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3章 異常と正常

3章 異常と正常


「ささっ中へ」


「馬鹿言ってんじゃねえいつ俺がここで働くと言った」


「ふむしかしお前はここで働く方がいいと私は思うのだが」


「俺はそうは思わねえな」


「まず第一に見た感じ貴様はなんらかに巻き込まれたか何かでここへ来たばかりで露頭に迷っている」


「うっ」(図星なんだよなぁ…)


「見たところ住むところもアテもなさそうで金もなさそうだな」


「お前人には言っちゃいけない事と言っていいことがあるぞ。ちょおおっと失礼すぎやしませんかね」


「事実じゃなければ謝るが弁解の余地はあるのか?」


「……」


「ないようであれば話を続ける。とりあえずここで働けば暫く生きていく事は出来るし衣食住は揃うぞ」


通常即受け

異世界に来たばかりの神楽に取って申し分ない条件

確かにここに来たばかりでカネも情報も不足している状況で露頭に迷うのは得策ではない

しかしながら神楽の中では何かが引っかかる

逆を返せばこの条件奴に理がない

何か辛い仕事超肉体労働系の仕事か

最悪の場合実験動物のようにされる可能性だってある

うまい話の裏には確実に裏があるのだ


「さあ、どうする?ここでは働いてみるか?」


「…だ」


「うん?聞こえなかったなもう一度言ってくれ」


「まだだ…まだ2つ目の理由を聞いてねえ、お前はまず第一にって最初に言ったな。つまり2つ目の理由があるって事だ。それを聞かせてもらう」


「ああ、そうだな2つ目の理由は…いやまだ伏せておこう働き始めたらわかるさ」


「なんだよそれ聞かせろよ」


「全く察しの悪い奴だなそもそもこの条件はお前にとっていい筈なのになぜ乗ってこない」


ブチッ


「うっせーよ!お前には関係ないだろ!余計なお世話なんだよ!俺の勝手だろ!俺の好きにさせろよ!」


ダダッ!


「お、おい!」


神楽は逃げた

神楽は人に施しを受ける、馬鹿にされる、命令を受けるのが大嫌いなのだ

なんだかんだ理由はつけてみたが結局の所人のいいなりになるのが嫌で…嫌で嫌で仕方なかったから逃げたんだ



(くそお…俺だって…こんな異世界にさえこなければ……!)


異世界にきて早々エリートのプライドが存分に傷つけられ人生初の初めて涙をながす


「はぁはぁ…追っては……きて、ないみたいだな」


赤目の美少女は空を飛べる

それはさっき確認済みであの盗賊も追えるレベル

神楽を追う事なんて朝飯前のはずだが追ってはきてない

つまりあえて追って来てないと判断した


「……とりあえず帰る方法を探るしかないか」

「いやまず衣食住の確保からか俺は寝る所も飯を食うカネすらないんだからな」


とりあえずカネを稼ぐ手段を見つけることにした

宿に泊まるにも飯を食うにもカネが必要だからという判断だった


「ここは…」


メンバーズギルド


「ギルトってなんだよ本格的にRPG感が出てきたな笑」


「ようこそいらっしゃいましたメンバーズギルトへようこそ」


「ここは何をする所なんだ」


「はい!初めての方ですね。ここはモンスターなど色んな」


「却下だ」


そそくさとギルトを出る

当たり前だ俺はあの盗賊を追うことすら出来なかった男だぞモンスターとか無理に決まってるだろいい加減にしろ


「しかしそうなると何をしろって言うんだ…いよいよマジでアイツのお世話に…」


ふと思いだす赤目美少女を


「!!!いや!それだけはねえ!絶対アイツの手なんて借りるもんか!」


思い出すだけで怒りがこみ上げてくる


「今日はしゃーねえ野宿だ飯は…まあなんとかなるだろ」


「やめて…やめて下さい…」

「ああ!」


「おいおいこの街は物騒だなあ目を離したらすーぐ問題が起きやがる」


近くで小さい少年が虐められている

なんとなく見過ごせなかった神楽はいじめっ子に近寄った


「お前らー弱いもの虐めして楽しいか?大人しく子供は家でゲームでもしとけ」


「なんだよおっさん!おっさんには関係ないだろ」


「それが関係あるんだよここはおっさんの寝床だ。家のあるお前らはさっさと帰って飯食って寝とけ」


「おっさん…ホームレスかよ…そりゃ…悪いことしたな」


「やめろそんな哀れむような目をするんじゃない」


「じゃあな!次あったらただじゃおかねえからな!」


「うう…」


「おい大丈夫か?怪我ないか?」


「うん大丈夫だよありがとうね」


「全くこの街はロクな事がないな治安悪すぎだろ」


遠くから声が聞こえてくる


「おーいヨハン!」

「あっお父さん!」


「おっ親登場か、良かったなぁ」


「ヨハン!どこ行ってたんだ心配したんだぞ」


「ごめんなさい…」


「前から言ってるだろ学校終わったらすぐ帰ってこいって」


「うん…でもクラスの子がね僕を虐めるんだ…」

「でも!今日はこのお兄ちゃんが助けてくれたの!」


「え?本当かい!本当にお世話になりました!」


「ん?ああ全然良いですよ正直自分の寝床で騒がれたら迷惑だなって思っただけなんで」


「寝床…?もしかして家に帰れない事情が?」


「まあ…そんなところですよ」


「もしよかったら家に来ませんか?お礼がしたいんです」


「えっまあどうしてもと言うのなら…」


正直野宿はしたくなかった神楽は正直にお礼を受けることにした


「人助けもやってみるもんだなあ」



「ふう…助かったぜぇ野宿は避けれて飯も食わせてもらえるなんてな。しかし明日からどうするか考えと…か…ねぇ…とzzz」


???「クククククククク」


深夜


「んん…」

「はっ!」


目が覚めると謎の空間にいた

6畳半くらいの小部屋に寝かされている


「身動きが取れねえ…なんだ…これは」


???「目が覚めたか」


「なんだお前は」


???「私は式神教徒幹部候補ロマネスク・ブルドアン」


「式神教徒ってなんだ危ねえ宗教ってのはわかるが」


「ククククお前にとっては虐められていた子供の親。と言った方が分かりやすいかな?」


「!?貴様!もしやマッチポンプ!」


騙された!全て仕組まれた事だったか!!


正直痛すぎるミス

現実世界ではこんなミスは起こさない神楽だが次々と起こる非日常のせいで疲労しきっていた神楽は正常な判断が出来なかったのだ


「だが俺を捕まえてなんの得があるカネなら無いぞ知ってるだろうがな」


「お前からは…いいいいいいいい臭いがするんだなあ」


「なんだと…」


コイツ俺が最近新調した香水の事を言ってるのか

やっぱ分かる人にはわかるんだなあ

そんな事言ってる場合じゃねえヤバいヤバいヤバいヤバいヤバすぎるどうしよう


すると式神教徒ロマネスクは間を置いて神楽の予想外な事を言い放った


「お前は…この世界の人間じゃないなぁあ?????」


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