プロローグ
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夢を見ていた。またあの夢だ。最近はずっと同じ夢を繰り返し見る。あれは...ヒトなのか、鬼のようななにか大きな影が蠢いていて、決まった容を見せてくれないような、それでいてはっきりとした輪郭を描いている。夢の内容はひどく朧気で、夢の全容が強いモザイクのような抽象的なイメージでしか言い表せない。蠢く〈影〉は、毎度、少女に憎悪のような慈愛に満ちた言葉のような何かを語り掛けてくる。だが少女にはこんな経験をした記憶は無い。そしていつも同じところで激しい頭痛で目が覚める。それは、永劫の時のようにも感じられたし、刹那の時にも感じられた。
目が覚めるとそれは、頭痛とともにパッと頭から消えてゆく。それと引き換えにやれ出番だとばかりに遅れてやってくる心臓の響きと滝のように滴る冷や汗と。こんな日々にももう慣れたが、体だけは慣れることはなかった。
ここはどこなのだろう...何もわからないし何も感じられない。一切の思考を許してくれない。自分の呼吸音が空間にこだましている。音の跳ね返りが近い...地下にいるのか?段々と五感が戻ってくるのを強く感じながら思考を巡らせていく...
(視覚は...まだ戻らない...嗅覚と聴覚は戻ってきた...感覚も...戻ってないみたい...)
本能とも呼べる思考がこの場からすぐに行動することは危険だと判断し、体力の回復を図る。本当は間違った行動なのだろうと理解していながらも別の行動をとる気力が起きるはずもなく、巡る思考は次々と潰されていく。
実際、災害や事件などが身の周りで起きた時、マニュアル通りに動ける人などほとんどいないだろう。それは、マニュアル通りに全く同じ事が起きるなどありえないからだ。無論、マニュアルすら知らないわけで...少女は本能に従うしかなかったのである。
生きた心地がしないまま近くの壁に寄りかかり、できる限り一つの感覚に神経をとがらせた。突如、大きな揺れとともに、爆音が体中を駆け巡った。何が起きたかは理解できない。というより、思考が追い付かない。しかし、危険を伴うことが起きている、ということだけが精いっぱいの理解だった。しばらくその音を聞きながら体を休めていると、
ぐぅぅぅぅぅぅ......
その合図とともに、今度は猛烈な空腹感を覚えた。どれだけ寝ていたり、体を休めていても、脳はグルコースを消費し続け、体中の細胞たちは休むことを知らないとばかりに動き続けていた。
まずはおなかを満たすところから始めないといけない。少女に冷静さはもうない。あるのは本能に負け、己の欲に呑まれた影があるのみだった。少女は歩き続けた。終わりの見えない暗闇を直感だけで進み続ける。何時間、何日経っただろうか...いや、実際にはものの数分だったかもしれない。光だ。光が見える!
(進み続けた甲斐があった!)
少女は歩むスピードが軽く早くなっていることに気づかぬまま明かりを目指した。それはまるで冬の終わりに吹いた春を知らせる風のようだった。
処女作になります。
語彙力がないので一個一個意味を調べながら言葉を紡いでいってます。
意味が違っていたりしたら、この言葉に変えたほうが良いなどの提案もお願いします<(_ _)>
読んでくださり、ありがとうございました!