第1話 始まりの冒険(1)
処女作です!大学生の長い夏休みに書き始めた物ですので時間のある時に人気が出るようでしたら執筆します。
とりあえずは5万字、第一章終了時までは執筆完了しております。つじつまが合わないことがあるかもしれませんが、指摘されたら修正しますので、間違いがあればぜひ教えてください!
ではこれから宜しくお願いします!!
3月の初め、冬の寒さが和らぎ町に行きかう人の動きが活発になり始めた頃、
冒険者になるための試験を受けに6人の冒険候補者たちとアロンは薄暗い森の中を歩いていた。アロンはつい先日16歳になったばかりの孤児である。
今まで領主の所有する孤児院で生活してきたが孤児院を実質的に経営している教会の神父から古びた短剣を受け取りこの試験に参加している。
孤児院に預けられたアランのような男子はよほどの他の才能が無い限り、大人になった時の選択肢は冒険者、大工、石工、もしくはスラムで日雇いの仕事をしながら過ごすしかないという4択であった。
しかしどんな職業に着いたとしても育ててくれた孤児院へそ生涯で500万マリーを寄贈する義務を負いながらの生活を余儀なくされる。
孤児院を出てから3年後に始まる贈与は、最低1年で10万マリー行わなければならず、それが出来なければ投獄させ、返済するまでの間強制労働の刑に処される。
一般的な成人男性の年収が300万マリーと言われていること時代に生活をしながらこの額を返すことは難しい。
だが死ねばその妻や子が保証人として残りを寄贈するという義務は無いので幸いだ。
満足に食事もすることができない人々がいるこの時代において、彼らはまだ幸運だったといえよう。
そんな孤児に厳しい世界でアロンと他の孤児ではない仲間たちが故郷である要塞都市フォルクの大門をくぐり外へと出ていってから既に4日が経過していた。
「おい、見ろ。あそこだ。」
出発時からの7人の冒険候補者の中でのリーダーであるリュークの声にアロンたちは身をかがめた。
「「ガルルゥ、ガフゥゥガフゥガフゥ」」
彼が指さす方向をじっと見つめるとそこにはホーンウルフと呼ばれる魔物が3匹小川を挟んで得体のしれない肉を食べている。
彼らは食事に夢中で辺りに立ち込める腐敗臭のせいもあってかまだこちらに気がついている様子は無かった。
「よし、俺とフィードが向こうへ回るからサンタとジェシカ、それにニコとアロンは側面に回れ。残りの3人はここで待機だ。」
そう言うと7人は魔物たちに気がつかれないように行動を開始した。
アロンは、この4日間一度もこのチームに貢献できていないことを焦っていた。
だがしかし、ここで勝手な行動をしては意味が無いとリーダーの彼の言った通りに行動する。
アロンとニコが魔物たちに気がつかれないよう茂みをゆっくりとかき分け、落ちた枝に注意しながら側面に回りこむと、小川の水は黒く変色し、先ほどの場所よりもにおいがきつくなっていた。
「おい、今度こそ足を引っ張るんじゃないぞ。」
ニコが小声でアロンに警告する。
「ああ、分かってる。俺はもう逃げたりなんてしない。」
アロンはそれに返答したが内心ではひどく怯え、握りしめた古びた短剣を震わせていた。
「おい、奥の奴がジェシカ達に気がついてるぞ。唸り声をあげてる。」
しっかりと敵の様子を目を話すことなく見ていたニコはアロンにそう告げる。
「グルルルゥゥゥ、ヴォンヴォン!」
するとニコの言う通り、肉に夢中だった黒い毛並みの狼はアロンとは反対の方角にある茂みに向かって威嚇している。今にも茂みに向かって飛び掛かっていきそうな様子である。
「リュークとフィードはもう回ってるはずだ。こうなったら背後にいる俺達が攻撃を仕掛けるべきだ。だろ?」
「う、うん。そのとおりだ。僕たちならきっとやれる。」
アロンとニコはお互いの顔を見合わせると、息を合わせて茂みの外へと足を踏み出た。
「おおぉぉぉぉ!こっちだぁぁぁ!」
ロングソードを両手に持ったニコの叫び声に反応し狼たちは一瞬怯む。
しかし、それもつかの間で、飛び出してきたアロンたち目掛けて走り出した。
同時に四方から狼目掛けてパーティーの仲間が次々と茂みから現れ戦闘に加わろうとするが、彼らの予想とは違い狼たちは彼らが出てくるよりも速く、迷わずアロンとニコへと太く鋭利な角を向けて突進してくる。
「アロン!そっちに二体いくぞ!」
狼の後ろから弓を抱えて追いつこうと走ってくるサンタの声を聞きながら、古びた短剣を構えたアロンは狼たちを待ち受けた。
ニコの方に向かった狼は突進を軽々とニコによけられて高く振り上げられた剣が振り落とされる。
ホーンウルフは他の狼と違い角を使った突進を主な攻撃とするため飛び掛かってこようとはしない。そのためよけることは来ると分かっていたら新人の冒険者であっても不可能なことではなかった。
だがそれはホーンウルフを単体で相手する場合である。
ニコがホーンウルフを背中から真っ二つとはいかないものの確実に絶命させた瞬間、アロンは思わず地面へと伏せて二頭の突進を避けようとした。
「う、うぁぁぁぁ!!ぐっっっ!!」
アロンは伏せきる前に狼の爪によってアロンの背中が来ていた色褪せた服ごとえぐられる。
火であぶられたかのような痛みが背中全体に回り、アロンはすぐに立ち上がることができなかい。
視界が急に暗くなり、辺りがぐらぐらと揺れ始めた。
「くそぉぉ!あいつらそのまま逃げる気だ!追うぞ!」
リュークは地面でもがいているアロンにかまうことなく他のメンバーにそう命令を下した。
他のメンバーも瞬時にそれに同意し、アロンを置き去りにして小川を走り下っていく。
ホーンウルフを追いかけていった六人の足音や叫び声が聞こえなくなると、アロンには自分の荒い息の音がより大きく聞こえるようになった。全身にしびれを感じ、アロンは意識が遠のくのを感じる。
アロンはそのままうつ伏せの状態で意識を失った。
一話まだ続きます。次の更新は22時を予定しています。
2章以降書くかの指標にしたいので評価よろしくお願いします!