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待ちぼうけ

適当に読んでください。

「本当に本当にマルなのか?」


 俺は目の前での現実に驚きを隠せない。


「もーう、ご主人。何で信じてくれないの!」


 目の前でふくれっ面をしているケモ耳少女は機嫌が悪くなる。いきなりそんな事を言われて信じろというのも……。


「ご主人!!右の乳首の下にホクロがあること、私知ってるんだからね」


 ドキッ。何故そんな事をしているんだ。たまに一緒にお風呂に入っていたマルなら知っているだろう話だ。


「まだまだ、沢山あるよ。例えば、お尻ぃ……」

「ス、ストップストップ!!マルだよ。初めから気づいてたから」

「ほんとにぃ〜?」

「ホントだ」


 ここで止めておかないと俺の個人情報がマルからダダ漏れになってしまう。そんなことは絶対に嫌だ。


 よかった、とマルは肩をなでおろしている。


「マルはどうしてこんな所に住んでいるんだ?」


 俺は疑問に思っていた事を尋ねた。女の子の一人暮らし、こんな衛星的にも防犯的にも悪い場所で何故住まないといけないのか。俺の可愛いマルがこんなごみ溜みたいなとこで何で。


「私は市民権を持って無いの……。この国の国民じゃないから人目を避けて生きないといけないの」


 マルはうつむき加減でそう答えた。


「マルが今までどうやって過ごしていたのか俺に話してくれないか?」


 家に置き去りにして、死んでしまった俺にはどうすることも出来なかった。あの晩、あの子達はどんな状態だったのか?そして、どうやってこの世界に来たのか?それを俺は聞きたかった。


「あの日は……」とマルは小声になりながらも俺に事の顛末を話し始めた。


 ⚫


 あの日は雨が強かった。


 チクタクと秒針を刻む時計の音と雨粒がコンクリートにぶつかる音が部屋に響いていた。


 私は部屋の中でゴロゴロ寝たり、ご主人がおいていったご飯食べたりして時間を過ごす。周りのみんなもそうしている。


 私が初めてこの家に来た時はご主人と2人きりだった。それがいつしか色んな形の仲間が増えていった。


 最初はご主人から遊んでもらえなくなってしまうのではないかと考えて仲間が増えるのを喜んではいなかった。


 しかし、ご主人は連れてくる仲間みんなを可愛がり、もちろん私も含めて同じく愛してくれていた。そんな、ご主人がみんな大好きだった。


 ご主人はお外が暗くなったら帰ってくる。何時かは分からなかったがだいたい帰ってくる時は分かる。そうすると決まって玄関へと向いお出迎えするのだ。


 その日もそんな事を思いながら待っていた。


 けれども、ご主人は帰って来なかった。次の日もその次の日もご主人が「ただいま」と言ってこのドアを開けることはなかった。


 そして、私達は食べるものも飲むものも無くなりどんどん弱っていった。体の小さい子たちから次々と倒れていき動かなくなった。


 そして、私も空腹と睡魔にまけてご主人を待つ玄関で倒れた。


 目を覚ますと目の前には私のことをのぞき込む男がいた。


「あー、やっと起きたか君たち。ちょっと寝すぎだよ。もう神様くたびれちゃったんだけどー」

「神様、そんな事言わないでくださいよ。小野寺さんと約束したんですよね?」


 神様と呼ばれていた男は隣のメガネをかけた愛想の悪い女の人に注意されていた。


 私は空腹や睡魔などを一切感じていない自分にビックリした。周りにはご主人のことが大好きな仲間たちが一緒に神様の方を見ていた。


「あー、そうだったよ。あの俺のステージで暴れてくれちゃった人ね。確かー、名前は……そうだ小野寺晴人だ」


 私は神様が言った「小野寺晴人」と言う言葉に反応した。


 "ご主人の名前だ。なんでこの人がご主人の名前をしってるんだ?"そう心の中で思った。


「全く、勝手に殺したのは悪いと思うよ?一応。でも、暴力はいけないよ。名ばかりでも神の前だしね」


 "殺した"この男はそう言っている。私たちが大好きなご主人を殺したのだ。いくら待っても帰って来なかったご主人をコイツは殺したんだ。私は猛烈な怒りを感じた。


 ワン!ワンワンワン!!


