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公女クリスタは次期王妃候補に。次期王は第二王子が選ばれるのか‥。

 その頃、ブラヒン公爵は王妃の元を訪れていた。第二王子以外の王子が皆死んだのだ。次期王は第二王子しかない。

「ブラヒン公爵‥。私は不安なのです。王太子に続き、陛下まで暗殺され、更に側妃達の王子まで‥。我が王家を簒奪せんが為の策を弄した者がいる。次はミシェールなのではないかと‥」

 王妃はやつれた姿をブラヒン公爵に見せた。

「王室のロイヤルガードと共に、我が公爵家の騎士団も第二王子殿下と王妃様をお守り致します」

 ブラヒン公爵は王妃に力を貸すと名言した。

「王妃様‥。このような事態です。早く第二王子殿下に即位して頂き、エスケル王国は磐石であると世間に示すべきかと。我が家門以下、これだけの家門が第ニ王子殿下の即位を望んでおります」

 ブラヒン公爵は複数の高位貴族の署名が記された紙を取り出した。

「明日にでも、緊急で議会を開き、第二王子殿下の即位を決議しようと思っております」

 王妃は喜んだ。嬉しそうに書面に書かれた貴族の家門を確認している。

「ただ‥その為には一つ、お願いがございます」

 ブラヒン公爵の言葉に、王妃の表情が曇った。

「条件があると言うのですか‥」

 ブラヒン公爵はニヤリと笑った。

「我が娘、クリスタを‥次期王妃として迎えて頂きたい」

 ブラヒン公爵の交換条件は娘の地位であった。王妃はしばらく黙ると静かに口を開いた。

「公女はルシフォールの婚約者だった身。兄亡き今、弟がその婚約者を娶るというのですか‥」

 王妃は釈然としていない様子だ。

「我が娘とルシフォール殿下は婚約関係にあっただけで、結婚したわけではありません。王族の婚約者だった娘は、他の貴族から見れば恐れ多く、縁談の話は中々ないでしょう。父として娘がそのような目に遭うのは見ていられないのです」

「確かに‥王室と縁談があった子女との婚姻は、普通の貴族では憚られるやもしれぬ‥」

「クリスタを第二王子殿下の妃として王室にお迎え頂けるなら、私は第二王子殿下を必ずや国王に即位させてみせましょう」

 王妃は黙って頷いた。こうして本人達の知らぬ間に、ミシェールとクリスタの婚約が決められたのだった。

 ブラヒン公爵は屋敷に戻るとすぐにクリスタを呼んだ。

「お父様、こんな時間にどうなさいました?」 

 クリスタは部屋着の状態である。

「おお、クリスタよ。喜べ。お前が望んだ通り、未来の王妃はお前だ」

 ブラヒン公爵は上機嫌だ。こんな機嫌の良い父は、王太子妃候補と決まった時以来だとクリスタは思った。

「ルシフォール様は亡くなりました。次期王はどなたなのですか?」

 王妃という地位は嬉しいが相手にもよる。ルシフォールは美青年だったので良かったが、次はどんな相手なのか。クリスタは不安に思っていた。

『遠縁の王族のおっさんなんてやめてよ‥!!』

 こういう時は、笑真の性格に戻る。上品な思考にはなれなかった。

「安心せい。第二王子ミシェール殿下だ。ミシェール殿下はルシフォール殿下に引けを取らぬ美丈夫だ」

「ミシェール様‥。ミシェール様が次の国王になられるのですね!!」

 クリスタは舞い上がった。悪い噂もあり、王位から最も遠いと言われていた第二王子。だからこそ、例え美男子であっても気に留めていなかった。全ての王子が逝去した為、王位から最も遠かった王子の手に王位が転がり込んできたのである。

「お父様、クリスタ、そのお話、喜んでお引き受け致します」

 クリスタは深々と頭を下げて返事をすると、上機嫌で部屋に戻っていった。

「はぁ‥ルシフォールが死んだ時はどうなるかと思ったけど、ミシェールが王になって私が王妃。ルシフォールは私に全然興味を示さなかったけど、ミシェールはおとしてみせるわ。二階堂笑真の名にかけてね」

 クリスタは不敵な笑みを浮かべている。そんなクリスタの様子を、私は水晶玉で見ていた。クリスタを通して外の様子を探るのが目的だ。そして隣にはルシフォールがいて、共に同じ映像を見ていた。

「クリスタ公女がこのような女とはな。貴族の令嬢が結婚に求めるのは地位だと分かってはいるが、流石に本性を目の当たりにはしたくないものだ」

 ルシフォールは呆れている。

「しかし、ニカイドウエマ、とは何だ?意味の分からない暗号か?」

 クリスタが思わず口に出した過去世の名前。私はルシフォールに、自分が別の世界から転生してきたことを説明した。この国には何人もの聖女が訪れた歴史があるので、それは全く驚かれない。ルシフォールは黙って聞いていた。

「つまり前世の世界では、そなたはニカイドウエナという名で、クリスタがニカイドウエマ。双子の姉妹であったというのか‥」

 私は過去世で笑真が私の恋人や婚約者を奪い、最期は二人で隕石にぶつかって死んだことを話した。

「クリスタの過去は嫌な女だな‥」

 ルシフォールは苦笑いを浮かべた。

「そんな女と結婚しようとしていたんですよね?」

 私は意地悪く言った。ルシフォールはそんな私を懲らしめるように押し倒した。身動きが取れない。ジタバタする私を他所に、ルシフォールは平然としている。

「どの口が今更そんなことを言うのか‥」

「ご‥ごめんなさい‥」

「許さない。二度と、私と他の女の関係を口にしてはならぬ」

 ルシフォールはそう言うと私の唇を奪った。何度も何度も唇を重ね合わせ、熱い吐息がかかる。その暖かさに、ルシフォールが生きていることを感じ、私は嬉しかった。

 翌日、王宮内では新王についての議会が開かれ、王妃を筆頭に、ゲベルカミル大公、ブラヒン公爵、サントーバン公爵などが集まった。側妃達の父であるディアブロ公爵、イミラック侯爵も居たが、末席の方であった。議会の決議は、第二王子ミシェールが王に即位するという物だった。ブラヒン公爵は当然、それが可決されると思っていた。

王宮の決議案。無事に可決されれば国王ミシェールが誕生する。ルシフォール達はこれからどうなるのか‥。

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