 少し途切れ途切れの集中力ではあったが、どうにか乗り越え時刻は4時半。

「そういえばバイト、どうだった?」

「なんかね、思ってたのと違った」

「違うって?」

「うーん、緩い雰囲気でみんな個性的だった」

「そうなんだ、私も今度行くね」

 そういうと優子もサークルがあるからと行ってしまった。

 私も一回帰って、荷物を置き時間も余裕ないためすぐにテリアへと向かった。


 「お、おはようございます」

 入り口から入ると、レジにいた昨日の先輩、絵里さんがいた。

「昨日、聞いたかわかんないけど、裏口から入ってね」

 そう言われ裏口の場所を教えてもらってそこから中へ入る。

「あら、おはよう。そういえば裏口の場所、言うの忘れてたわ」

 花さんだ。おっとりとした口調で謝辞を述べる。

 事務所で着替えると、今日は店長はお休みで出掛けているという。

 絵里さんも6時で上がるため、8時の閉店まで花さんと2人で店番をすることになる。


 今日は、先日に引き続きコーヒーの淹れ方や、少しだけケーキについての作り方やレシピなどの知識を教えてもらった。

 基本はレジ番をしつつ注文を取り、お会計などの作業を中心とした。

 しかし、平日の夕方ということもあってお客さんは少ない。というよりも常連のお爺ちゃんしかいなかった。


 閉店まであと1時間といった時に、入り口のドアが開き、ベルの音が鳴る。

「花さん、頼まれてたもの、持ってきたよ」

 深めに帽子を被り、黒いシャツに黒いジーンズを履いた好青年風の男性が来店した。

「あら、勝己かつみさん、わざわざありがとうね」

 花さんは、封筒を受け取った。勝己さんは私の方を見る。

「あれ新人、珍しいね、絵里ちゃんは上がり?」

「絵里ちゃんはさっき帰ったわよ」

 花さんと勝己さんは仲が良さそうだった。

「そっか、残念、ちょっとだけコーヒーもらってもいいかな。閉店間際にごめんね」

「いいのよ、今日は私の奢りで。この子のコーヒー飲んでくれるかしら?」

「それは楽しみだね」

 そう言うと、勝己さんは席に座ると何やら手帳を取り出し書き込んでいた。

 私はコーヒーを淹れると勝己さんの席へ持って行く。

「お、お待たせいたしました」

 勝己さんはコーヒーを手に取ると、匂いを嗅いだ。昨日のバーバラさんと一緒。常連さんはみんなこうなのかな、やたらコーヒー好きが多そうだと思った。

「匂いは悪くないね」

 そう言い一口飲む。

「うん、新人君にしてはいい出来じゃないか」

 少し上から目線にイラッとしたがお客さんだし堪えた。


 その後、30分ほど滞在して勝己さんは帰っていった。

 花さんにレジ締め作業を教わっていた、もう閉店の時間だ。

 常連のお爺ちゃんも帰っていった。あの人いつもいるんだろうか、些細な疑問を感じながら作業を終わらせる。


「今日はお疲れ様。これよかったら持ってって、あまりものだけれど」

 そう言われイチゴのムースケーキをもらった。とても美味しそうだった。


 家へ帰り、簡単な食事を済ませ、ケーキを食べようと取りだす。

 いい匂いがした。味も美味しい。柔らかくて食べやすかった。

 ドリンクを飲み明日は1限がゼミなので早めに就寝することにした。


 翌日、朝7時、スマホのアラームで目が覚めた。

 カーテンを開けると、差し込む朝日が眩しかった。窓を少し開けると初夏の風が吹く。部屋が少し蒸し暑かったがマシになった。


 いつも通り、トーストを焼き、ドリンクを飲む。ルーティンと化していた。

 今日の講義は午前中だけで、今週はサークル活動もない。優子に連絡でもしてみようと思ったが辞めた。慣れないアルバイトも始めたばかりだし暇を謳歌する事にした。


 午後12時半、講義が終わり優子と合流した。お昼を食べてから帰ることにした。いつものカフェで軽食をとり、いつもは飲まないコーヒーを注文した。

「珍しいわね、コーヒー苦手って言ってたのに」

「うん、苦手は苦手なんだけど、カフェで働いて、色々と聞くうちに少し興味が出てきたの」

「へえ、何を教わったの?」

「淹れ方で味わいが違うの。同じコーヒーでも私が淹れたのと、ベテランの花さんが淹れたものだと全然、味も匂いも違ってびっくりだった」

 ここのカフェのコーヒーは機械で淹れるものだが意外と美味しく感じた。

 優子もファミレスで働いているが、そこまでこだわっているコーヒーではないため、意外そうに話を聞いていた。

「あんた、少し変わったね。バイトできてよかったじゃない。話聞く感じだと雰囲気もあってそうだし」

「う、うん、雰囲気はいいよ、そこはよかった」

「こっちはガチャガチャしてるからね、夜なんかてんやわんやよ」

 優子はファミレスの忙しさを擬音で表現する。なんか想像がつく。

 そんな話をしていると、お昼の時間が終わりに近づく。

「それじゃ、私は午後もあるから。また来週」

 そう言い残し、優子は足早に講義へと向かっていった。

 私はゆっくりと1人の時間を満喫するために、スーパーでお菓子をかいだめた。ついでにあのショップも行きドリンクも購入し帰宅した。

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