自殺したかったんですが…
スマホの メモに あったのを抜粋。
書き終わっていないと思っていたのに、書き終わっていました。
「俺。自殺するからあとよろしく。」
俺は ピストルを自分の頭に押し当てて目の前にいる友達の小林に向かって言った。小林とは長い付き合いだったがそれも終わる。
「分かった。でも 一つだけ言っておくことがある…」
小林は 申し訳なさそうな顔しながら言った。
「なんだ?」
俺は 聞き返した。
「まず 、お前のTシャツ ダサい。」
小林は 俺のTシャツの方を見ながら言った。
俺は 自分のTシャツを確認してみた。
[俺の生きザマを見ろ!]
と 書かれた白いTシャツである。
お気に入りのやつなのだが。
「死ぬのにその服はない。」
小林はそう言う。
「死ぬからこそ お気に入りのTシャツで 死にたいのだが。」
俺はそう言うが、小林曰く 笑いものにされるだろうのことだ。
「これがダメなら 何がいいと思うか?」
俺は聞いてみた。
「ジャージとかがいいと思うぞ。」
小林は そう答えた。残念だが 俺はジャージの類を持ち合わせていない。
そのことを小林に 伝えると。
「じゃあ、とりあえず着替えろ、生死関係でないやつにな。」
俺は クローゼットに向かい新しいTシャツに着替えた。
[俺の努力を無下にするな!]
と 書かれたTシャツだ。
着替えから戻ってきた俺を見て小林は吹き出した。
小林は 笑っているのを抑えながら
「ロゴT以外を 着てこいよ。」
と言った。
俺は またクローゼットに行き、無地の黒いTシャツに着替えた。
戻ってくると小林の笑いはおさまっていた。小林からOKを もらう。
ただし もう死ねる雰囲気では、なかった。