9章 転勤
9章 転勤
「あれ…俺寝ぼけてるみたいだ。わりモニカもう一度行ってもらっていいか?」
「かぐらくんクビみたい」
「な、なにぃー!!!!!」
流石の神楽も動揺が抑えられず頭より先に体が行動していた
「か、かぐらくん!そんなかっこうでどこいくの!?」
「うっせー!あのクソ社長に文句と失業保険貰いに行くんだよ!」
「さすがかぐらくん!こんなときでもおかねなんだね!」
絶対に今回に限っては文句言って思いとどまらせてやる
いつもの調子でのらりくらりかわせると思うなよ
社長室
「カルラ!!今日こそお前にいう事があるぞ!!」
勢いよく扉をあけいつもなく真剣な目をした神楽
カルラと目が合うと少し時間が止まった気がした
静かな部屋で2人最初に口を開いたのはカルラだった
「お前に謝罪する事がある」
思った以上に真剣なカルラに神楽は少し圧倒され黙って話を聞くことにした
「しかしまず言いたい事が一つある」
「ああ…」
「ズボンを履け」
「な…!?」
よく見たら慌てて来たから俺の格好が危ない!!
Tシャツにパンイチておっさんじゃねえか
そういえば昨日は疲れすぎてシャワー浴びたまま寝ちまったんだった!!
「わ、わりぃ…」
「まあいい…ふふふ」
一気に緊張感というものが無くなったな…
「さてまず私に謝罪をさせてくれ」
「なんの謝罪だよ謝罪より時給上げることに専念してもらっていいすか?」
「お前を今日限りで解雇する本当に申し訳ない」
「おうその事なんだけどよ、俺は最近ようやくおばちゃんから半額シールを奪われなくするコツを覚えた所なんだぞ。そんな俺を辞めさせてどういうつもりだ」
「お、お前そんな事されていたのか…うちの客層はどうなっているんだ」
「ま、こういうのは現場の人間にしかわからねぇってこった。何があったか知らねえけどよ、もうちょっと様子見てもいいんじゃねえか」
結構真面目に交渉している
それもそう、ここを辞めさせられると俺は行く当てが無い
それに…
「通常ならお前を解雇にする理由はないが今回は異例でな。」
「異例もクソも…あっ!戦争がどうだの言ってたじゃねえかそれはどうなるんだ」
「ああ…それは実はなんとかなりそうなんだ。とにかくお前は忘れていい」
何か隠してやがんな
カルラの目が行ったり来たりしている
「まあ…それはいいとしても、いやよくはねぇんだけど俺はこれからどうすれば」
「その事だが北の国アルトゥールに私の知り合いがいる。そこで面倒みて貰え」
「変則的な転勤というやつか…」
「まあ無一文で新しい国でやって行くのも大変だろう。モニカを持っていけ役に立つ筈だ」
「お前本当に現場に立った事ないんだな」
モニカが役に立つ訳がないだろう…現場に立ってる人間なら誰でも知ってる事実だ
これだから上の人間ってのは…いや俺も出世したら気をつけないとな
「まあ、まだ納得できない事も言いたい事もあるが全部上げてちゃキリがねえ。」
「ああ」
「だから全部まとめて一言で言うぜ」
『いままでお世話になりました』
「ああ…!」
バタン
扉が閉まると自分が今まで見てきた景色が違うものに見えた気がした
変な感情なまま歩いているとモニカがやってきた
「かぐらくんどうしたの?」
「いや……なんでもねえさっ行くぞ!」
「えぇ…どこにぃ…?」
「俺たちの新しい未来にだよ!」
「カッコいいこといってるけどかぐらくんずぼんはいたら?」
「……」
何もかも分からない
俺が何故この世界に来たのか
カルラの事。戦争の事。謎の転勤
分からない事ばかりだが、とりあえず今は今できることをやるしかないんだ
俺はそうやって生きてきただろ
「かぐらくん!いこ!」
モニカが笑顔で俺を呼んでいる
またこれからもコイツと一緒に仕事か…
まあ…悪くもない
「ああ!!」
絶対この世界で生き抜いていつか元の世界に戻ってみせる
「何故なら俺はスーパーエリートだからな!!」