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2 海斗はスキル合成をしてみる

スキルは3種類存在する。装備品に関係なく、好きなタイミングで使用できる『魔法スキル』。特定の武器や防具を装備したときに使用できる『技スキル』。そして、特定の武器や防具を装備したときに発動している、又は常時発動している『特性スキル』だ。


「このスキルを使うために必要な武器は……魔道書か」


低ランクの武器であれば、職業に応じて装備できる武器の種類には違いがない。高ランクの魔導書になると盗賊職であるカイは装備できないが、スキルを試す分には低ランクでも問題ないだろう。

カイは魔導書を装備する。特定の種類の武器を初めて装備したときに獲得できるスキルがあるため、武器は全種類購入してある。

あまり固有スキルを人に見られたくないため、路地裏で試してみる。


「えーと……『スキルシンセサイズ』」


するとカイの前に、スキル欄と2つの空のスロットが出現する。カイは適当にスキルを2つ入れてみる。どうやらこの状態で決定を押すと、スキルが合成されるらしい。


「合成したら何のスキルができるかはわからないのか。ならまずはいらないスキルで試してみるかな」


カイは『ゴールド獲得量アップ』と先ほど手に入れた『雀の涙』を合成材料に選ぶ。

似ているスキル同士のほうがやりやすいだろうと考えたからだ。


特性スキル『ゴールド獲得量アップ』

・盗賊職の初期スキル。スキル屋で常時、購入可能。

《獲得するゴールドが5%アップする》


カイは2つのスキルをスロットに入れて、決定ボタンを押す。数秒後、『ゴールド獲得量アップ』と『雀の涙』が失われたという通知が届いたのち、新たなスキル、『ゴールド獲得量アップⅡ』を手に入れたと通知が来た。


特性スキル『ゴールド獲得量アップⅡ』

・『ゴールド獲得量アップ』をランクアップさせる。

《獲得するゴールドが6%アップする》


「はあー。なるほど。こんな風に合成されるのか。……って、これだったら『雀の涙』を売ったマナでランク上げたほうが得してるじゃん!」


ゴミスキルである『雀の涙』であっても、レアドロップスキルであり市場に出回っている数は少ない。そのため売却したときにもらえるマナとゴールドはそこそこ多く、『ゴールド獲得量アップ』をランク3にするくらいは貰えるだろう。


「まあいいや。気を取り直して今度は技スキルの合成でも試してみようかな」


そう言ってカイは『ファイア』と『アイス』を選択する。どちらも魔法使い職が初めから持っているスキルである。また、どちらもスキル屋で常時購入可能なスキルである。2つのスキルが失われたという通知とともに新たなスキル、『スキル廃棄物』を手に入れたという通知が来た。


特性スキル『スキル廃棄物』

・特殊な状況でスキル獲得の失敗

《効果なし》


「げっ。これスキル獲得のクエストに失敗したときに手に入るやつじゃん」


スキル獲得のクエストには、先にそのスキルが渡され、そのスキルを使ってクエストをこなすというものがある。クエストに成功すれば、そのままそのスキルはプレイヤーに渡されるが、失敗するとそのスキルはこの『スキル廃棄物』に変化してしまう。これは使い道がなく、所持しているとステータスの伸びが悪くなるため、早急にスキル屋で買い取ってもらうしかない。


「意外に難しいな……。あっ、それなら」


カイはスキル屋に向かうとスキル廃棄物の売却をするついでに、『ファイア』を2つ購入した。1000ゴールドと安く、ドロップアイテムの売却によってそこそこゴールドを持っているカイにとっては痛手ではなかった。

再び、路地裏に向かうと、今度は『ファイア』と『ファイア』の合成を始めた。すると、今度は『ファイアⅡ』を手に入れたと通知が来た。


「『ファイア』2つで『ファイアⅡ』にできるのか。一見効率が悪そうだけど、この方法ならマナがいらないから、ゴールドをためるだけで強化していけるな」


ファイアはスキル屋で常時購入可能なため、売却したときにマナはもらえない。スキル屋では常時購入可能なスキルと、在庫が存在するスキルがある。

プレイヤーによって獲得され、売却されたスキルは、在庫のような状態となってスキル屋に並ぶ。この並んでいる状態と、そのスキルの需要によって売却時のゴールド、マナ及び、購入時のゴールドが決定される。

例えば、物理攻撃で同じモンスターを連続10体狩ると獲得できるスキル『攻撃力アップ』はその獲得しやすさから、大量に売却され、今では10ゴールドほどで買うことができる。

そこで今度は、『攻撃力アップ』を2つ購入してみる。

まずはこの2つを合成して『攻撃力アップⅡ』を作成、次にできた『攻撃力アップⅡ』とすでに持っていた『攻撃力アップ』を合成する。すると、この2つのスキルが失われたという通知とともに、


『攻撃力アップⅡ』を手に入れたという通知が来た。


「……あれ? ってことは指数関数的に『攻撃力アップ』がいるってことかな」


カイはさらに追加で『攻撃力アップ』を2つ買ってきて、合成する。そして、『攻撃力アップⅡ』を2つ合成すると、やっと『攻撃力アップⅢ』を手に入れたと通知が来た。


「つまり、あと必要な『攻撃力アップ』は60個か」


現在、『攻撃力アップ』のランク上限は7である。とはいえ、『攻撃力アップ』を7にしているのは上位層のさらに上位層だけである。適応される割合があまり高くないため、上位層はそれぞれが持っている固有スキルで事足りるのだ。

カイは『攻撃力アップ』を60個買ってくると、一つ一つ、合成を始めた。

そして、日が暮れ、『攻撃力アップⅤ』を4つ手に入れたところで、これを2つ合成できないことに気付く。MP不足ですとメッセージが出ていた。


「あー。そうか一応技スキルだもんな。でも今までこんなことなかったんだけどな」


MPは自動回復する。町の中ならその速度はさらに早い。カイは自分のMPを確認する。すでにほとんど回復していて、あとちょっとでマックスだった。そしてすぐ、マックスになったのを確認すると、再び合成をしようとする。

しかし、やはりまだMP不足ですとメッセージが出た。


「ってことは合成するスキルによって使用するMPが変わるってことか。そう簡単に最高ランクは作らせてくれないみたいだな」


カイはここで時間が6時を過ぎていることに気付き、慌ててログアウトする。任されている犬の散歩に行かなければならないからだ。






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