第10 精霊さん、アージを改造する!
「キョウカさん、アージとは精霊を一時的に召喚する為の道具の名前なんです。」
フローラは円形の石板が置いてある部屋に入りながらアージについて説明をした。
アージには複雑な絵が描いてあった。
「アージには精霊と仲良くしましょうって精霊の言葉で書いてあるそうですよ。
わたしには精霊語を知らないので何が書いてあるか分かりません。」
フローラは石板の複雑な絵を見てため息まじりに言った。
「そしてですね!
なんと一人に一回だけしか使えないんですって!
だからわたしは貰ってからまだ使ってないんです。」
少し恥ずかしそうに顔を伏せながらフローラは言った。
「でも今日はキョウカさんがわたしの友達になる特別な日だからわたしも使ってみようと思います!
何か良い事がありそうです!」
伏せていた顔を素早く上げて嬉しそうな顔でキョウカに言った。
まるで夢を語る乙女のようだ。
その複雑な絵を見たキョウカが少し間を置いて言った。
「あたし、読める。」
「え、えぇえええ!?
本当、本当なの、キョウカさん!!」
「うん、触る、いい?」
「はい!
良いですよ!
それでなんて書いてあったんですか!?」
石板に触るキョウカに覆い被さるようになりながらフローラは聞いた。
すると複雑だった絵が動き出した。
自由自在に動き回る絵が次第に文字のようになっていった。
「キョウカさん、キョウカさん!!
何をやったんですか!?
え、絵が動いてますよ!!」
キョウカの肩を掴んで後ろで飛び跳ねながら驚くフローラ。
「文章、訂正。」
キョウカは淡々と自分の行った事をフローラに伝える。
「はい?」
キョウカの答えに理解が追いつかないフローラは戸惑う。
「精霊、ずっと、召喚、出来る。」
そう、キョウカはフローラが一時的に召喚が出来ると言っていた道具を永続して召喚出来る物に改造したのである。
「ほぇ!?」
その答えに素っ頓狂な声をあげるフローラ。
「フローラ、精霊、召喚。」
そんなフローラに石板を触らせるキョウカ。
石板は光り輝いていった。