「んー、どうしたんだい君?そんな牙をむき出しにして、私を怒っているのかな」


 ガルルッ、ワンワン!


「もう僕は犬語なんてわかんないよ。ちょっと人語で話してよ」


 男はそういうと私の前で指を空中でスライドさせた。


「よくも!!よくも、ご主人を殺したな!!」


 私は怒りに身を任せて、まくし立てるように男に罵倒を浴びせた。


「マジ、ごめんね。でも、仕方なかったんだよ。神様でもやらなきゃいけないことだってあるだよ」

「私はお前を許さない。ご主人を殺したお前を絶対に許さない」


 私はもう悲しみと怒りが治まらなかった。大好きだったご主人ともう会えないと思うと涙が止まらない。


「誰も君に許して貰おうなんて思ってないから、うるさいし少し黙って」


 また、神と名乗る男は私の前で指を出した。すると途端に私は声を出すことが出来なくなり、その場から動けなくなった。


「君たち、よく聞いてね。神様は偉いから何でも願いを叶えることが出来るのです。そして、死んでしまった方々の願いを色々叶えてきたってわけ、分かる?」


 神は軽いノリで話し出した。


「で、君たちのご主人様である晴人君のお願いも叶えようと思うのね。どんな願いしたと思いますか?」


 ご主人が神様にするお願いって一体なんだろう。そんな事を考えていると隣でニャーニャーという声が聞こえた。


「あー、ごめんごめん。よし話していいよ」

「多分、晴人様は"私たちに会いたい"ってお願いしたんじゃない?」

「オー!凄いね。大正解だよ。彼はね、こんな神様から与えられるビッグチャンスで君たちのことを願ったんだ」


 ご主人が最後の最後まで私たちのことを考えてくれていたと知って今度は感動の涙が流れてくる。


「だから、叶えようと思う。でも、ちょっと彼は問題を起こしたので意地悪しマース」


 意地悪?一体何のことだろう?


「君たちには教えるね。まず、言語翻訳能力をオフにしました。それから、所持金これも0。後、最初に目が覚める場所、森。それから……」


 神様は勿体ぶって少しだけ間を空けた。


「君たちをランダムで転生させることにします。ご主人様と会える"かも"しれないって状況w」


 え?どういうこと?


「だって、普通に会えましただとつまんないじゃん。でも、そこは神様優しいから君たちを人型にしてあげる。これもこっちで考えるけどね。後、なんかのスキルもあげちゃう!キャー神様って優しいぃ〜」

「キモいです。早くやってください」


 女の人が冷たい口調で神様にいう。その言葉には愛情を何も入っていない。


「分かった分かった。じゃー転生始めるよ」


 神様が転生の準備を始めるために空中に字を書き始めた時に誰かが尋ねた。


「晴人様にはどこで会えるんですか?それも教えて貰えないんですか?」

「いつ、どこで、誰が会えるかは分からない。世界は広いしね!!」

「分かりました」


 神様は転生の準備とやらをまた始めた。数秒待つと"出来た!"と大きな声が聞こえた。


「よし、じゃー転生スタート」


 神様がそう言うと私たちは暖かな光に包まれ空中に浮かんだそして眠たくなり目を閉じたのだった。


 次に目を覚ましたのはどこか知らない場所、知らない大人の人達に囲まれながら私はオギャーオギャーと叫んでいた。そして、私は人間になった?


 いや、人と人の子として産まれたはずの私には獣の耳がついていたのだった。



読んで下さいましてありがとうございます。

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