天災屋と愉快な仲間達
次から本編入ります
よろしくお願いします!
僕の 脳は、そこで考えることをやめた
その後、どんな受け答えをしたのか全く覚えてないが、恐らくイェスと言ったのだろう
それを証拠に、僕は今『請負部』の部室前に立っている
理解しがたい状況に、僕は呆然とする
そんな僕に、彼女は眩ゆいばかりの笑顔向けて来た
「今日は、来てくれてほんっっっっっとありがと!
あっ、自己紹介まだだったね、私!矢田鞠奈現役の15歳!高校1年生だよ!」
彼女の笑顔で緊張がほぐれる
そうだいくら 変人集団とはいえ高校生だ、場の流れに任せよう
そう自分に言い聞かせ、ドアノブに手を掛けた ーその時だった
僕が、ドアを開けるより先に爆風でドアが吹き飛び、僕はその場に倒れた
「詩縫さん、君あるものを何でもかんでも組み合わせのは、やめてください」
「フッフッフッ、書木くんよ“失敗は成功の母”次こそ、絶対いける!」
「次こそ死にそうな気がします」
吹き飛ばされたドアの下敷きになった僕は、ゆっくりと立ち上がり
「帰ります」
煙の立ち上がる部室に、背を向け歩き始めた
「ままままま待ってええええええええええ!!」
そう叫びながら、歩く僕の前方を鞠奈さんが遮る
そして僕にしがみつき
「お茶だけでも!お茶だけだけでも!お願い行かないでえええええええええええ!!」
泣きじゃくりながら、そう言った
鞠奈さんの猛烈な説得に折れ、僕は今『請負部』の部室にいる
『請負部』の部室は意外と広く、教室一室くらいはあるだろう
所々に設置された本棚には、洋書だとか医学書だとか様々なジャンルの本が、収納されている
「君が新入部員の山田くん、かな?」
辺りを見渡していた僕は、突然声をかけられ文字通り飛び上がる
「驚かせてごめんなさい、私この『請負部』の部長の詩縫楓火って名乗ってるよ それと一応〈策士〉の真似事をしています」
詩縫楓火と名乗った〈策士〉の少女は、艶やかな黒髪に切れ長な目をした、美少女と言うより美人といった方が似合う知的で清楚な印象を受けた
ん?〈策士〉?
普段聞き慣れない言葉に、キョトンとする
「そして!そこにいる帽子くんが、我等が『請負部』の副部長さんでーす!」
鞠奈さんが、指差した方向に視線を向けるとそこには、室内にも関わらず深々と帽子を被った少年がいた
帽子は前に傾けられ、左眼は隠れて全く見えない 少年の顔もよく見えないが中学生かと疑うくらい童顔だ
「どうも、書木佰です」
といって、少年は書木くんは手を差し出し握手を求めてきた
僕は、一瞬戸惑ったが書木くんの手を握った
その瞬間、僕は強引に書木くんの手から自分の手を引き剥がした
「以上が、我等我等『請負部』のメンバーでーす!これからよろしくね!…えっと」
「山田でいいよ」
そう言うと彼女はニパッ!と笑い
「よろしく!山田くん!」
と嬉しそうに言った
新入部員が嬉しいのか、キャーキャー騒いで喜ぶ彼女達を尻目に、僕は自分の手をポケットに突っ込んだ
あの時触れた書木くんの手の冷たさを僕は忘れることが出来なかった
読んでくださり、ありがとうございました!