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13 海斗は図らずも市場を操作する

次の日、カイは11時ごろからログインしていた。マリンとバロックにあげれるようなスキルが作れないかと考えたからだ。


「『ヒール』の上位スキル、『ハイヒール』は持っているだろうしな。というか回復系スキルは普通にプレイしていたら上位スキル手に入るし、あんまり必要なさそうなんだよな」


カイは特に何も考えず、『斬撃』と『ヒール』を合成してみる。すると、『回復剣』を取得したと通知が届く。


「お? 回復剣? 聞いたことないな」


技スキル『回復剣』

・モンスターを回復させて剣でとどめを刺す

《斬りつけた相手にダメージを与えた後回復させる》


「ふーん、いまいち使い道が分からないな。というか、もしかしたらこれって最近追加されたスキルかもな」


カイが思った通り、このスキルは数時間前に追加されたスキルである。強化が入ったAIは運営が把握できないほどのスキルを生み出していた。しかし、これのおかげでカイの『スキルシンセサイズ』で合成したときの失敗する確率が下がった。かみ合っていなそうなスキルで合成しても、新たなスキルができるようになっているのだ。

おもしろいなと、次々、見たことのないスキルを合成していると、マリンがやってきた。


「あ、マリンさん。何か混ぜてみたいスキルない? 結構何でも合成できるようになってるんだけど」

「え、それは面白そうね。後で見せて。でもそれよりも先にこれを見てほしいの」


そういうとマリンは1つの掲示板の書き込みをカイに見せた。


――――――――――――――――――――――――――――――――


極大暗黒弾の獲得に関するスレ part3


241 名無し

なあ、ここにいるみんなで極大暗黒弾買った人いる?


242 名無し

俺は買ってねえ。こんなことならマナ貯めとけばよかった。


243 名無し

確かに、価値が暴落しても買うのに必要なマナは減ってないからな


244 名無し

今来た。どういうこと?


245 名無し

50万ゴールド、破格なんだけどやっぱりマナがなあ


246 名無し

>>244

極大暗黒弾が今50万くらいで買えるんだよ。けっこうみんな購入してる。


247 名無し

なんで?


248 名無し

なんでも、いろんな上位プレイヤーが大量に取得したのを売ったとか。きっかけはしらん


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「これ、どういうこと?」

「書いてある通りね。私もスキル屋で見てきたんだけど確かに『極大暗黒弾』が50万ゴールドくらいで売ってあったわ」

「でも、俺たちはそんなに大量に売ってないよな」


マリンは少し考えると、ひらめいた様子で、


「うーん、多分だけど、『極大暗黒弾』ってレアスキルだから、大めに取得しても流通させることはなかったんじゃないかしら。でも、私たちがそれを売り始めたせいで慌てて、他の人たちも売り出したとかかしらね」


マリンの予想は当たっていた。そもそも『極大暗黒弾』は一度入手してしまえば、二回目以降は楽に手に入るスキルである。ダブルマジッカーの『極大暗黒弾』を耐えたうえで、『アビスレイン』で一撃でとどめを刺す。前準備はいらず、ボス部屋までも最短。さらに言えば弱い部類のボスである。一度できたものが二回目以降できるのは当然である。それでも、皆がホイホイ使うと頑張って取得した意味がないため、取得した人は、配ってもギルドの上位の仲間たちだけにしていたのだ。しかし、『極大暗黒弾』が市場に出たという噂が流れ始めると別だ。これ以上、秘匿にしておく必要がなくなるため、皆がこぞって売り出したというわけだ。


