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ゲベルカミルが愛する者は?BL要素導入。

ルシフォールは復活できるのか??

 翌朝は早朝より国王崩御の鐘が鳴り響き、相次ぐ王族の死に人々は悲嘆にくれた。

「ガヴァリエール陛下はお優しい王だった‥。王太子様も亡き後、この国はどうなってしまうのか‥」

「やはり第二王子ミシェール様がご即位なさるのでは?」

 人々は噂をした。

「陛下を暗殺した犯人を必ずや見つけ出すのです!」

 王妃は嘆き悲しむ姿を周りに見せながら命じた。

「犯人は必ず身近にいるはず!ルシフォール亡き今、陛下が立太子するのを恐れた者が陛下を弑したに違いない!」

 王妃は側妃に疑いの目が向くような物言いをした。側妃二人は憎悪に満ちた目で王妃を見ている。

「たかだか伯爵家の血筋の者が‥」

 カーミラは父、ディアブロ公爵に使いを出した。そして第四王子ウリエードを留学先から連れ戻すように伝えた。もう一人の側妃ディアナもまた、イミラック侯爵に第三王子ラフィートの帰国の護衛を指示していた。

 しかし、カーミラ妃、ディアナ妃の指示よりも先に、ゲベルカミル大公の手の者により、二人の王子は暗殺された。わずか数日で、3人の王子と国王が亡くなったのだ。

「キャニオン様、この国は大混乱ですね‥」

 金髪に黄緑の瞳の男がにこやかに言った。

「立太子した後に殺すのは困難だからな‥。早めに手を打った。この国は女に継承権がない。故に第五王女だけは見逃してやるつもりだ」

「あなたにも優しさがあるんですね」

 ゲベルカミル大公は男を抱き寄せた。

「私はいつも優しいだろう?アグダル」

 ゲベルカミル大公はアグダルの唇に自分の唇を重ね合わせた。

「はい。キャニオン様は私の恩人。セイムチャン伯爵家の私生児として見捨てられていた私を救ってくださったのは、キャニオン様です」

 キャニオン伯爵家には正妻との間に長男ムオニと、長女ジェパラがいた。アグダルはキャニオン伯爵がメイドに産ませた子で、正妻に疎まれ、使用人以下の扱いを受けていた。ジェパラより一つ年上のアグダルを、ジェパラだけは兄と呼び、酷い扱いをしなかった。それはジェパラとアグダルが瓜二つと呼べるほど似ていたからだ。

 ゲベルカミル大公は王子時代にセイムチャン伯爵家を訪れたことがあり、その時にアグダルと出会った。他人にときめいたことなどなかったゲベルカミル大公が初めてときめき、大切にしたいと思った存在だった。ゲベルカミル大公は王妃である母に、セイムチャン伯爵家の私生児を救ってほしいと懇願し、王妃はその為に伯爵令嬢ジェパラを侍女に任じた。そのことでうだつの上がらなかったセイムチャン伯爵家は世の注目を集め、伯爵の社会的な立場は上がった。伯爵は約束通り、私生児のアグダルを遠縁の男爵家の養子に出して地位を上げた。セイムチャン伯爵家の子にできなかったのは、セイムチャン伯爵家が伯爵夫人の父親の爵位で、婿となって継いだからである。

 ゲベルカミル大公は男色家ではあったが、女性が全く駄目なわけでもなかった。その為世間の目を反らす為に、ジェパラと交際をし、男色家という疑惑をかわしていた。ジェパラが王妃になり、ミシェールを産んだ後はゲベルカミル大公はフカンの地でずっとアグダルと暮らしていた。ゲベルカミル大公が結婚していないのはその為だ。

「この後、ジェパラはどうなるんですか?」

 アグダルがゲベルカミル大公の肩に手を回した。ゲベルカミル大公はアグダルを抱き寄せる。

「王を弑した者は処刑せねばな」

「そうですか‥。いよいよ妹も年貢の納め時なんですね。まあ、20年も王妃として贅沢に暮らせたんだから満足でしょう」

 アグダルは冷たく言い放った。

「私の即位後は、そなたを伯爵に上げてやろう。そしてセイムチャン伯爵家を取り潰して、その領地をそなたが治めればよい」

 アグダルの目が輝いた。

「本当ですか!!私が伯爵に!嬉しいです!キャニオン様、ありがとうございます」

 ゲベルカミル大公は喜ぶアグダルを満足そうに見ている。冷血漢のゲベルカミル大公も、アグダルのことは愛しいと思っていた。

 その頃、王宮では側妃達の取り調べが行われ、側妃達の親達も集まり大騒ぎになっていた。公爵達は、第三王子、第四王子も殺されたことから、国王暗殺は自分達ではなく、自分達も被害者であると訴えた。しかし王妃は聞く耳を持たない。膠着化した状態が続いていた。

