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アロンノ討伐記  作者: 河村 そう
14/15

成金新人冒険者の豪遊

伯爵から金貨100枚を貰った翌日、アロンとリュークは今日も自由行動をすることにして、アロンはラッセル武具店へと足を運んでいた。この店は得体のしれない店主が自分の作った武器を主として売っており、アロンが正式名称蒼石斧グラントを買い、借金をしている店である。アロンは今回の臨時収入で一気に返そうと思い、ギルドから小切手を貰ってきていた。

「そうか、そんな幸運に出会えたか。それは素晴らしいことだ!」

「ええ、だから今日は借金の返済と、グラントが使えない場所で使うための武器を買おうかと思いまして。」

「そうかそうか、俺の武器がもっと欲しいわけだな、小回りが利く武器というわけか、それに戦斧で戦うときに邪魔にならない武器か、、ちょっとここで待っとれ。」

店主は奥の通路へと依然と同じように姿を消した。アロンにちょうどいい武器を見せに展示してある武器じゃなく裏から持ってくるためであろう。アロンは良い人に好かれたなと自分を心の中で褒め、店の中を見ていった。

しばらくして、店主が戻ってきた。店主は何やら木箱を3つ抱えておりそれらを一つ一つテーブルの上に置いた。

「よし、アロン。一つ一つ説明してやるから、一つ目のふたを開けるといい。」

アロンが右の木箱のふたを開けると中には4つの真っ黒な小型のナイフが入っていた。

「これは、、投げナイフ?」

「おお、アロンもどんな武器か見ればわかるようになってきたか。

そうだ。これは投げること専門のナイフだ。素材はノワルガドルっていう黒く長い尻尾を持つ魔物の尻尾についた針から作られたものでな、鉄より軽く柔軟性もある。それでいて鉄より断然強靭で折れにくいし、ノワルドガルの尻尾はドラゴンのうろこも貫くと言われるくらいだ。

デザインから設計まで俺が一人で行ったものだから、質は間違いなく一流のものだ。」

腕を組んで自慢げに店主はこの投げナイフについて語った。

「それで、これは何マリーするんですか?」

アロンは恐る恐る金額を聞いた。

「これはな、3本まとめて300万マリーだ!高いだろうが、その分素材のランクもグラントより上がってるからな。」

「3、300万マリー、、グラントより高いんだ、、」

「よしじゃあ次の箱に行くか、早く開けてみろ」

店主が早くしろと急かすのでこの小さな武器がグラントよりも高い衝撃を押し込めて二個目のふたを開ける。

「これはな、ドラゴン素材だ。ワイバーンじゃないぞ、ドラゴンだ。獣王国がリウスの固有種ガリウス・ブラックホーン種だ。聞いたことないか?有名でおとぎ話とかにも度々出てくるドラゴンなんだが。」

「はあ、ドラゴンに関してはトカゲのような火や雷撃を放つ最強の魔物の一角を担っている存在としか教えてもらっていないので、種類までいるとは知らなかったです。」

「なに、そうか、冒険者なら知っておくべきだな、ドラゴンは現在見つかっているだけで13種のドラゴンが見つかっているんだ。この中から代表的な3種類を教えてやろう。まずはこの武器の素材となってるガリウス・ブラックホーン種だ。がリウス火山群にのみ生息し、その性格は狂暴で好戦的。黒い鱗と長い二つの黒い角を特徴として度々火山群から離れて人里を襲うんだ。二つ目はホワイトアイ種こいつは一番生息数が多くてこの大陸の各地にその生息が確認されていてな、緑色の鱗に白色の瞳を持っている。だが比較的おとなしい性格で、ホワイトアイ種は火も雷撃もない。特徴的な長い爪と尻尾で敵を攻撃するんだ。そして三つ目、こいつはこの大陸では絶滅したとされているんだが、デーモン種だ。古くからあるおとぎ話に出てくる都市を破壊するような奴はデーモン種で間違いない。かの有名な200年まえの勇者が倒したのもデーモン種だったって伝承がある。他のドラゴンよりも2倍ほど大きく、性格はブラックホーン種と酷似しているらしいとももっとタチが悪いとも言われている。まあアロンが戦うことになるとすればホワイトアイ種になるからいつかその討伐報告にくることを期待しておくぞ。」

ドラゴンに種類があることすら知らなかったアロンは実に面白く興味の沸く話だろうと熱心に店主の話を聞きいつか自分でドラゴンを倒し、13種全てのドラゴンに遭遇したいと夢を描いた。

「そのドラゴンを使った武器がこれなんですね?」

「そうだ、すっかりドラゴンの話になっていたな。これは見て分かる通りダガーナイフだ。それも一般のものより小さく作ってある。素材が希少な所為もあるが、アロンにはぴったりじゃないかと思ってな。冒険者があこがれるドラゴン製品を手に入れるチャンスだぞ。しかもブラックホーン種の角からできた武器なんて早々手に入るものじゃないからな。」

「ちなみにお値段は、、?」

「これはな、500万マリーだ。」

「た、高すぎる、、!!」

目を開ききって言葉を失ったアロンに店主はグラントを買った時と同じようにアロンに揺さぶりをかける。

「ホワイトアイ種のダガーならもっと安く100万マリーほどで済むんだがな、ブラックホーン種それもガイウスというブランド付きはもはやコレクターの域に入るからな。しかもここ十数年は討伐記録のない固有種だ。これからも値段はどんどん上がっていくぞ?」

「くっっ、今買うべきなのか、、、」

「俺が冒険者なら迷わず買っているな。」

アロンはじっと輝いて見える黒色のダガーを息を忘れて見つめる。

「先に三つ目を見してもらってから決めてもいいですか?!」

パッと目を三つ目の箱へと移すことでアロンは衝動買いしてしまうのを抑えた。

「ああ、これもいいものだからな、見てから決めた方がいい。」

すると今度は店主が木のふたを開けてアロンに中にあった柄が無く丁度指が入るサイズの穴が開いたナイフを手に取ってつけて見せた。

「これはな、こうして指を入れて使うんだ。その分手元から離れないし、いろんな動きができる。」

そう言って店主はそのナイフを腕を振って動かした。


「へえ、そういった武器もあるんですね」

「これはな俺が考えたんだ。殴るときにこういった持ち手の鉄板を付ける闘士が故郷の町に居てな。そこから発送したんだ。これは魔物素材じゃなくてシュード鉱石っていう希少鉱石から作ったもので、シュード鉱石は最近見つかった新種の鉱石でまだこれを鍛錬できるのはこの世に俺だけだ。」


ガハハハと笑う店主の言葉に本当かなと疑問を持ちながら自分もそれを持たせてもらうが、青白く光っているこのナイフは冷たく、何でも切れそうな気がした。


「それはなとにかく硬くて柔軟性が無い。俺もそれの鍛錬には苦労した。熱がまず全然通らないんだ。暑い所に行くときは体を冷やしてくれるからいいかもな。ちなみにこれはまだまだ前線都市の奥地には大量にあるとうわさされているから、150万といったところか。」


「もうその値段が安く聞こえてきました。でもどうしよう。」


アロンはその日には決めきれず、グラントを研いでもらって後日来るという約束をしてその店を去った。


それから3日後にはアロンの腰には見るからに異彩を放っている漆黒のダガーがぶら下っていた。


それを発見したリュークはまたアロンが高額な武器を買ってしまっているとため息をつき、他の冒険者からは魔玉の報酬があれに変わったのかと羨ましそうな目で見られることになった。

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