「まあとにかく。こういうことが起こるみたいだから、レアスキルの売買は慎重にした方がよさそうね」

「そうだな、気を付けるよ」


カイはそう答えて、スキル合成に戻る。


「それで、何か気になるスキルとかある?」

「そうね……。あ、『アンチポイズンフィールド』が気になるかしらね。最近出たスキルみたいで、何でも味方一人に数分間『毒耐性Ⅴ』を付与するとか」

「うわ、強そうなスキルだな。でも、さすがに名前からスキル合成をするのはしんどいぞ」

「ふふふ。まあ見てなさいって。『アンチパラライズフィールド』!」


そう唱えると、カイの周りに黄色く光るオーラのようなものが出現する。


「どうよ。偶然、亜種のようなものを手に入れたのよ。これを解析して、それから作ればいいんじゃないかしら」

「なるほどな。よし、『スキルマテリアル』」


カイは『スキルマテリアル』の結果を見る。


『キュア』+『???』→『アンチパラライズフィールド』


「ふむ。???は流石に『麻痺耐性Ⅴ』な気がするけど。どうだろうか」

「それで間違いなさそう。このスキルの取得条件に『麻痺耐性Ⅴ』がいるから」

「よし、じゃあ『麻痺耐性』をまずはランクアップさせるか」


カイは既に持っている『麻痺耐性』をマナを使って強化していく。『極大暗黒弾』を売却したときに、大量のマナを手に入れたのでランク5にあげるのはそこまで難しくなかった。


「じゃあ合成してみるぞ」


カイは『キュア』と『麻痺耐性Ⅴ』をスロットに入れて決定ボタンを押す。すると、『アンチパラライズフィールド』が作成された。


「間違いなさそうだな。同様に作ってみるか」


こうしてカイは『キュア』と『毒耐性Ⅴ』で『アンチポイズンフィールド』を作成した。さらにカイはこれができるならと、『拘束耐性Ⅴ』から『アンチバインドフィールド』を、『幻惑耐性Ⅴ』から『アンチイリュージョンフィールド』を作成し、マリンに渡した。


「ありがとう。これでみんなを状態異常から守れるわね。」

「状態異常の耐性系はもうちょっとあるけど、これ以上作ったらマナが尽きてしまうから一旦このあたりで。後は、バロックに何か作ってあげればいいんだけど」

「そうねえ。鍛冶系でもいいとは思うけど、それよりは今回のイベントのために攻撃系のスキルの方がいいかしら」


と、会話をしているとバロックがやってくる。


「あ、バロック、攻撃スキルだったら何が欲しい?」

「いきなりそんなこと言われても困るな。うーん。俺もあんまりスキルに詳しいわけじゃないしな。まあ後々でいいぜ。今日からイベントだし、それでいろいろなスキルが見れるんじゃないか? そこから良さそうなのを作ってくれよ」

「なるほどな。わかった、そうするよ」


とりあえず、最初は最弱のレイドモンスターから行くか、じゃあ雑魚狩りは俺に任せてくれ、などと今日の流れについて話していると、ノワールが、それから少し遅れてブランがログインしてくる。


「よし、あと10分もすればイベント開始だ。頑張るぞ!」


おお!と皆が意気込む。そしてこのイベントがきっかけでブランが有名になりはじめる。


☆☆☆☆☆☆


魔法スキル『ハイヒール』

・『ヒール』の使用回数500回

《仲間1人を中回復》


魔法スキル『キュア』

・スキル屋で常時購入可能

《仲間1人の状態異常を50%の確率で回復》


魔法スキル『アンチポイズンフィールド』

・『毒耐性Ⅴ』を所持した状態で、毒と暗殺の魔術師を討伐する。


魔法スキル『アンチパラライズフィールド』

・『麻痺耐性Ⅴ』を所持した状態で、エレキワームを討伐する。


魔法スキル『アンチバインドフィールド』

・『拘束耐性Ⅴ』を所持した状態で、ロープフィンガーを討伐する。


魔法スキル『アンチイリュージョンフィールド』

・『幻惑耐性Ⅴ』を所持した状態で、幻惑と分身の魔術師を討伐する。


特性スキル『麻痺耐性』

特定の麻痺モンスターを討伐した際に落とすレアドロップアイテム『麻痺の結晶』5つとスキル屋で交換

《麻痺状態になる確率を減らす》


特性スキル『拘束耐性』

特定の拘束モンスターを討伐した際に落とすレアドロップアイテム『拘束の結晶』5つとスキル屋で交換

《拘束状態になる確率を減らす》


特性スキル『幻惑耐性』

・特定の幻惑モンスターを討伐した際に落とすレアドロップアイテム『幻惑の結晶』5つとスキル屋で交換

《幻惑状態になる確率を減らす》

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