天災屋と性悪店主
中間テストがある意味終わりました
暑い…
山田(僕) 〈主人公〉
矢田鞠奈 〈仲介人〉
書木佰 〈殺し屋〉
詩縫楓火 〈巫女〉
逢焼加恋 〈病人a〉
葬儀愛果 〈始末屋〉
薪盧いのり 〈店主〉
まず、僕達が訪れたのは怪気さんの友人で、〈病人〉の逢焼加恋さんが入院している病院だった
怪気さんが『請負部』に依頼に来てから、二日後に調査は開始された
その二日間に、怪気さんは見事に『請負部』に溶け込んだ
敬語口調は崩れ、僕のことを山田と呼び捨てにし、よく蹴り飛ばしてくる
怪気さんは、本来の《自分》を取り戻していた
リノニウムの床を歩きながら、逢焼加恋さんの病室を目指す
病室の扉を開け、視認した逢焼さんの姿に、僕は息を飲んだ
病院を訪れる前、あらかじめ怪気さんから逢焼さんの姿を写真で確認していた
写真の中の逢焼さんの第一印象は〈快活そう〉
日焼けした肌や、着崩した制服など明るい印象を受ける少女だった
しかし、病室のベットに横たわった逢焼さんは、写真と見分けがつかない程に
痩せ細っていた
「ふむ」
呆然としている僕の横で、書木くんが唸った
そして踵を返すようにUターンし、逢焼さんの病室を出って行った
突然の行動に困惑しながらも、僕は書木くんについて行った
「ど、どうしたもう良いの?」
「ええ、もう十分です 逢焼さんの件は解決しました が どうやら新たな問題が浮上してきた様です」
ズカズカと早足で、病院を歩く書木くんについて行くのに必死で言っている事がよく理解できない
逢焼さんの件は解決? 新たな問題?
病院を出た所で、僕達は次の目的地を目指した
道中、別行動していた 詩縫、鞠奈、怪気チームに合流し全員にアイスを奢らされたこと以外、特に変わった事は無かった
経済的にやせ細った僕を引き摺るように書木くんが訪れたのは、古びた駄菓子屋だった
お世辞でも綺麗とは言えない、よく言えば古色蒼然とした、悪く言えば腐食した木造建築
なぜ、今このタイミングで此処に
まさか、さらなるお菓子を要求する気か…!
身構えしていた僕を、スルーし書木くんは中へ入って行った
慌てるように僕も中に入ると、そこに居たのは20代後半と見える長身の女性だった
全身に黒いスーツを纏い、目視だけでも180センチはある身長、端整な顔立ちだが目付きが極端に悪い
「いらっしゃい」
入ってきた僕達に視線を向け女性は淡々とした口調で言い
「ご無沙汰してます いのりさん」
「久しぶりだな、佰」
と二人は挨拶を交わした
どうやら二人は知り合いらしい
「紹介します 山田くん、彼女は薪盧いのりさんここの店主です 元『請負人』で今はこうしてここのに店を構える美人なおねーさんです」
「おいおい、佰 血の凍るほどの絶世の美女はさすがに言い過ぎだぜ」
「相変わらずの幸せそうな脳細胞で安心しました」
二人の会話に弾き出された僕は、とりあえず適当に話題をもちかける
「このお店は何を売っているんですか?」
「なんでもだよ」
答えは直ぐに返ってきた
「なんでも…?」
僕は、思はず聞き返した
「文字通りさ、お菓子、日用品から駆逐艦、情報、銃火器まであらゆる物をうちは取り扱ってる」
商品バランスが3日で崩壊しそうな営業スタイルだ…
「で、だ」
と、いのりさんは倒れこむようにソファに座り
「何が欲しいんだ」とシニカルに微笑みながら言い放った
答えを返したのは書木くんだった
「情報を」
「?」
「ー〈始末屋〉葬儀愛果について調査してほしい」
次回!山田くんいろんな物を失う!?
ご拝読ありがとうございます