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21 捜査続行⑤

押入れの中から京子を見ていたのは、幽霊ではなかった。

 私たちは、13号室へ行き、事情聴取を開始した。私が沖引を担当した。

「沖引さん、なぜ25号室の押入れに隠れていたのですか?」

「えー、それは……」

「何ですか?」

「……えー、実は、携帯電話をパクったので……」

「盗んだのですか?」

「……はい。事件の起こった日の昼に、俺と何人かのメンバーが、宴会場でカラオケを使いたいので、スタッフルームに伝えに行こうとしたら、ちょうどロビーにご主人と女将さんがいたので、そこでカラオケの件を伝えました。そして、女将さんが二階の宴会場へ急いで行きました。ご主人も一緒に。その時、テーブルの上に携帯電話が置かれているのが目に入ったんです。手に取ってみたら、ロックがかかってなかったので、それで、つい……」

「携帯電話を盗んだ、ということですね」

「ええ、まあ、ほんの出来心で……」

「あなた、亡くなった吉村さんの携帯宛に、ショートメールを送りませんでしたか?」

「ショートメール? いや、送ってません」

「事件の起きた夜、8時2分、8時8分に、神田正雄さんの携帯からショートメールが送信されています」

「知りません。本当に知りません。俺、その時間なら宴会場にいました。パクった携帯は部屋に置きっぱなしで」

「あなたでなければ、誰が送ったんですか?」

「だから、本当に知らないんですよ」

 私は係長と京子に目をやった。二人とも首を少し縦に振った。ウソはついていないという合図だ。

「では、押入れに隠れていた件について訊きましょうか?」

「……はい、今朝、突然刑事さんたちがご主人と一緒に二階へ来て、今から部屋を調べたいと言ったので、もしかしたら、携帯電話をパクったことがバレたのかなと思って。それで、俺の指紋が携帯電話に付いてるから、それを拭いて消そうと思って、押入れに隠れたんです」

「それで、磯田刑事が、押入れの中から覗くあなたに気づいた」

「……はい」

 京子は、自分が見たのが幽霊ではなくて人間だったことがわかって、胸を撫で下ろした。


 他の三人にも話を聞いた。

「あなたは、沖引さんが携帯電話を盗んだことを知っていたということですね」

「すみませんでした。俺は沖引が携帯を盗んだことを知ってました。そして、刑事さんが捜査に来た時、沖引が部屋から出てこなくて、不思議に思いました。それから刑事さんが部屋に入って叫び声を上げた時に、俺、急いで部屋に入りました。そうしたら、沖引が何食わぬ顔して押入れから出て来て、それで、つい、何事もないように振舞ってしまいました」

 ・

「それでは、あなたは沖引さんが携帯を盗んだことは知らなかったのですか」

「ええ、はい。刑事さんの悲鳴が聞こえてきて、部屋に入った時、沖引君がすでにいたんです。あれっ?と思ったんですが、そのままやり過ごしてしまいました」

 ・

「なら、沖引さんが携帯を盗んだことは知らなかったんですね」

「はい。沖引さんが25号室の中にいたのも、意味が分からなくて。自分でもおかしいと思ったんですが。もしかしたら、僕たちと一緒に部屋に入って来たのかもしれないしと思って……」


 三人の内一人だけが、沖引が携帯電話を盗んだことと、25号室の押入れの中に潜んでいたことを知っていた。しかし、ご主人の携帯電話からショートメールが送信されたこととは無関係だと思われた。そこで、私たちは沖引を重点的に調べることに決めた。


誰がショートメールを送ったんでしょうかね?

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