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ドロニノ共和国対アルタイ王国の決戦の結果は!?


双子の姉は、必ず主人公。前半は、笑奈ことセシルが。後半はルディが主人公です!

 ウィドマンは軍の中心を指揮し、女王の本軍の残党を追っていた。オニキスは、後方部隊として待機していたディーヴァの軍を探し、林に入った。木々の隙間に兵士がいないか確認して進む。地の利がないオニキスの軍は不利だ。しかし、オニキスには第六感がある。怪しい気配は見るより先に察知できた。

「近くにいる‥」

 オニキスが馬を止めた。兵士達に緊張が走る。第二王女ディーヴァは、一騎当千と言われた騎士だ。すぐに逃げ出した王太女ライラとは訳が違う。ディーヴァは獅子奮迅の勢いで来るとオニキスは感じていた。

「‥ルディ、ディーヴァがいる。気をつけるんだ。ディーヴァの覇気が凄まじい。彼女は、自らの命を顧みず特攻するようだ」

 オニキスは霊視の内容をルディに伝えた。ルディは気を引き締めて辺りを見渡す。風が木の葉の音をたて、人の気配が感じ取れない。その時、木の斜め上から一つの影が現れ、矢を放った。矢はまっすぐにオニキスに向かう。

「伏せて!」

 ルディの声に反応してオニキスは伏せた。矢はオニキスの上を通過し、後ろにいた兵士の肩に刺さった。

「‥う‥」

 兵士は馬から落ちた。肩に刺さっただけだが、苦しみもがいている。

「毒矢か!?」

 オニキス軍の部隊長が兵士に近寄った。兵士の顔は血の気が引き、息が荒い。部隊長は解毒剤を兵士の口に入れた。ドロニノ共和国が毒を使うことは今までの戦いでもよくあった。その為、アルタイ軍は解毒剤を常備していた。

「部隊長、その者を後方に」

 オニキスは負傷者の戦線離脱を指示した。部隊長は、兵士の一人に命じて負傷した兵を後ろに下がらせた。

 オニキス軍がそうしている間に、ディーヴァの軍はオニキス軍を包囲した。数はオニキス軍の方が僅かに多い。しかし、ディーヴァの軍は背水の陣。そして将は猛将ディーヴァ。オニキス軍は緊迫した。オニキスは本陣に鷹を放つ。ディーヴァ軍の矢が鷹を狙ったが、鷹は矢をすり抜けて本陣へと飛んでいった。

「者ども!!オニキス王子を捕えるのだ!オニキス王子を人質にし、ウィドマン王に退陣させる!!」

 ディーヴァの指令が響き渡った。

「また人質作戦か‥」

 オニキスが苦虫を噛み潰したような顔をした。武人として力の無い自分が虚しかった。

「王子、人質になんてさせませんよ!」

 ルディはオニキスにそう言うと、オニキスの前に進み出た。

「私は剣聖アースの孫弟子ルディ!お前たちに捕らえられたお返しをしてやる!」

 ディーヴァが声のする方を見た。

「あの者‥。種馬にと捕らえたはず。脱獄してアルタイ軍についていたのか」

 ディーヴァには、ルディがそれなりの武人だと分かる。捕えることができたのは、ルディが油断し、一人だったからだ。

「面白い!種馬ごときに私がやられるか!かかってこい!」

 ディーヴァはルディに剣を向けた。次の瞬間、ディーヴァの軍が一斉にオニキスの軍に向かって攻め込んだ。木の間を縫って現れる騎馬隊。木の多い場所での騎馬戦に慣れないオニキス軍は一旦場所を変える為に退いた。

「追え!!」

 ディーヴァの声が響き渡る。ディーヴァの軍は猛追してきた。オニキスの軍は、世界各国で情報を集めることを得意とした。その為、逃げるのは得意である。オニキス軍は木々をうまくすり抜け、平原まで走り抜けた。

 平原に出ると、両軍は真正面から睨み合う態勢になった。

「かかれ!!狙うはオニキス王子ただ一人!怪我をさせても構わん!」

 ディーヴァはオニキス王子の方に攻め込むように命じた。全軍がオニキスを目指して進んでくる。そのアンバランスな進軍に、戦況はオニキスに有利に働いた。オニキスは真ん中に集中するディーヴァの軍を、左右から周りこんで囲み、挟み撃ちにする戦法をとった。

「鶴翼の陣か!構わん!オニキスを狙え!」

 ディーヴァは武芸には秀でていたが、戦は不慣れだった。常に後方を守る立場だったので、前線で戦ったことがない。戦だけは、女王の横にいて戦術を学んだライラの方が得意だった。ディーヴァが強いのは単騎戦である。

 ディーヴァの軍はオニキスの軍に囲まれ、悪戦苦闘した。焦ったディーヴァは、自らオニキスを目指した。

「オニキスー!!」

 近づくディーヴァに、ルディが反応する。

「私が相手だ!」

 ルディはディーヴァの剣を受けた。ディーヴァの剣圧は女とは思えない。しかしルディは耐えた。普段、男と訓練している成果が出た。

「ほう、私の剣を受け止めたか。小柄でも男は男と言うことだな。しかし、女は身軽。この剣技、男には追いつけんぞ」

 ディーヴァは素早く剣を振り回した。しかし、ルディはそれを全て受け止めた。

「なに!?男のくせに私のスピードに優っているのか?」

 ディーヴァは焦っている。

『私も女だからな‥』

 ルディは心の中でそう呟くと、ディーヴァに剣を振り下ろした。

「ぐぉっ‥」

 ディーヴァの剣がルディの剣を止めたが、遅れた為に眉間の先まで剣が降りてきている。ルディは剣に力を入れた。ディーヴァの剣の背の部分が、ディーヴァの眉間に食い込み血が流れる。

