第5 精霊さん、魔石を食べる!
ガリ、ベキ、バリ、ゴキ。
魔石は美味しくない。
味がしない。
匂いもしない。
早くジュリーの料理を食べたい。
グキ、ガキ、ゴリ、ガリ。
キュイン!
足元から白い光が螺旋状に上がる。
この光景は魔石を食べると出てくる。
あたし以外でこんな風に光ったは見た事がない。
光った後は必ず強くなる。
腕力や脚力は一段と高くなる。
脚に纏った水や空気を操る能力のような様々な不思議な能力を得る事もある。
今日も一つ手に入れた。
使い方は何故かは分かる。
目に意識を傾ける。
すると今、見ていた植物が石に変わった。
もう一度、目に意識を傾ける。
石化した植物が元に戻った。
新しい能力だ。
口直しに干し肉を齧る。
香草を焚いて出た煙で燻した干し肉、塩漬けにした干し肉、蜂蜜漬けにした干し肉。
火で炙って食べる。
美味しい。
でも肉は飽きてきた。
ドップに肉と魚を交換するのも良いかもしれない。
ドップが来る日は明日。
今日はジェーンとアイルと遊ぼう。
「ーーー!」
あたしの名前を呼ぶ声が聞こえた!
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「ジェーン!
アイル!
来たー!」
森の出口、村の側まで走ったらジェーンとアイルを呼ぶ為にキョウカは叫ぶ。
「こっちだよ、キョウカちゃん。」
「きたよぉ〜。」
茂みから幼い姉弟が出てきた。
ジェーンとアイルである。
「キョウカちゃん、これ、あげる!」
ジェーンはキョウカに大きなバスケットを手渡した。
中を見ていると長いパンを使ったサンドイッチが入っていた。
その大きさはキョウカやアイルと同じくらいの長さがあった。
「これ、ジュリー、料理?」
「そうだよ!
お母さんが元気になったからお礼にって作ってくれたの!」
「おいしいよぉ〜。」
キョウカは早速バスケットから長いサンドイッチを取り出し食べた。
「うぐ、むぐ。
・・・うん、美味しい。」
「あ、もう食べちゃった。」
「はやぁい。」
キョウカは自分と同じくらいの長さのあるサンドイッチをまるで蛇の丸呑みのように素早く食べてしまった。
「うん、ジェーン、アイル、遊ぼ。」
昨日の約束を思い出したのかキョウカが言い出した。
食べたばかりでも動いて大丈夫らしい。
「いいよ、遊ぼう、キョウカちゃん!」
「なにするの〜?」
「駆けっこ?」
「森の中じゃ誰もキョウカちゃんに勝てないよ。」
「隠れん坊?」
「まえにやって、キョウカがみつからなかったから、いや。」
その後もキョウカの提案する遊びを拒否していくジェーンとアイルであった。
「あ、魔法を教えてよ、キョウカちゃん!」
「それがいいや。
おねがい、キョウカ。」
「うん、分かった。」
ジェーンとジェーンの提案に共感したアイルとのお願いに即答するキョウカだった。