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0-1 暁久side.

「暁久おはよう!」

今日も夏也の声がする。

「おはよう、夏也。」

今日も俺は夏也と挨拶を交わす。いつもとなんら変わらない日常だ。


『夏也、好きだ。』


そう言うことができたらどんなにいいだろうか。この言葉を夏也に伝えたら、優しい彼はきっと、少し戸惑った顔をしてありがとう、と言ってくれるだろう。この言葉を伝えてしまうといつもと変わらない日常が崩れてしまうかもしれない。怖い、嫌われたくない、好きだから。

俺は夏也に恋をしている。この気持ちに気付いたのは中学3年の時。


俺と夏也は志望校が一緒でもともと仲が良かった俺たちは放課後、自然と下校のチャイムが鳴るまで一緒に勉強するようになった。

一緒に勉強をしているうちに今まで気がつかなかった夏也の「優しさ」に気づいた。あいつの優しさは人の心を温かく包み込んでくれるような優しさだ。一緒に過ごしているといつも心があったかくなる。そんな心地よさが俺にはたまらなく幸せで、あいつと一緒に過ごせたらどんなに毎日が楽しいかと考えるようになった。



夏也のことを意識し始めた出来事がある。


俺は受験生なら誰でも受けるであろう模試を受けた。夏也と一緒に毎日頑張ってきた成果をここで示したい。そんな思いで模試に臨んだ。それから数週間経って結果が返却された。俺の成績は下がっていた。とても落ち込んだ。

『夏也と毎日放課後に残って勉強した日々はなんだったんだ。』

そんな思いが頭から離れなかった。

そんな友達の様子を見たら普通は声をかけにくいだろう。


でも夏也は違った。


「まだ挽回する時間はあるよ。僕は暁久の頑張りを知ってる。一緒に頑張ろう。」


俺の声を包み込むような優しい笑顔で、優しい声で、そう声をかけてくれた。素直に頑張ろうと思えた。

この言葉をかけてくれたのが夏也でなかったら、成績が上がらないことの悔しさで当たっていたかもしれない。


この言葉をきっかけに俺は夏也を見ると心が温かくなって、なんだか胸がキュッとする感覚を覚えるようになった。

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