「ディーヴァ様!」

 ディーヴァの側近がルディに切り掛かった。ルディは素早く剣を引くと、側近を斬った。側近は絶命した。

「くそっ」

 ディーヴァは眉間から血を流しながら、その場を去った。ディーヴァ軍は誤った戦法で総崩れし、敗戦が色濃い。ディーヴァは残った少ない兵士達に退却を命じた。オニキスは残党兵を負わせた。

 その後、ウィドマンの指示を受けた軍が平原に辿り着き、オニキスは合流して戦況を報告した。ディーヴァ軍との戦いの死者は少なくない。戦いは有利な状況だったが、死を覚悟したディーヴァの兵士達の決死の戦い方は鬼気迫る物があり、多くの兵士が討たれた。両軍の死者数はかなりの物だった。

「ルディ、今日は助かった」

 夜が更け、兵士達は皆休んでいる。怪我をした者は集められて手当を受けた。

「お役にたてて光栄です」

 ルディは嬉しそうに微笑んだ。クリスタの騎士になる為に、師に武芸を習った。どんなに腕を磨いても、それを実践したことはなかったのだ。ルディは自分の腕が戦にも役立つと分かり満足していた。

 ルディとオニキスは夜空の下で会話を交わした。

「それではお前は、母親の騎士になる為に修行しているのか」

「はい。母一人子一人でしたから。ただ、今は母は、チンターマニ王国の小さな町のブレインビュー男爵家にいるので、安全なのです」

「メイドにでもなったのか?」

 ルディは言葉に詰まった。母親が男爵の愛人になったとは言いにくい。

「‥その‥‥」

 言い淀むルディから、オニキスは状況を把握した。というよりも、脳裏にビジョンが浮かんだ。男達を引き入れる派手な女性。恐らくそれがルディの母親だ。オニキスはルディの母親の立場を察すると話題を変えた。

「お前はチンターマニ国の民なのか?」

「はい。エスケル王国との国境に近い町ですが、生まれた時からチンターマニ国民です」

 ルディが嘘をついていないことは、オニキスには分かる。

「私には妹がいるんだ。この戦いで、妹が本来の力を発揮したから我が国は勝てたんだ」

 ルディは、ウィドマンの軍と女王の軍の戦いの内容は聞いていない。オニキスは父から報告を受けていた。

「王女様が?」

 アルタイ王国の王と王妃の娘であるたった一人の王女は、諸外国にはあまり知られていない。王女は国外に出ず、王宮内で大切に育てられていたからだ。

「クリオラは、聖女だ。ドラゴンマスターのクリオラの力で、ドロニノの女王が魔獣と契約を交わしてもそれを倒すことができた」

 ルディは驚いている。

「え?‥なぜ、聖女がアルタイ王国に?」

 聖女はエスケル王国にしか現れない。それは世界中の誰もが知る常識だった。

「クリオラは、エスケル王国の人間だから」

 オニキスは、明日にも世界中が震撼するであろう事実を語り始めた。

「私が幼い時、両親とエスケル王国との国境近くを通った。そこに捨てられていた赤子がクリオラなんだ」

「王女様が捨て子?」

 オニキスは頷いた。

「私は、第六感、霊感が優れている。感性の一つが突出しているのは父からの遺伝だ。父は聴力が優れている。幼い私は、捨て子を見た時に、その子が聖女だとわかった。それで父は捨て子をアルタイの王女として育てたんだ」

 衝撃の事実にルディは言葉を失った。

「明日には、この戦争のこと、そして聖女のことが世界中に知れ渡り、父は教会に呼び出されるだろう」

 オニキスはエスケル王国のある方向を見つめた。二人が夜空を眺めていると、背後に気配がした。ルディは剣を握った。

「死ねー!」

 ディーヴァが岩の影から現れ、オニキスを目掛けて切り掛かった。ディーヴァの剣は、ルディの剣を薙ぎ倒す。ルディは剣を落とした。その隙にディーヴァはオニキスに剣を振り翳した。

『ザッ』

 咄嗟にルディがオニキスを庇った。ルディの背中を、ディーヴァの剣が切り裂く。その瞬間、オニキスは短剣をディーヴァの脳天に突き刺した。 

「クソッ‥」

 ディーヴァは絶命した。

「ルディ!!」

 オニキスはルディの服を裂き、傷口に布を巻こうとした。

「え‥?」

 ルディの胸元にはサラシが何重にも巻かれている。そのおかげで、剣の傷は浅く済んでいた。

 オニキスはサラシを外すと、傷口に薬をかけて布で巻いた。ルディは意識を失っている。

「ルディ‥お前は女だったのか‥」

 オニキスは意識を失ったルディを抱き上げると、自分の天幕に連れて行った。本軍と合流したことで、王子らしい場所で休めるようになったのだ。オニキスは寝台にルディを寝かせると、密かに医師を呼んだ。

「オニキス王子、お呼びですか?」

 オニキスが幼い頃からそばにいた侍医がやってきた。

「‥侍医、この者、男のなりをしているが、女だ。傷を縫合してやってくれ。周りには女と気づかれないよう、ここで治療せよ」

 侍医はオニキスの命令に黙って従った。こうしてルディは、オニキスの天幕で治療を受け、朝を迎えたのだった。

オニキスはルディが女だと知ってしまった。二人の関係はどうなる??

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