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11 捜査再開

捜査再開です。

 ホラー映画研究会の全てのメンバーから事情聴取を終えた。これで、旅館の従業員と宿泊客の全員から聞き取りを一通り終えることとなった。私たちは一息つこうとロビーへ行った。


「おい、何だよ、コーヒー売り切れかよ、まったく」

 まるでガラの悪い人間のように係長が自動販売機を睨んでいた。自動販売機には缶コーヒーが4種類ほど売られていたが、全て売り切れになっていた。

「あーあ」

 係長はだるそうにソファーに座った。すぐに係長の電話が鳴った。鑑識からのようだった。

「ああ、わかった、ご苦労」

 係長は真剣な表情で電話を切った。

「香崎、磯田、害者の物と思われる衣類がそこの崖で見つかった。それと、害者の横に停められていた軽トラの中から、携帯電話が見つかった。行くぞ。ああ、それと猟銃の持ち主がわかったが、それは嶋村に任せる」

 刑事課の嶋村伸二先輩は、高木先輩よりひとつ年上の刑事だ。

「えー、係長、私じゃなくて嶋村先輩にーー」

「そのほうが効率的だろ」

「京子、わがまま言ってないで行くわよ、ほら」

 私たちは旅館の横側の川沿いの崖へ回った。


 鑑識班が崖の木に引っかかっていたのを発見して回収した衣類が7点あった。防寒ジャンパー、シャツ、アンダーシャツ、下着、ズボン、靴下、靴。普通に考えて、着る物一式だった。

「二人のどちらの物なのかは、まだわからんな」

「係長、服に名前とか書いてないんですか?」

 この時点ではまだ、熊田しか雄と吉村けんは背格好が同じなので、二人のどちらの衣類なのかわからなかった。

「何だこのシミは?」

「コーヒー……でしょうか?」

「おう、確かにコーヒーの匂いがするな」

 白いシャツは茶色に変色していた。私も匂いを嗅いでみて、コーヒーだと感じた。

「で、それから、この軽トラだ。ドアはロックされてないし、キーがついてない、変だな」

「係長、車のドアって、自動的にロックになるんじゃないんですか?」

「最近の車はほとんどがそうだろうけどな、軽トラでは自動ロックっていうのは聞かないなあ」

「そうなんですかー。あっ、小春、それ何?」

 京子がサイドボードの中を指さした。中にはビデオテープが置いてあった。

「これは、ビデオテープかしら?」

「おう、香崎、よく知ってるな。俺の世代じゃ当たり前だけどな」

「係長、何ですか? ビデオテープって?」

「CDの前はカセットテープだったろ。で、DVDが流行る前は、ビデオテープだったんだよ」

「えー、そうなんですか。カセットテープもよくわかりませんけど」

「おう、でも、こんなに小さかったかな?」

「京子、ビデオテープ見たことないの? 私も子どもの時に見たきりだけどね」

 係長は、衣類、携帯電話、ビデオテープを鑑識に渡した。私は係長に尋ねた。

「携帯電話から何かわかったんでしょうか?」

「いや、まだだ。まずは鑑識に回してからだ。この軽トラは吉村けんの名義になってるな。おそらく携帯電話も吉村のだろう」

 軽トラはこの県のナンバーだった。

 私たちは、熊田と吉村の二人が滞在していた14号室へ行った。

 部屋からは、鑑識班がすでに携帯電話を押収していた。部屋にはビールの空き缶が10個ほど転がっていた。それ以外には、ボストンバッグとリュックサックがあるくらいだった。

「ねえ、小春、旅行にしては荷物が少なくない?」

「んー……」

 鑑識と話をしていた係長がこちらに振り返った。

「旅館前の駐車場に止められている乗用車が熊田名義のものだと確認された。◯◯県ナンバーだ」

「じゃあ、熊田さんも吉村さんもこの県の住人ねー」

「日帰り旅行に来たのかしらね」

 この時点では、鑑識の調査結果を一刻も早く欲しかった。


服とか携帯電話とかビデオテープとか見つかり、車の名義とかわかりました。

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