第9 精霊さんとデンジャミン!
俺は攫い屋。
依頼されたら目標を攫って来る仕事をしている。
影で生きる住人の一人だ。
依頼主は貴族が多い。
敵対してる奴の人質だったり気に入った奴を奴隷にしたりと業の深い企ての為に攫ってほしいと依頼してくるんだろうな。
さて、今回の目標はある大商会の会頭の孫娘だ。
前払いで白金貨5枚、報酬として白金貨10枚、口止め料を含めてたとしても破格過ぎるぜ。
三代が一生遊んで暮らしてもまだお釣りが来るぐらいだ。
しかし気掛かりなのは依頼主だ。
例え大商会の孫娘だとしてもここまでの金額を出すのは狂ってる。
まぁ、依頼を受けた俺が言うのは無駄ってもんだがな。
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フローラはキョウカの手を引いて廊下を歩いて行く。
「そういえばキョウカさんはどちらから来られたのですか?」
フローラがキョウカにどこから来たのか尋ねた。
「森。」
キョウカは簡易に一言で答える。
「森、ですか?
村や町ではなく?」
キョウカの答えに戸惑うフローラ。
森の近くの村や町ではなく森。
人が住めるほど安全な森を知らないフローラはキョウカが何処から来たか想像もつかないのだ。
大商会の会頭で自分の祖父であるドップの恩人の孫。
そのドップからの紹介からキョウカが貴族か何かだと思っていたが当てが外れている。
悩みながらキョウカの手を引いていくフローラとそのまま付いていくキョウカの前に一人の男性が現れた。
「これは、フローラお嬢様。
お元気でしたか?」
「こんにちは、デンジャミンさん!
はい、この通り元気です!」
フローラが親しげに現れた男をデンジャミンと呼んだ。
男は若く蒼い髪に蒼い瞳をしていた。
「もう一人のお嬢様もいらっしゃいますね。
私はデンジャミン商会のコートール・デンジャミンと言います。
貴女は?」
「キョウカ。」
「デンジャミンさん!
キョウカさんはお爺様の恩人の孫なんです!森に住んでいるんです!」
フローラは言葉が少なかったキョウカを助ける思いで自分の知ってる事をデンジャミンに教える。
「ドップ様の恩人のお孫さん、ですか?」
デンジャミンは初めて知ったような表情を浮かべながらそう聞き返した。
「そう。」
キョウカは一言で答える。
「デンジャミンさん、わたしは今からキョウカさんと遊んで来ます!
お爺様は奥の方に居ます!
それではさよなら!」
フローラはそう言ってデンジャミンから離れて行った。
「キョウカさんはアージという遊びを知ってますか?」
「知らない。」
「それではアージを教えますから一緒に遊びましょう!
今、人気の玩具なんですよ!」
フローラはアージという玩具でキョウカと遊ぶ事にした。
「うん、遊ぼ。」
キョウカはそれに即答した。