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2-3 暁久side.

お爺さんも男が好きだったんだ、意外だった告白に少し戸惑った。かつ、俺だけではなかったんだと、少しだけれどホッとした気持ちになった。どうりで彼の話が心の奥まで響いてきたわけだ。


お爺さんの話は続いていく。


「でも彼には好きな人がいた。仕事のよくできる綺麗な女性の先輩だった。好きな人がいるっていうのは一緒に飲んでいる時に知ったんだよ。彼の幸せを壊してはいけないから、僕の入り込む隙間はないと思った。その話を聞いた後はお酒も食事も味がしなかったよ。ただただ辛くて苦しくて、そんな感情をぶつける相手もモノも無くて家に帰って一人でずーっと泣いていた。

でも、今になって思うんだ、もしも彼にこの思いを告白していたら今になってまで引きずることは無かったんなじゃないのかってね。告白して相手の態度が変わるかもしれない、それは確かにありえることだね。でもきっと、君のような少年が好きになった人は態度は変われど、悪い方には行かないと思うんだよ、これはお爺の勘だけどね。何もできなかった私が言うのは頼りないかな。」


話を聞いている俺までなんだか辛くなってきた。きっとお爺さんのエピソードには相手のことを想う気持ちがあるからだろう。相手のことを想って言葉にすることができない、俺と同じだ、そう思った。今でも心残りであろうそのエピソードを話してくれたお爺さんはどこか寂しげで未だに後悔しているように思えた。

お爺さんの言う通り、夏也は俺が告白をしたからって大きく態度を変えることは無いだろう。夏也に告白をせず、ずっと今まで通りの関係でいるか、告白をして、いまの関係に変化を起こすのか、それは俺自身で決めなければいけない。


「だから君には後悔をしない選択をしてほしい。私のようにずっと後悔を引きずって人生を歩んで行って欲しくはないから。後悔を連れて歩いて行くのはしんどい。いまでも、なんでこの思いを相手に伝えられなかったんだろうって思っているよ。私は思いを伝えなくて後悔した。

でもね、想いを伝えることで後悔することもあるかもしれない。

結局のところどっちに転ぶかはわからないんだよ、だから人生は面白いっていうのかもしれないね。おっといけない、話がずれるところだった。だからね少年、君が後悔しないと思う方を選択してほしい。いつか人生を振り返ってあの時あの選択をしておいて良かったと言えるかは分からない。だけど、正解なんて無いから、分からないから、いま君が思う正解に突き進めばいい。私はそう思うんだ。」


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