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 教会に戻った二人を、ベルゼが迎えた。ベルゼは新たな教皇として正式に認められた。ルディは弟に敬意をはらうと、頭を下げた。

「これからは教皇聖下とお呼びしますね」

 丁寧にお辞儀するルディに、ベルゼは慌てて近づくとルディの上半身を起こした。

「ルディ姉様。私は姉様の弟です。姉様は、今まで通りベルゼと呼んでください」

「確かに、お父様もお父様、と呼んでいたね」

「そうです。私たちは家族なんだから」

 ベルゼは優しく微笑んだ。まだ15歳になったばかりの若い教皇だ。若くして大きな責任を背負うことになったベルゼを、ルディはとても心配していた。

「私たちのせいで、お父様とお母様は亡くなられた。ベルゼにはどう詫びていいかわからない‥」

 ルディはベルゼに罪悪感を抱いている。ベルゼは毅然と答えた。

「二人が亡くなったのも運命です。人の寿命は、生まれた時から決まっている。姉様達が争わなくても、両親の寿命は変わらなかったんですよ」

 ベルゼは教皇らしく人の死について語った。

「魂は死しても永遠。また、新たな肉体を得て生まれ変わります。だから、姉様はそんなに自分を責めないで」

 オニキスが黙って頷いた。霊感のあるオニキスにも、霊の存在や、寿命が定められていることが分かっているのだ。

 ルディとオニキスは部屋に戻ると、旅の疲れを取る為にくつろいだ。

「ベルゼは幼い頃から次期教皇になるべく、お父様に英才教育を施されていたと聞くけれど、まさかあんなに立派な教皇になるなんて」

 身内の欲目にしても感心するほど、ベルゼは教皇が板についていた。オニキスも同じ感想を抱いている。

「我々も結婚後は、教皇聖下に承認をもらいに行かないといけないからな‥。教皇聖下に嫌われないようにしなければ。姉はやらない!と言われたら大変だ」

 オニキスが笑いながら呟いた。

「ベルゼはオニキス様が好きだもの。反対なんてするわけない。ルイーゼとマーズ王子の結婚もすんなり認めるんじゃないかな」

 二人が談笑をしていると、王宮から兵士がやってきた。

「女王陛下の命令で捜査している。教会にディアブロ公爵閣下は来られてないか?」

 兵士達は無作法に教会に入り込み、神官達に尋ねた。

「無礼極まりない。教会に人を探しにきて、その態度。いくら女王陛下の命令といえど、許されることではない!」

 ベルゼが叱責した。その表情は凄み、少年とは思えぬ風格を醸し出している。兵士達は怯んだ。

「教皇聖下、ご無礼を致しました。お許しください」

 指揮官にあたる兵士が頭を下げた。続くように周りの兵士達も一斉に頭を下げる。ベルゼは静かにその様子を見ている。

「ディアブロ公爵は教会には来ていない。ディアブロ公爵が教会を訪れたのは最近では前教皇の葬儀の日だ」

 ベルゼは真実を話した。兵士達は辺りを見渡すと納得して退出した。

「ディアブロ公爵閣下の行方が、午後から掴めていないのです。もし、何か情報がありましたら王宮にご連絡をお願い致します」

 指揮官はそう依頼すると、足早に教会を去って行った。

「宰相殿は女王ウルアクの外戚‥。悪巧みをして消されたか?」

 ベルゼは鋭い洞察力で予見した。エスケル王国の宰相が行方不明というニュースは国中を走った。しかしディアブロ公爵は数日経っても見つからないままだった。

「叔父上はどこに‥」

 ウルアクが苛々しながら部下の報告を待っていた。ロードナイトは心ここに非ずだ。意識はルディの方に向いていた。

『ルディはもう、アルタイ王国に旅立ってしまう‥。オニキス王子の妃となれば、永遠に手に入らない』

 ロードナイトは塞ぎ込んだ。意気消沈する息子を尻目に、ウルアクはディアブロ公爵が行方不明になった方に奔走した。強力な外戚があってこその王座だ。ディアブロ公爵がいなくなれば、その座はお飾りのようになってしまう。

 エスケル王国の王宮内が揺れる中、ルディとオニキスはアルタイ王国に向けて旅立っていった。

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