第8 精霊さんとフローラちゃん!
あたしはドップと肉と魚を交換した。
ドップは干し肉よりも生肉が良かったみたいだから干し肉の状態を生肉に戻して渡した。
ドップは泣いて喜んでた。
お返しにマグロの魔物、グンカンをはじめとした海の魔物をくれた。
昨日、届いて今日、捌いたばかりの新鮮な物らしい。
マグロが何かは知らないけどグンカンは家よりも大きい魚型の魔物でドップがくれたのは解体されてブロック状だ。
それでも小屋よりも大きいから嬉しい。
貰ってすぐに影に入れ込んだ。
スシやサシミにして食べたい。
でもコメやワサビが無いからスシは諦めないといけない。
コメやワサビは見た事ないけど何故か形は分かる。
でも見た事はない。
ショウユはこの前作った物があるからサシミにして食べれそう。
買い物も出来たしドップと遊ぼう。
「ドップ、あたし、獲物、持って来た。
遊ぼ?」
何をして遊ぼうかな?
隠れん坊、鬼ごっこ?
久し振りに計算競争でも荷物引き競争でもいいよ?
盗賊狩りもやりたいな!
「そうですな。
しかし精霊様、儂は見た通り歳を重ね過ぎてしまいました。
儂では精霊様と遊ぶ事は難しいでしょう。
代わりに儂の孫と遊びませんか?」
ドップは物悲しそうに言った。
ドップと遊べない?
人は年老いていく。
ドップはもうあたしと遊べないのだろう。
ドップの孫と遊べるならいいかな。
「分かった。」
「おぉ、よろしいのですかな?
では孫の所まで案内をしましょう。」
ドップは嬉しそうに答えてあたしを解体部屋から連れ出した。
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「精霊様、御姿を元に戻して貰ってもよろしいですか?
それと少し、儂と話を合わせてくだされ。」
「分かった。」
あたしは人の大人の姿からいつもの姿に戻った。
こっちの方が動きやすい。
ドップが目の前まで来たドアを叩いた。
「フローラ、儂じゃ。
入るぞ。」
「はい、お爺様!」
ドアの向こうから可愛らしい女の子の声が聞こえた。
ドップがドアを開けるとそこには頭に大きなリボンを付けた幼い女の子が居た。
「お爺様、おはようございます!
今日は大事な日ではありませんでしたか!」
歳の割には丁寧な物言いと子供特有の元気な話し方の女の子はドップの顔を見ながらそう言った。
女の子は次第に顔を下に向けて行くともう一人の存在に気付いたらしく再度ドップの顔を見上げる。
「お爺様、そちらの方はどなた様ですか!」
「うむ、こちらは儂の恩人のお孫さんでな。
フローラに遊び相手をしてもらいたいのだ。
まずはお互いに自己紹介をしよう。
この子は儂の孫のフローラじゃ。
フローラ、こちらはキョウカじゃ。」
「わたしはフローラと言います!
よろしく、キョウカさん!」
「うん、よろしく、フローラ。
あたし、キョウカ。」
「ではお爺様、わたしはキョウカさんと遊びに行ってきます!」
「おぉ、いいとも。
行ってきなさい。」
「行こう、キョウカさん!」
フローラはキョウカの手を引きながら外に駆け出して行った。
「フローラ、どうか精霊様と仲良くなるのだぞ。」
ドップはフローラ達が駆け出した方を見ながらそう呟いた。