 教会もまた大騒ぎだった。王太子の葬儀も行われていないのに、次は国王と、さらに二人の王子が亡くなった。葬儀の段取りなどどうすればよいか。歴史上嘗てない事象に神官達は慌てふためくだけだった。

「ルシフォール様‥」

 私は神殿に安置されているルシフォールの元を訪れた。

「あれは、聖女様??フカンの地におられるのではなかったのか?」

 神官達が騒めいた。私は気にせずにルシフォールに近づくと、フェニックスを呼び出した。その気配を察知してアーレスが駆けつける。

「聖女!!何をするつもりですか!」

 アーレスの問いかけも無視して私はフェニックスに祈った。

「フェニックスよ!ルシフォール様を生き返らせて!」

 するとフェニックスは真っ赤な炎のエネルギーに包まれて膨大化し、大きく羽ばたいたかと思ったらルシフォールの胸の中に吸い込まれていった。

「フェニックスの最後の力を使ったのですか‥。これでもう貴方に聖女の力はありませんよ‥」

 私は満足気に頷くと、ルシフォールの身体に手を当てた。冷たかった身体に熱が戻り、鼓動が脈打っている。蘇生したのだ。

「‥セシル??」

 ルシフォールはゆっくりと起き上がった。

「ルシフォール様!!よかった!!」

 フェニックスの力で蘇生させる。それは最後の賭けだった。私が辿り着く前に、遺体が処理されてしまえばそれは叶わない。

 私がルシフォールと再会を喜び抱き合っていると、アーレスが大きな声で言った。

「今、この場にいる者達よ!!フェニックスの力で王太子殿下は蘇生された。しかし、フェニックスの力が身体に馴染み普通に生活できるようになるには一月ほどかかる。数々の王族が暗殺されている今、王太子殿下が万全でないのは危険である。緘口令をしく!絶対にこのことを他言してはならぬ」

 アーレスはそう言うと、その場にいた全ての物に誓約をさせた。破ればその命はなくなる厳しい誓約である。その神の誓約は滅多に使われる物ではなかった。神官たちも初めての経験に緊張しているようだった。

 その後、ルシフォールは神官の衣装を纏い、深く布を被って顔を隠して私の部屋の隣の部屋に入った。私はその部屋を訪れた。

「私は何故、生きている?私は確か、出された酒を飲んで血を吐き死んだはず‥」

 ルシフォールの頭の中には死の瞬間が鮮明に残っていた。

「ゲベルカミル大公の仕業です」

 私は自分が知る限りのゲベルカミル大公の行いを話した。ルシフォールは黙ってそれを聞いていた。

「叔父が王座を狙っているのではないかと疑ったことはある。だがまさかこんな形でしかけてくるとは‥」

 ルシフォールは叔父の奸計にむざむざとはまってしまった己の甘さを恥じた。

「そなたの力に救われたな、セシル。ありがとう‥」

 ルシフォールは私を抱きしめた。私はルシフォールに再び会えただけで嬉しかった。

「私のせいでそなたは聖女としての力を失った。これからは私が守る」

 その時、アーレスが水晶玉に写った。

「それはそなたが普段から持ち歩いている水晶?」

 ルシフォールは驚いて水晶を覗き込んだ。

「王太子殿下、これは教会の聖具です。私としか話せませんが‥。王太子殿下、貴方の身体にはフェニックスが宿りました。フェニックスが貴方の心臓になったのです。フェニックスと一体化した者は今までの歴史上ではいません。どんな力があるかもわかりません。しかし、聖女の力を受け継いだ者であるという認識は持って下さい。この国の為に、その力を使うべきなのです」

 アーレスは静かにそう言った。

「分かりました、教皇」

 ルシフォールは再び与えられた生命に、神聖な使命を感じていた。

「今度こそ、愚かに死ぬことなく、この国を守ってみせる」

 ルシフォールは固い決意を固めた。

蘇ったルシフォール。これからゲベルカミル大公との戦いが、始まる

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