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2-1 暁久side.

今日は日曜日。最近続いていた暑い日が嘘のように涼しい。

夏也と一緒に勉強して、一緒に帰った昨日が遠い昔のようだ。

昨日はとても幸せな日だった。

俺は最近はクラスの友達と一緒に帰っていたため、夏也と帰ることはほとんどなかった。一緒に帰る時といえば、俺が帰り道に夏也を見つけた時くらいだった。お互い勉強やら友達付き合いやらで気を使い合い、一緒に帰ろうと誘うことはあまり無い。

"一緒に勉強して帰る"という一連の流れが中学生の頃の俺たちを思い出させた。

思えば夏也と知り合ってから、彼を好きになってから3年が経とうとしている。3年間の片想いは長いようで短い。


暁久はそんなことを考えながら、涼しい風に当たり、気持ちをスッキリさせようと家を出てふらふらと歩いた。


そういえばこの海辺の道、夏也と一緒に歩いたっけ。

夏也と過ごした日々を思い出す。

昨日夏也と過ごしたせいか、ずっと彼のことを考えている。彼のことが頭から離れない。

少し座って休憩をしようと砂浜へと下りる階段に腰掛ける。海風が気持ちいい。


「こんにちは、少年。」


突然、後ろから俺を呼ぶ声がした。

知らないお爺さんだ。俺になんの用だろうか。


「悩みでもあるのかい?悩み事を抱えているような佇まいであったが......もしよければこのお爺に話してみんか?全く知らん人に聞いてもらう方が少年も楽じゃろう。」


そのお爺さんは柔らかな笑顔で言った。

不思議とそのお爺さんに嫌悪感を持つことは無かった。それは多分、夏也のように優しくて温かい雰囲気を纏っていたからだろう。

俺は思い切ってそのお爺さんに話してみることにした。


「俺、ずっと片思いしてる人がいるんです。もう片思いをして3年になります。でも、告白できないんです。」

「どうしてなんじゃ?」

「話すには少し抵抗があるんですが...」


話してみることにはしたものの、やはり言い難い。そんな俺の気持ちを読み取ってか、お爺さんは俺が話す覚悟ができるまでじっくりと、急かすことなく待ってくれた。


「実はその好きな人っていうのは男なんです。」


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