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転生します

「非常に申し訳ないんですか、烏丸さん……」


「知ってる、知ってるからいいよ」


 このたび、烏丸亮は死にました。不幸にも10tトラックにはねられ死亡。先ほどまで一連の流れを説明され、自分でも悲しみを覚えた。


「死んでしまったものは仕方がないので、新しく人生を……」


 この慈悲深い女神様はフレイという人だ。死んでからワタシのことを救済してくれるらしく、先ほどからずっとワタシに死後のことを話してもらっている。


「分かってるよ、フレイさん。好きだった女は自分よりもカッコイイ彼氏がいて、大学受験では失敗して、入学しても友達ができず、のこのこ就職したが、お先はブラック……いっそのこと負け豚と罵ってください」


 今までの人生は碌でもなかった。人間社会というのは一本のレールがあり、それを外れると復帰するのは難しく、したとしても、ほかの人は先を走っている。一度もレールを外れないでいる人が幸せを勝ち取るのが人間社会だ。

 

 そんな勝者になることもできず、敗北者となったワタシは自転車で通勤していると、小さな石で転び、ケガをすると、後ろから大きな10tトラックに止めを刺された。


「結局負け組だったんだ。そんな奴が今更どこへ行こうと、負け癖が付いたんだよ。どうやっても諦めが出ちゃう。それなら、勝ち組を転生させればいいでしょ」


「人生の勝ち組は天に召され、転生不可となっています」


 このやり取りは三回目だ。いい加減転生を決めなければいけない。負け組として……。


「はい、ですから二十年後に魔王が来るとされている世界に転生し、どうにかしてください。転生者はきっとあなただけではありません。きっと味方になってくれるはずです」


「いや、それはない」


 人間社会の敗北者であるワタシは敗北者がもし力を手にすればどうなるかなんて理解している。欲に塗れ、ほしいものは奪い、世紀末と化す。新しい魔王の誕生と言ってもいい。


「少しは人間を信用してください!」


「それは無理だ。裏切りなんて日常茶飯事だ。特に負け組となれば当たり前になる。そんな人間を信頼できない。それに負け組のワタシは、一番ワタシが信用できない」


 人間不信ここに極まった。この所以は今までの人生がよく表した。


「ですから、……」


 その時、烏丸に電流走る。


 ワタシがやらなくても、ほかの人にやらせればいいんじゃないか?そうだ、装備として転生すればいい。そうすれば、楽だし、何より女の子に合法的に触れることができる。


 これ以上ない名案に、烏丸は疑うことなく女神に言った。


「ワタシ、ビキニアーマーに転生する!」


 体は次第に溶けていくが、痛みはない。自然と形は鎧となり、ワタシはビキニアーマーとなり、異世界に転生することになった。


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